水たまりの中の青空 ~第二部~ (三百五十八)
「まあね。武蔵も、浮気ぐせがなくなれば、ほんとに良い夫なんだけど。でも、武蔵が浮気をやめたら、武蔵じゃなくなる気もするしね。面白いのよ、武蔵は。浮気したのかどうか、すぐに分かっちゃうの。笑っちゃうわ、ほんとに。自分からね、あたしは何も言わないのに、白状してるようなものなの。武蔵には内緒よ。くくく、武蔵ったら、かならず言うの。『こんどの休みに、買い物に行かないか?欲しいものはないか?取り引きがな、うまく行ったんだ』なーんて。ううーん、間違いないわ。だからね、こう考えることにしたの。武蔵の浮気は自分へのごほうびなんだ、って。ひとつ取り引きに成功したら、誰も褒めてくれないから、自分にごほうびを上げてるんだって。でも自分だけだと気がとがめるから、あたしにもごほうびをくれるんだって。おかしいでしょ?ほんとに」小夜子...水たまりの中の青空~第二部~(三百五十八)
2023/05/31 08:00