高瀬隼子「おいしいごはんが食べられますように」
高瀬隼子「おいしいごはんが食べられますように」(文藝春秋、2022年09月号)高瀬隼子「おいしいごはんが食べられますように」は第167回芥川賞受賞作。読み始めてわりとすぐ近くに、次の文章が出てくる。(287ページ)藤さんがにやにやしながら声をかけてくる。二谷は曖昧に、と自分では思っている速度で頷き返すが、藤さんからするとそれは首を縦に振っている同意の仕草であって、曖昧に濁した感じはつたわっていないらしく、「だよなー」とさらに強めの声を出され、二谷は今度こそまっすぐに強く頷かされた。あ、うまないなあ。いいなあ、と思わず声を上げる。二人の人間がいて、自分の意図がつたわらない。そして、押し切られる。その変化がおもしろい。特に「藤さんからするとそれは首を縦に振っている同意の仕草であって」という言い直し(?)という...高瀬隼子「おいしいごはんが食べられますように」
2022/08/30 19:58