スマホやデジカメで撮った写真のイメージで短歌を創っています。写真は自己流です。
地元の短歌会「HANI(埴)」の会員です。短歌誌は一年に6冊発行され、一回に一人4首〜10首発表しています。私は、傘下の「六郷短歌会」で毎月一回山下和夫先生のご指導の下で短歌の勉強をしています。
一夜にて砂漠の遺跡を埋めるとう 地球(テラ)の申し子暴(あらくれ)の風
木もれ陽を柄にするため選びいる滅紫(けしむらさき)の無地の着物を
さ緑の風に吹かれしわれの身にいつのまに心戻りておりぬ
羽根あれば腕はいらぬと身をよじり飛び立たんとすサモトラケのニケ
令和七年五月の三十度超えに大木の息のレンズ曇らす
通過するホームに立ちいる人よりも少し未来の新幹線に
「…ひとりなるわが身の影を歩まする…」埃(ホコリ)を知らぬ人形の栞
柑橘の真白き花を撫でて来る風の香と未知の今日ゆく
つやつやの椿若葉の指に触れわが静脈の禊がれている
柿若葉の雨の天空に漂える 共に世にある緑眩(まぶ)しむ
几帳面な風が麦の穂をドミノ倒しのように撫でて過ぐ
「ここは何処?わたしは誰?」麗らかな春のまひるの仮寝を目覚め
わが猫はわれを下部と思うらしニャンニャンニャンニャン命令をする ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
業平(なりひら)の紫の恋照り翳る杜若の花にト・キ・メ・ク
師の短歌(うた)に「風の蒼氓(そうぼう)」とクレマチスそれよりわれは「風の使者」と呼ぶ
プライバシー尊重の世を易々とプライバシー暴く監視カメラは
偶然に宇宙に出会いし猫とわれコップの中の深淵覗く
鷺草は茎に繋がれゆれている三十一文字(みそひともじ)の中飛ぶはわれ
わが躰(からだ)を風の道とし青嵐 無名交響曲鳴らしつつゆく
宿命の棘を意図せず葉に覆い暗みを帯びる此の世の紅薔薇
飛ぶ夢を共に分かちて傍に置く紫ゆらぐガラスの小鳥
世の変化激しき中を少年は胸張り未来へ軍配あげる
さみどりをサワサワ鳴らし吹く風に閻魔の影のもの憂(う)くゆらぐ
夫(つま)よりの二十年(ふたとせ)ぶりの誉め言葉 砂時計を横にしておく
缶詰を開ければ閉じ込められていし過去の時間が瞬(しゅん)燃えあがる
青蛙の眼差し追えば群雲(むらくも)の炎のように動いておりぬ
雑踏の中の寂しさ抜け出でて猶も寂しき家のドア開け
姿なき人々にぶつかりながら今も賑わうポンペイの街
めざめれば没落の家の水仙の香戸の隙間より風ひえびえと
退路なき道と知った日そこはかと翼のあった辺りが疼く
季節風に運ばれて来し何かの種身裡(みぬち)に根を張り希望を縛る
ぶつかれば壊れてしまう予感にて連絡出来ない友がおります。
青空をくすぐるようにもくもくと夕立呼ぶか松明花よ
花の果て早緑の炎(ほ)のゆれる中歩みつつ命吸い取られいる
たち別れ心がヒリヒリ痛む日は縫い目を外に下着を着たり
姿なきもののみ出入りす風景の一部となりて電話ボックス
さくら花遠くへ飛べない幾片(いくひら)の幹の窪みに集まりている
花ふぶきの真中(まなか)に立ちて蓁蓁(しんしん)とうすくれないの深処(ふかど)に堕ちる
桜しぐれの音を聴きつつバス停に”虚空行き”のバスを待ちいる
さくら花咲いてしまえば散るばかり人の世出(い)づる軌跡うす紅(べに)
花冷えの春の名残にふりそそぐ花の小径を往きつ戻りつ
散り敷ける桜花びらに紛れたるゆれる光を小鳥は突く
夢うつつ薄くれないに分け入りて歩みゆくほど透(す)きてゆきたり
わが短歌(うた)を電車の中にて観てくれる友を想わば子(ね)の星は輝(て)る
ゆえの無き愁いにうつむきゆくわれに晩春の地は”落花”繚乱
ブログ用に少しよそゆきわが朝の春を寿(ことほ)ぐ筍ご飯
散りてなお地上飾りて匂やかに花の命の息づいている
疾風に吹き寄せられし群雲を押し戻しいる桜爛漫
むかしむかし掛け忘れたる羽衣か枝垂桜に心染められ
桜木は枝と枝とに巣を張らせ鼻盗人を蜘蛛に見張らす
閉ざされし桜の花のラブリンス(labyrinth)父母(ちち、はは)忘れ此の世をわすれ
逆光に桜は芯より照らされて翅(はね)持つもののみ往き来しており
「すぐ戻る」エアコン・電灯つけたまま「木花之開耶姫(このはなさくやひめ)に会ってしまいぬ
春光のまぶしきを抱き八重桜無明世界をするりと出(い)でる
華やぎのさくらさくらの厳(おごそ)かな陰に積もれる時を哀(かな)しむ
うすべにの花の世界に迷い入り平衡感覚ふとも失う
うす紅にふれるがごとく階(きだ)のぼるほほ笑みのみとなりゆく宇宙
ここ曲がれば何処へゆくや動けずにわれに飲み時は過ぎる気のして
すずしげな眼(まなこ)を向けている辺り寂しさ募(つの)る歳月(さいげつ)ならん
幸せの残り五分に鳩時計の扉にテープし振子を止める
ムスカリは妖精たちのLED地の青吸い上げ心とシンクロ
河底に海の魚の住む土手に 白亜紀を辿る木蓮の花
日常に倦(う)みて乾反(ひぞ)りしわが心を音なく潤す夜の春雨
甘藍(かんらん)のすきま隙間の抱えいる 過ぎし時間をずしりと持ちぬ
われだけが浮いてる感じの輪の中に皆が笑えば急いで笑う
疾風にゆれいる小枝に近づけば薄紅の蕾のふくらみており
ドローンより見れば波紋は美(は)しきかな心の沼に礫(つぶて)を投げる
自(みずか)らの散華(さんげ)の炎に揺らめきて 椿一樹(いちじゅ)の冷え冷えと立つ
告げざれば心澄みゆく早春の光をサクサク音立て歩む
上を向く祈りもあらん蓮の上(え)に異国の神が慈雨を受けいる
何処より朧月夜を魔空駆け異国の神が国一つ産む
春の雨ときどきワイパー作動させ 山を霞ませ降るとも見えず
シクラメン去年(こぞ)の猛暑に枯れたはず 不死鳥のように八年目を咲く
美を見つめ矢を引き絞る象(かたち)にて 雪国に君は彫像となる
人の世の愛の深さを思うとき”シラノ”の星が妖しく瞬く
ノアの船に乗りそこなったわれは見る葡萄を積んで天(あま)駆ける舟
虹の輪をくぐりて来しや二羽の鶴 ガラスと化して我が許に居る
雪空を押しのけて咲く白梅の秘めたる意志の柔き花びら
うらうらと雛(ひいな)の茶碗にお薄(うす)点(た)てこの早春の時を味わう
断ち切った竹輪の穴よりほそぼそとわが生活の音が流れる
”待つ”というこの世に遠き 新調の花衣(はなごろも)着て
春浅き緑・白・ピンクの菱餅の遠い祖先の叡智を食す
花誘う早春の風に貝殻の中の雛(ひいな)は身じろぎをする
外(と)つ国の乙女の奏でる竪琴の音色に うらうら国境おぼろ
過ぎし日の上皇后を癒したとうチェロの音色の令和を包む
春の夜の耳を酔わせる言の葉に気付かれぬように手鏡隠す
闇深き白紙の森を机(き)に置いたチルチル・ミチルの後を付け行く
逃げること追うことをやめ今われは 虚空に独り佇みている
霏霏として降り続く雪に埋もれゆく 限界集落に幻の家
春の雪白き炎をあげて燃え 美と災害を共にもたらす
薄氷(うすらい)に閉じ込められし朝日影 真昼の陽ざしと合流している
風の来て文旦の実の大小を支える小枝はそれぞれにしなる
宇宙より何の連絡かニュートリノ 今この時もわが身抜けゆく
夜もすがら虎落笛(もがりぶえ)鳴る春隣(はるどなり) 月の光の再び凍る
陽が差せば蝋梅の蝋溶けてゆき冬の終りを香に満たす
侘助の一輪の重さと思う日は少し離れて木の姿見る
川沿いの雪柳の枝先の書きいる草書は風の代筆
西側のブック塀に生えし苔はわが暮らし来た時間の証(あかし)
枯れること拒みているや正月飾りのカーネイションは二月半ばも
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