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ひかじゅん通信 http://hikajuntsu-sin.cocolog-nifty.com/

長男じゅんいち次男ひかるただそれだけでタイトルをつけたとっても気ままで無責任な自由詩のブログです

ほとんどの詩が発達障害のため普通の子どもより感受性が豊かで言動もユニークで面白い次男ひかるのことを書いています

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2009/12/12

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  • あるモノ

    十七年前に七十歳で他界した父親のことを、ふと思い出す。物を仕入れ車に載せて売り歩く、いわゆる行商人だった父親は、毎朝四時に起床して夕方近くまで働いた。私が中学校から帰ると、父親は大抵いびきをかいて昼寝をしているか庭の物置でトンカチやって、あるモノを製作していた。その「あるモノ」は直径五センチ、長さ十センチの円筒の中心に直径五ミリ、長さ二十センチの鉄の棒が通してあった。円筒自体の材質は思い出せないが表面にはカーブに沿って厚さが三ミリ、幅十ミリの平べったく硬いゴムのような帯状の磁石が黄色い万能ボンドで幾重にも貼られていた。父親は直径がひとまわり大きい半円の筒と台座が一体になったものに円筒を取り付けて、鉄棒をつまんでクルクル回転させた。半円の内側にも帯状の磁石が貼ってあり、磁石同士が近づくと反発する力と逆の引き合う力が発生するように、プラスとマイナスの面が交互に貼られていた。父親の頭の中では円筒が磁石の作用で半円の筒の上を静かにクルクルと回っていた。父親は電気もガソリンもいらない、人類の夢である永久機関に挑戦していたのだ。その挑戦は私が二十歳を過ぎてからも続いていた。父親が今の日本を見たら、きっと自分が完成できなかったことを悔やむだろう。...

  • 朝のリレー2012

    あさ五時五十分に起床してちゃんちゃんこを着たらリビングのカーテンを全開にしてまだ真っ暗な外を眺めながら窓の結露を拭いてレースのカーテンだけ閉めたら寝起きの光を布団からリビングのソファーにお姫様だっこで連れてってロッキーで買ったワンパック六個入りのプチ大福餅を食べさせながら朝の情報番組ZIP!のおはよう忍者隊ガッチャマンに釘づけの光にポロシャツと半ズボンとスクールベストのうえにスクールセーターを重ね着して歯ブラシを渡してゴシゴシさせてズボンのポケットにハンカチとティッシュと貼らないカイロを突っ込ませてハーフコート着せてランドセル背負わせて学校へ。こんな感じで毎日がスタートする。...

  • 一月三日

    お年玉のことで小3の次男が不満をぶちまけた。どうして兄ちゃんのお年玉の方が僕より多いんだ。おじいちゃんもおばあちゃんもおじちゃんもそうだ。いつも兄ちゃんの方が多い。僕はなんにも悪いことはしてないのに。いままでずっと我慢してきた。でももう許さない。長男のポチ袋もつかんだままリビングのソファーに毛布をかぶって泣きながら蹲ってしまった。こうなったら気持ちが落ち着くまで待つしかない。さてどう説明しようか。兄ちゃんは年上だからだ。答えになっていないぞ。昔から決まっている。誰が決めたんだ。兄ちゃんは勉強も難しいし、部活も大変だからだ。次男にとっても勉強は大変だろう。これならどうだ。小学生にたくさんのお金は必要ない。中学生にも必要ないぞ。どれも説得力に欠ける。落ち着いたので、とりあえず聞いてみた。金額が足りないのか、同じ金額ならいいのか。同じならいいと答えた。次男の目の前で二人のお年玉を足して、それを二等分にして見せた。そして二人に渡した。長男は文句を言わなかった。一月三日。おじいちゃんの実家から息子たちが帰ってきた夜の出来事だった。...

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