1412「無限の夢」
眠(ねむ)っているときに見る夢(ゆめ)。それはまさに、一番身近(みぢか)なバーチャル世界(せかい)なのかもしれない。ここに、夢に取り憑(つ)かれた男がいた。彼は毎朝、どっと疲(つか)れて目を覚(さ)ます。いろんな夢を見るようになってしまったからだ。でも、どんな夢を見ていたのかどうしても思い出せない。夢を見ていたのは確(たし)かなのだが、目覚(めざ)めるとすぐに忘(わす)れてしまうのだ。思い出そうと頑張(がんば)っても、断片的(だんぺんてき)なぼやけた情景(じょうけい)しか出てこない。ある日のこと。目覚めると彼はひとつだけ、夢の中のことをはっきり覚えていた。それは、夢の中に自分(じぶん)がいて、これは夢だと気づいてしまったことだ。その途端(とたん)に、今まで見た夢がまるで逆再生(ぎゃくさいせい)のように巻戻...1412「無限の夢」
2023/08/30 17:36