銀河太平記・116『漢明の領海侵犯と政府の嫌がらせ』
銀河太平記・116『漢明の領海侵犯と政府の嫌がらせ』加藤恵「バカか、あいつら」舵輪を取舵にきりながらシゲ老人が吐き捨てるように言う。次の瞬間、盛大な水しぶきがボートを呑み込むように襲い掛かって来る。ザッパーーン!「ワップ!勘弁してくれよ、同志シゲ老人!」「ああん……防水してなかったのか、主席?」「ビックリしっぱなしで、スイッチ入れ忘れてたよ」パルス防水で完全に水しぶきを無効にした村長と社長は無口なままだ。「どうぞ……」西之島市のロゴの入ったバッグから、タオルを渡しながら、市長も口数が少ない。かく言うわたしも、開いた口がふさがらないでいる。西之島南方海上に、漢明の宇宙船五隻が不時着水したと連絡が入ったのが四十分前。わたし(加藤恵・ラボ主任研究員)を含む島の代表者五人は、ただちにカンパニーのボートに乗って調査...銀河太平記・116『漢明の領海侵犯と政府の嫌がらせ』
2022/06/30 14:28