[ブルーの住人]第八章:ついでに ~罪と罰~
=推察=しかし、わたは嫌だった。なにより臭い。体に染みつく、ツンとくるにおいには閉口した。ネズミはジッとしていない。落ち着き払っているネズミは、重病である。べつの意味で、気をつけて世話をしたものだ。とにかく、嫌だった。が、いまでは懐かしく思えてくる。それはその仕事ではなく――あの臭いに耐えられない現象ではなく、その本質=具現化されるものではなく、観念的に懐かしく思うのだと、推察する。故郷をはなれた人が、生まれ育った地の、風や匂いをなつかしむがごとくに。[ブルーの住人]第八章:ついでに~罪と罰~
2024/08/31 08:00