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脱サラ社長ユーサクの半生を描く http://blog.livedoor.jp/you_wizard/

スーツを脱いでモップを握り、器用貧乏なれど二毛作を経験しながら己の築城を始めていくユーサクの半生。

財閥系大手企業で順調に出世し、公私共に充実していた男が、義父の誘惑と自らの勘違いで、あっさりとそのポジションを捨ててしまった。 そこから苦悩の日々が始まるノンフィクション・ドキュメンタリー。

平松 勇策
フォロー
住所
麻生区
出身
小平市
ブログ村参加

2013/09/28

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  • 第四十五話 やる人間として

    平成元年から平成三年あたりに就職した人間を、バブル入社組と呼ぶ。 まさにどの企業も、通常より多くの新卒者を採用した年である。 私も当時は数多くの大手企業から、ラブコールを受けた。内定をいただいた某財閥系の企業に、内定の辞退を伝えに行ったら、その会社の人

  • 第四十四話 袂を分かつ

    飲食業からの撤退を機に、私はD投資顧問を離れ、有限会社フオバルに我が身を百パーセント戻すことにした。 とは言えこの三年間で、色々な経験をさせてもらった毛利先輩には、心から感謝したい。 この間で生まれた様々な人との出会いも、自分にとっては大きな財産である

  • 第四十三話 夜の西麻布・クローズ編

    夜のラウンジというのは、客単価からしても大変儲かる事業のように感じるかもしれない。 しかし華やかなイメージとは逆に、事業損益はシビアであった。 因みにBUSSH西麻布の売上は、初年度が一億四千万円(営業利益はマイナス千六百万円)、二年目が二億三百億円(

  • 第四十二話 夜の西麻布・エキサイト編

    私は有限会社フオバルの代表取締役社長である。 当然本業はダスクィーンであるから、毎朝会社に出勤し、朝礼で社員たちを元気に送り出す。 そしてダスクィーンのスタッフをサポートする業務や事務処理をこなした後、夜はBUSSH西麻布の現場管理者として、一週間に三

  • 第四十一話 夜の西麻布・オープン編

    西麻布の交差点付近はあまり交通の便が良くない。 地下鉄の六本木駅か乃木坂駅が最寄駅なのだろうが、この街に来る人間は電車利用というよりも、タクシー利用者が多いようだ。 「大人の隠れ家」とも呼ばれる所以である。 西麻布の交差点から、百五十メートルほど北西に

  • 第四 十 話 リーマンショック

    D投資顧問が扱う物件は長期保有が目的ではなく、あくまでバリューアップして(価値を高めて)、アップサイドで(上限価格で)、売却することを目的としていた。 中でも名古屋で開発中のテナントビルは、総事業費が五十億という大型案件。売却先も外資系のファンドに決定

  • 第三十九話 二足のわらじ

    無事に過半数の株式を取得し、なんとか私は会社の実権を握ることができた。 改革も奏功し、これまで右肩下がりを続けていた売上は、増収・増益に転じ始めたが、依然として会社のキャッシュフローは楽ではなく、私自身の収入は不安定な状況が続いていた。 そんな時、前職

  • 第三十八話 キレてコスト削減・後編

    私はまだ怒りが収まらず、もうひとつの取引金融機関である、某信用金庫の支店長代理に電話をして、今のこの件を怒りに任せてぶちまけた。 するとその支店長代理は、 「大変よく分かりました。しかしひどい担当ですね、その女性は。まあ、あそこの銀行はそもそもそういう

  • 第三十七話 キレてコスト削減・前編

    事業収支の改善には、コストの削減も重要な要素である。そしてその機会は突然やってきた。 当社は前述の通り、先代への退職金支払い及び運転資金確保のため、地元の大手地方銀行から長期で借入をしている。 返済は滞ることなく順調で、借入時よりしばらく経過した現在、

  • 第三十六話 権限移譲

    正社員中心の従業員体制、組織員の意識改革、新規事業への参入、事務方含むスタッフ全員による守備範囲遵守。改革は少しずつ実り始めている。 そしてお次は、いよいよ代表者の権限移譲である。 有限会社フオバルは、私が代表取締役社長だが、先代である義父は代表取締役

  • 第三十五話 増収・増益体制へ

    私が有限会社フオバルに入社して四年目、ついに会社の売上が、緩やかな右肩上がりを始めた。 まだ大幅な増収・増益とは呼べないが、それでも会社は少しずつ活気を取り戻してきている。 正社員も五人に増え、組織員を含むスタッフ総勢は二十二名。明らかに四年前とは社内

  • 第三十四話 新規事業に参入

    この時の我が社の月次収支はマイナスである。 営業利益の段階でマイナスなのだから、このままではマズい。 売上はどうにか、右肩下がりから横ばいにはなったものの、人件費は大幅に増えた。アルバイト中心の雇用形態から、正社員中心に移行したからだ。明らかに人件費負

  • 第三十三話 目覚めよ主婦軍団

    私はまず、組織員全員と契約書面を交わすことにした。いわゆる業務委託契約である。 会社が要求している内容や組織員の立場を明確にすることが目的であった。 組織員たちは皆、その契約書を目の前に、意味が分からないという表情で座っていた。 四週間に一度の組織員ミ

  • 第三十二話 組織員という主婦たち

    ダスクィーンのスタッフ構成は、どの店にも組織員と呼ばれる主婦たちがいる。 その組織員は、会社とは雇用の関係ではなく、業務委託の関係になる。 ダスクィーンの顧客獲得の歴史には、この組織員の存在なしでは語れない。口コミや直接訪問で次々と顧客を増やしていった

  • 第三十一話 非正規雇用から正社員へ

    スタッフの安定―。 まずはスタッフの出入りが収まらないと、会社の発展どころではない。とにかくスタッフの補充は急務だった。 有限会社フオバルのスタッフは、これまで非正規雇用(アルバイト)と業務委託の組織員が中心であった。 確かに正規雇用(正社員)は固定費

  • 第三 十 話 虚言癖の男・フィナーレ

    「集金済である現金が、会社に入っていません!」 ある朝、経理担当の香林さんから報告があった。 詳しく聞くと、集金先はナベさん担当の顧客。すぐにナベさんの携帯に電話する。 「すみません、今家にあります」との返事。 (家にあるってなんだ? 直帰は認めていない

  • 第二十九話 虚言癖の男・マット契約編

    当社の大口顧客であるR電子に隣接して、同じMグループであるMレーヨンの工場がある。以前はMレーヨンも当社の顧客だったのだが、今は他社の低価格商品が使われている。 ある日ナベさんが私に報告してきた。 「社長、Mレーヨンから新規マット四枚の契約が取れました

  • 第二十八話 虚言癖の男・タクシー会社編

    多摩川河原での問い質しから半年ほど経ったが、ナベさんは本当に毎日ルートサービスに精を出している。 元々人当たりは良いし、腰も低くて笑顔が可愛らしい(これは言い過ぎか…)から、真面目にやってくれればきっと戦力になるはずである。 そんなある日、 「社長、私

  • 第二十七話 虚言癖の男・カー用品店編

    「社長、これまで何度か営業をかけていたカー用品店の担当者さんから、本日手紙をもらいました」 ある日ナベさんが、一通の封書を私に手渡してきた。 宛名は私宛になっている。名刺交換もしたことがない人が、細いボールペンの文字で私の氏名を書いている。 この段階で

  • 第二十六話 虚言癖の男・管理釣り場編

    「社長、山梨県にある管理釣り場のタダ券が手に入ったので、今度いかがですか?」 ある日ナベさんが笑顔で話しかけてきた。 ルアーフィッシングが好きな私は、河口湖でバスフィッシングをしたり、近所の管理釣り場でトラウトフィッシングをやるので、 「いいねえ、じゃ

  • 第二十五話 虚言癖の男・芳香器編

    「社長、R電子さん、芳香器が十台追加で契約となりました!」 ナベさんが威勢よく報告してきた。 R電子は当社の大口顧客で、当社はR電子の工場に、マットやモップを多数納品している。 そのR電子の各階男女トイレ十箇所に、芳香消臭器四週間定期補充契約を上乗せし

  • 第二十四話 虚言癖の男・プロローグ

    よく嘘をつく人間がいる。 その者は些細なことでもすぐに嘘をつく傾向にある。つまり虚言することが習慣になってしまっているのだ。 私のよく知っている人間にも、虚言が習慣になっている者が何人かいる。 不思議と皆に共通しているのは、その嘘が相手に気付かれていな

  • 第二十三話 罪と罰 その四

    そろそろ大野木の判決が出るころかなと思っていたら、私の携帯電話に大野木の父親から電話が入った。 今回の判決内容の報告と私に対するお礼、そして大野木の離婚が決定的になったことなどを話してくれた。また本日時間があれば、父子で私と会いたいとのこと。 場所は

  • 第二十二話 罪と罰 その三

    大野木の拘留は、予定通り十日間の延長が決まった。 二回目の面会で私は、ダスクィーン業務関連の資料を持参した。 「今日は春のキャンペーンチラシや、活動ガイドを差し入れしたから、ここを出たらすぐ開始できるように勉強しておけよ」 心なしか頬の吹き出物が増え

  • 第二十一話 罪と罰 その二

    面会室体験は初めてであった。まさにドラマ等で見る面会室と同じである。 「向こう側」とは強化ガラスで仕切られていて、お互いが着席して向かい合った顔の位置あたりには、丸い小さな穴がたくさん開いている。 どんなに強くたたいても割れる様子などまるでない、この強

  • 第二 十 話 罪と罰 その一

    大野木という、若干二十五歳にして妻と子供二人を持つ、これまた真面目で一本筋の通った男が入社した。 仕事に打ち込む姿勢は、これまで採用してきた新人の中でピカイチだった。 「できちゃった婚」らしいが、男として責任を取るのは当然です、と迷いなく話すその仕草に

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