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  • 夏はお化けと幽霊画/2024幽霊画展(全生庵)他

    ■全生庵『谷中圓朝まつり幽霊画展』(2024年8月1日~8月31日)昨年は猛暑の盛りに出かけて消耗したので、今年はどうしようかと様子を見ていた。会期の最終日、じりじり近づく台風10号を控えて、東京は曇り空だったので、思い切って出かけてみたら、若い女性のグループをはじめ、ずいぶんお客さんが多かった。展示作品は、昨年と同じものもあれば、入れ替わっているものもある。鏑木清方の『幽霊図』は茶托に載った蓋つきの茶碗を差し出す女性。俯いているので髪型しか見えない。白い着物の袖口から淡いピンクの襦袢(?)が覗いている。この「顔を見せない女の幽霊」シリーズが私は大好き。渡辺省亭『幽女図』は、煙の立つ火鉢の向こうで背けた顔に袖を当てている。池田綾岡『皿屋敷』は、菊を描いた襖の陰に座って、袖で顔を隠す女性。そばには行灯。この...夏はお化けと幽霊画/2024幽霊画展(全生庵)他

  • 娯楽作で学ぶ現代史/映画・ソウルの春

    〇キム・ソンス監督『ソウルの春』(角川シネマ有楽町)話題の韓国映画を見てきた。1979年12月12日、全斗煥と同志の秘密組織ハナ会グループが、粛軍クーデター(12.12軍事反乱)によって政権を掌握する顚末を描く(登場人物の名前は微妙に変えてある)。チョン・ドゥグァン少将(全斗煥)は、10月に起きた朴正煕暗殺事件の捜査本部長として強大な権力を手中にしたが、陸軍参謀総長はこれを警戒し、信頼のおけるイ・テシン少将を首都警備司令官に任命するともに、ドゥグァンを首都ソウルから遠ざける人事を計画する。危機感を抱いたドゥグァンは、参謀総長の罪をでっちあげて部下に拉致させ、同時に大統領から参謀総長取り調べの承認を得ようとしたが、大統領は疑念を抱いて認可を与えない。進退きわまったドゥグァンは、大統領の指令を無視し、実力行使...娯楽作で学ぶ現代史/映画・ソウルの春

  • 東西の名品を愛でる/空間と作品(アーティゾン美術館)

    〇アーティゾン美術館『空間と作品』(2024年7月27日~10月14日)おもしろい展覧会だという噂は聞いていたが、これほどとは思わなかった。「美術品が在ったその時々の場を想像し、体感してみること」をテーマに、和洋(+中華?)の絵画・立体作品140点余りのさまざまな鑑賞方法を提案する。はじめに「祈りの対象」では広々とした展示室に置かれた2体の円空仏。「依頼主と」はピサロの『四季』連作4点。何の変哲もない農村の四季風景なんだけど、とてもよかった。ある銀行家がダイニングルームに飾るために発注したそうだが、毎日見るならこういう穏やかな絵がよいね。「持ち主の存在」は、同館のコレクションの中でも有名なピカソの『腕を組んですわるサルタンバンク』で、かつてピアニストのホロヴィッツが所蔵していたという。本展は、このあとも旧...東西の名品を愛でる/空間と作品(アーティゾン美術館)

  • 長浜・総持寺の千手観音立像とギャラリートーク(東京長浜観音堂)

    〇東京長浜観音堂『千手観音立像(長浜市宮司町・総持寺)』(2024年8月1日~9月1日)令和6年度第2回展示の千手面観音立像を拝見し、8月17日に開催されたギャラリートーク(浅井歴史民俗資料館・秀平文忠氏)を聴いてきた。秀平さんのお話は、2023年11月にもお聴きしたことがあるが、そのときの肩書きは「高月観音の里歴史民俗資料館学芸員」だったので、異動されたのだな、と思った。浅井歴史民俗資料館、行ってみたいけれど、車がないと、かなり難しそうな立地である。今回お迎えしている千手観音立像は、平安時代(12世紀)の作と見られ、後世の修理の結果、「泥地古色彩」と呼ばれる黒っぽいお姿をしているが、よく見ると、小さな金箔の残りが散見される。丸顔で柔和なお顔立ちは、平安後期に流行した定朝様式を踏襲しているとのこと。長浜の...長浜・総持寺の千手観音立像とギャラリートーク(東京長浜観音堂)

  • 歴史物語としての魅力/吾妻鏡(藪本勝治)

    〇藪本勝治『吾妻鏡-鎌倉幕府「正史」の虚実』(中公新書)中央公論新社2024.7『吾妻鏡』は、鎌倉幕府の公式記録として1300年頃に編纂された史書で、治承4年(1180)に源頼朝が伊豆で挙兵してから、文永3年(1266)に第6代将軍宗尊親王が京都に送還されるまでを各将軍ごとに漢文編年体で記している。鎌倉幕府の草創から中期までの事蹟を記した、ほぼ唯一のまとまった文献であり、現在一般にイメージされる鎌倉時代の歴史像は『吾妻鏡』によって形成されてきた。私はこの時代にそれほど詳しくはないけれど、一昨年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を楽しんで見ていたので、『吾妻鏡』にはこう記載されている、という解説には、けっこう気を配っていた。ところが、近年の研究によれば、『吾妻鏡』の本質は、多くのフィクションをまじえて構築された...歴史物語としての魅力/吾妻鏡(藪本勝治)

  • 2024年7-8月展覧会拾遺

    ■五島美術館館蔵・夏の優品展『一味涼爽』(2024年6月22日~7月28日)「夏」と「涼」をテーマに、夏の情景を詠んだ古筆、日本画に表された消暑風景、清雅な禅僧の墨跡などを紹介。陶磁器に季節はなさそうだが、青磁や青花には涼しさを感じる。南宋・龍泉窯の『青磁鳳凰耳瓶』は、この種の瓶の中で最も大きい作例とのことで圧倒された。■日本民藝館特別展・朝鮮民族美術館設立100年記念『柳宗悦と朝鮮民族美術館』(2024年6月15日~8月25日)1924(大正3)年、浅川伯教・巧兄弟と柳宗悦が、京城(現在のソウル)に朝鮮民族美術館を設立してから100年の節目に当たることを記念し、その足跡をたどり、当時集められた品々を中心に、設立募金関連資料や開催された展覧会の資料を交えて展示する。大展示室だけでなく、2階の各展示室は、全...2024年7-8月展覧会拾遺

  • 第1季からパワーアップ/中華ドラマ『唐朝詭事録之西行』

    〇『唐朝詭事録之西行』全40集(愛奇藝、2024年)2022年に公開された『唐朝詭事録』の続編である。前作はまあまあ楽しめたが、エピソードによっては退屈なものもあり、私は「ハマる」ほどではなかった。それが今回は激ハマりしてしまった。今回は前作の登場人物そのままに「降魔変」「仵作之死」「風雪摩家店」「千重渡」「通天犀」「雲鼎酔」「上仙坊的来信」「供養人」の8つのエピソードで構成されている。まず「降魔変」の舞台は長安。大唐第一の絵師・秦孝白は成仏寺に降魔変の壁画を描いていたが、壁画の魔王が抜け出して人を襲う怪事件が起きる。大理寺少卿の盧凌風は、魔王との対決で重傷を負い、墓守に左遷されていた蘇無名が呼び戻される。最終的に事件は解決し、公主と太子を狙った国家転覆の陰謀を未然に防ぐことができたが、乱戦の中、盧凌風は...第1季からパワーアップ/中華ドラマ『唐朝詭事録之西行』

  • 最高級コレクション/美麗なるほとけ(根津美術館)

    〇根津美術館企画展『美麗なるほとけ-館蔵仏教絵画名作展-』(2024年7月27日~8月25日)根津美術館の仏画作例は「日本の私立美術館の中では最高レベルといってよい質と量を誇っています」と自ら言い切る自慢のコレクション。本展は、特に美麗な名品や希少性が高い作例などにしぼった、いわばコレクションの粋を展示する。冒頭は「院政期の仏画」で『普賢十羅刹女像』と『大日如来像』。前者は、向かって左向きの白象の前に二童子、後ろ(右)に唐装の十羅刹女が従う。先頭の羅刹女だけヘアスタイルが違って巻髪らしい。企画展『古美術かぞえうた』にも同名の仏画(鎌倉~南北朝時代)が出ていたが、こちらは平安時代の作。『大日如来像』は本展のポスター等にもなっているもの。朱隈を施した肌が輝くように美しく、全体に品のいい暖色系でまとまっている。...最高級コレクション/美麗なるほとけ(根津美術館)

  • 細川家の歴史とともに/Come on!九曜紋(永青文庫)

    〇永青文庫令和6年夏季展『Comeon!-九曜紋見つけて楽しむ細川家の家紋-』(2024年7月27日~9月23日)武器武具から調度品、染織品、掛軸の表装にいたるまで、大名家の伝来品にみられる九曜紋を幅広く展示し、細川家と九曜紋の関わりを紹介する。同館初となる家紋をテーマとした展覧会。昨年、同館所蔵の『長谷雄草紙』全巻公開展が開催されたとき、紀長谷雄邸に停められた牛車に描かれた九曜紋は「交通安全のお守りの役目の紋様だった」ということを初めて知った。以来、九曜紋のことが気になっていたので、うれしい企画だと思った。大きな円を小さな8個の円が取り囲む九曜紋は、太陽、月、火・水・木・金・土の五惑星、日月食や彗星に関係するとされる羅睺星・計都星を表すと言われ、細川家では、2代忠興が織田信長より九曜紋を拝領したと伝えら...細川家の歴史とともに/Comeon!九曜紋(永青文庫)

  • 思い出の陶磁器コレクション/日本・東洋陶磁の精華(出光美術館)

    〇出光美術館出光美術館の軌跡ここから、さきへIII『日本・東洋陶磁の精華-コレクションの深まり-』(2024年7月20日~8月25日)休館を控えた展覧会の第3弾は、同館コレクションの核とも言える日本と東洋の陶磁を展示する。本展の展示趣旨に「陶磁器は各国・地域で相互に影響を与えながらも、自然環境や文化・伝統などを背景に独自のフォルムやデザインを生み出していたことがわかります。出光美術館の陶磁器コレクションでは、これらを介した人々の交流、情熱を感じることができます」とあるのが嬉しかった。そう、私はこのような視点を、同館の展覧会を通じて学んできた。本展は冒頭に中国・朝鮮・日本の陶磁を代表する作品を数点ずつ並べている。中国の『青花龍文壺』(明・宣徳年代)は三本爪の龍のほかに鬼面(キールティムカ)4面が描かれている...思い出の陶磁器コレクション/日本・東洋陶磁の精華(出光美術館)

  • 源氏物語絵巻・橋姫を見る/尾張徳川家の至宝(サントリー美術館)

    〇サントリー美術館『徳川美術館展尾張徳川家の至宝』(2024年7月3日~9月1日)尾張徳川家に受け継がれてきた重宝の数々を所蔵する徳川美術館のコレクションから、国宝『源氏物語絵巻』『初音の調度』に加え、歴代当主や夫人たちの遺愛品、刀剣、茶道具、香道具、能装束などを展示し、尾張徳川家の歴史と華やかで格調の高い大名文化をする。『源氏物語絵巻』は、徳川美術館が絵15面・詞28面(蓬生、関屋、絵合(詞のみ)、柏木、横笛、竹河、橋姫、早蕨、宿木、東屋の各帖)、五島美術館が絵4面・詞9面(鈴虫、夕霧、御法の各帖)を所蔵する。東京在住が長い私は、五島美術館所蔵分は何度も見ているが、徳川美術館所蔵分は、なかなか見る機会がない。今回は「柏木三」「横笛」「橋姫」「柏木二」が出るというので、あまり記憶にない「橋姫」を狙うことに...源氏物語絵巻・橋姫を見る/尾張徳川家の至宝(サントリー美術館)

  • 日本橋でウズベク料理ディナー

    今日から私はお盆休み。その直前、昨日は職場の暑気払いで、一昨日は友人と会食した。中東好きの友人が見つけてきた「アロヒディン」というお店。トルコ料理、ロシア料理、そしてウスベク料理のコースがあるというので、どれも魅力で迷ったが、オーナーの出身国であるウズベキスタンの料理のコースにした。野菜多め、塩味のナンが美味しかった。プロフというウズベキスタンの炊き込みご飯。柔らかく煮込んだ(?)ニンニクを添える。トルキスタン系の国で食されている串焼きのシャシリク。手前のつくね状の串焼きは羊肉。スパイシーで美味。暑い日で、飲み放題コースだったので、冷たいお酒(カクテル)をがぶがぶ飲んでしまったが、最後は暖かいお茶にライスプリン。シナモンというか、ニッキの粉がかかっていて、八ッ橋を思い出した。気に入ったのは、マリブミルクと...日本橋でウズベク料理ディナー

  • 門前仲町グルメ散歩:2024夏・初かき氷

    日曜日、あまりの暑さに耐えかねて、買いもの帰りに深川伊勢屋で今年初のかき氷をいただいた。氷いちご(練乳添え)にソフトクリームをトッピングした私の定番。いちごシロップと練乳とソフトクリームをごちゃまぜにして食べると、ジャンクな駄菓子屋の氷菓子っぽくて美味しい。幸せ。ブログを遡ったら、昨年の初かき氷は7月下旬、一昨年は7月初めだった。今年の夏が涼しくて、氷を食べたくならなかったわけでは全くなくて、お店の営業時間が短くなったのと、私の出勤日が増えて、なかなか立ち寄る暇がなかったのだ。氷と糖分を補給すると、炎天下に出ても、しばらくは耐えられる。夏の憩いのひととき。門前仲町グルメ散歩:2024夏・初かき氷

  • 2024埼玉鶴ヶ島・脚折雨乞(すねおりあまごい)

    今年は埼玉県鶴ヶ島市の脚折雨乞が行われると知って見て来た。4年に一度、なぜかオリンピックイヤーに行われる神事だが、2020年はコロナ禍で中止になったので、8年ぶりだという。300人の男衆が竹と麦わらで作られた巨大な龍神をかついで練り歩き、最後は池に入って解体される。私は2007年度から2009年度まで鶴ヶ島市民だったので、2008年にこの神事を見物している。今回、16年ぶりに見に来た。東武東上線の若葉駅で下りるのも、たぶん16年ぶりではないかと思う。北側はあまり変わっていなかったが、南側は整備されて、大規模なマンションが増えた。15分ほど歩いて、神事の舞台である雷電池に到着したのは15時少し過ぎ。「ただいま龍神は国道407号線を渡っています」というアナウンスが流れていた。やがて池を挟んで向かいの雷電社のあ...2024埼玉鶴ヶ島・脚折雨乞(すねおりあまごい)

  • 高雄曼荼羅、前期は胎蔵界/神護寺(東京国立博物館)

    〇東京国立博物館創建1200年記念・特別展『神護寺-空海と真言密教のはじまり』(2024年7月17日~9月8日)824年に正式に密教寺院となった神護寺創建1200年と空海生誕1250年を記念して、約230年ぶりの修復を終えた国宝『両界曼荼羅(高雄曼荼羅)』など、空海ゆかりの宝物をはじめ、神護寺に受け継がれる貴重な文化財を紹介する。京都・高雄の神護寺は大好きなので、本展を楽しみにしていた。昨年5月、久しぶりに神護寺を訪ねたら、ちょうど『金銀泥両界大曼荼羅』(高雄曼荼羅、江戸模写本)の特別公開が行われていて、修復を終えた原本『高雄曼荼羅』は、東博と奈良博で公開予定という情報を得た。そして今年5月、奈良博の『空海KUKAI』展で見ることができたのは『金剛界』だったので、東京は『胎蔵界』の出ている前期(812まで...高雄曼荼羅、前期は胎蔵界/神護寺(東京国立博物館)

  • 豆知識もいろいろ/唐三彩(松岡美術館)

    〇松岡美術館『唐三彩-古代中国のフィギュア-』(2024年6月18日~10月13日)「唐時代には、唐三彩俑や加彩俑と呼ばれる、カラフルで生命力に溢れる造形のフィギュアをお墓に入れる風習がありました」というのは、本展のイントロダクション。フィギュアか…と思ったけど、まあ間違ってはいない。いずれも唐代の、人物や牛・馬など40件弱の陶俑が展示されていた。はじめに目に入ったのは、官人、武人、婦人などの人物俑。『三彩官人(一対)』は、褐釉の衣の武官(冠にヤマドリ=羽根でなくて鳥そのものの飾りが付いている)と緑釉の衣の文官のペアらしかったが、なぜか上衣の丈が短くて、股引を穿いたような両脚がにゅっと伸びており、文官がこの格好はないだろう、と思う。どちらも武官なのかな。『黄釉加彩楽人』は全6体のすべて女性の楽人俑のセット...豆知識もいろいろ/唐三彩(松岡美術館)

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