「あの、パンのバイキングがあるのは知ってますか?」いつものようにレジを打ってもらう間にそう俺が切り出すと、彼女はパンを袋に詰める手を止めずに頷いた。「ええ。レ…
なにせ経験がないんだ。ここは経験と知識が豊富な人物に頼るのが無難だろう。しかし、リアルで誰かに聞き込むのは少々恥ずかしい。ということで、俺はデートの誘い方につ…
ケーキバイキングはどうだ。いや、俺がキツイな。それに、女性はお菓子が好きだというイメージはあるが、ダイエットだなんだと甘いものを控える人もいるらしいし。そうだ…
俺のデートのイメージとしては、待ち合わせをして映画でも見て、どこかでお茶でも飲み、公園を散歩して帰り際にキスとか。いやいやいや、ちょっと待て。先走り過ぎだ。ま…
しかし、これ以上踏み込むとなると失敗した時のショックはでかい。フラれたらあの店に行くこともできなくなるだろうし、同じマンションなんだから彼女にも気まずい思いを…
この日以来、彼女の雰囲気はますます柔らかくなり、週に一度レジに立つ日は必ず雑談を交わすほどに俺と彼女の距離は縮んだ。いや、そもそも客と店員という距離感からは大…
きっと失敗しないようにと毎回気を張っていたんだろう。と思ったが、ふと福引券のことを思い出した。「そう言えば、福引券も渡し忘れてましたよね」途端に彼女が、ぱっと…
俺はもう少し話がしたくて、聞いてみた。「接客も苦手なんですか?」彼女はちょっと困ったような顔で頷いた。「はい、お客様の前だと緊張してしまうから厨房がいいんです…
「それと、この間はすみませんでした」「え?」「あの、わたし、話をするのが苦手で。すぐにお店のお客様だって気がついたんですけど、何て言ったらいいのかわからなくて…
いかん、なんとか会話を切り出さないと。そう焦る俺を彼女がチラリと見る。そして、「あの、明日からクロワッサンのサンドイッチも出るんですよ」そう言ってすぐにまた俯…
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