似顔絵でパーツという言葉を使うのは好きではない。目鼻口を部品のように見てしまうと、人間味が薄れてしまう気がする。目にはまぶたがあり、鼻には小鼻があり、口には唇がある。そうであるなら、目と鼻の間や、鼻や口の間にも言語化できない特徴があるはずだ。便宜上、目鼻口と言っているが、その間のニュアンスも似せられるようにしたい。目鼻口以外が似せられるのであれば、かなりの個性になり得る。パーツを似せるということでいきづまってしまったのなら、いったんパーツという考え方をやめ、顔のニュアンスを観察してみるとよい。パーツという考え方を改める
似顔絵を描くとき、余白のことも考えたい。似顔絵は輪郭が大事だと言ってきたが、その外側の余白も見てほしい。余白が少ないと厚かましい印象を与える。余白が多いと、さみしい印象を与える。余白でモデルの印象も変わるので、その特色を活かして描いてみてほしい。似顔絵と余白
透明水彩で、じっくり描いた作品。ぼんやりと見ると、顔に見えてくる。麻生太郎(似顔絵)
じーっと見で、じっくり描いた作品。透明水彩を使用。あの(似顔絵)
鼻を誇張して描いた作品。川平慈英(似顔絵)
クリスマス。平面化した作品。静物(クリスマス)
クリスマス。私ではない誰かシリーズ(クリスマス)
似顔絵を描くときに、どこに明暗を用いるのかを考えることは大事だ。主役を暗くするのか、背景を暗くするのかなど、線で下描きしているときにも考えておきたい。強い明暗というと、ハイコントラストが浮かぶ。ハイコンの場合は、造形的な正しさというよりも、白い画面と暗い部分とのバランスで見たほうが上手くいく。似顔絵と明暗
空間の平面化。実像と虚像が、見方によって置き換わる作品。正面の顔が横顔に見えることによって、空間も平面化する。「空間のオブジェ」シリーズ。
筆ペンで。和田秀樹(似顔絵)
キノコに見立てて。日村勇紀(似顔絵)
筆ペンで。中島史恵(似顔絵)
ハイコンで。錦鯉(似顔絵)
見立て似顔絵を描くには、まず、「モデル」と「似ていると思われるもの」を決める。次に、「モデル」と「似ていると思われるもの」の中間の形をイメージする。そして、二つの共通の似ている点を誇張して描けばよい。モデルと似ていると思われるものの関係性が深いと、必然的になり、浅いと突飛なアイデアに見える。見立て似顔絵の描き方
【似顔映】北島三郎【デフォルメ似顔絵の描き方のコツ】描き方のコツは、中間の形をイメージすること。【似顔映】北島三郎【デフォルメ似顔絵の描き方のコツ】
遠藤憲一さんの似顔絵を描いてみた描き方のコツは、中間の形をイメージすること。遠藤憲一さんの似顔絵を描いてみた
下描きなしで、じーっと見で描いた作品。筆ペンを使用。中居正広(似顔絵)
鼻はじーっと見、他はぱっと見で描いた作品。岡田将生(似顔絵)
線のみで表現した作品。笑福亭鶴瓶(似顔絵)
片ぼかしで描いた作品。菜々緒(似顔絵)
ぐしゃぐしゃ、もじゃもじゃなタッチで描いた作品。東野幸治(似顔絵)
奇をてらわず描いた作品。加藤一二三(似顔絵)
平面化して描いた作品。麿赤児(似顔絵)
近代日本美術協会で入選。デカルコマニーに輪郭線を引いて平面化したりしている。多重像の人物画。私ではない誰か2024-近代日本美術協会展入選
先月の自由が丘産経学園「はじめての似顔絵教室」は、体験の方もいらっしゃったので、似顔絵の基本の話をした。髪型や輪郭から見ていくものの見方と、「ぱじぼー」という見方。体験の方は、初心者だったが、線がよく、クロッキーとしても通用するものだったが、もっと面白く描きたいということだった。高尚すぎると、面白味にかけることがある。初めての似顔絵教室アーカイブ
リアル鉛筆画からのデフォルメ似顔絵の描き方のコツ【矢沢永吉】
リアル鉛筆画からのデフォルメ似顔絵の描き方のコツ【矢沢永吉】リアルを超えて。リアル鉛筆画からのデフォルメ似顔絵の描き方のコツ【矢沢永吉】
似顔絵は楽しく描ければそれでよいのだが、構図も意識して描くと、より見てくれる人は増えると思う。構図と言っても難しいことではなく、画面に人を配置するとしたら、どこへ配置すれば伝わりやすいのかを考える程度のものでよい。具体的には、余白と人とのバランスである。ごちゃごちゃしていても、可能な限り余白は取るべきである。構図がしっかりしてくると、見やすくなる。見やすいということは、本題である似ているかどうかを見てくれるということになる。似ている似顔絵が描けるようになったのなら、ぜひ構図にも力を入れてほしい。似顔絵と構図
【似顔映】ドナルド・トランプ【デフォルメ似顔絵の描き方のコツ】
【似顔映】ドナルド・トランプ【デフォルメ似顔絵の描き方のコツ】リアル写実が似顔絵の最終到達点ではなくて、その入り口であることを知ってほしい。ピカソの絵は難解で、青青の時代までしか理解できない人も多いと思う。似顔絵もそれと同じで、写実をデフォルメしたものや、立体を平面化したものは、難解で理解しづらい。だが、写実が最終到達点という古い考え方や見方をやめ、デフォルメや平面化してからのほうが、奥が深いことに早く気付いてほしい。【似顔映】ドナルド・トランプ【デフォルメ似顔絵の描き方のコツ】
筆ペンで。永井謙佑(似顔絵)
筆で。習近平(似顔絵)
黒で。壇蜜(似顔絵)
モザイクで。松本人志(似顔絵)
筆ペンで。谷川俊太郎(似顔絵)
似顔絵の勉強。
雰囲気を。高倉健(似顔絵)
読書家。中村憲剛(似顔絵)
似顔絵で斜めの顔が描けると、二人以上の人物を配置したときに、その関係性が描けるメリットがある。向き合っていれば親密、そっぽを向いていれば犬猿の仲など、それほど単純ではないが、両者の関係性が描けるようになる。関係性が描けるようになると、空気感や雰囲気も描けるようになると思う。正面の似顔絵以外にも挑戦してほしい。斜めの顔が描けたなら
口を描こうとすると、かまぼこ型の記号的な口になりやすい。上唇がかぶさっているように描けるとよい。歯は全て描くと下品になるので、上の歯の縦線は下部だけ描く、などの配慮が必要になる。逆に風刺画にするなら、歯を全部細かく描いてしまうのも手だ。口の描き方
インフルエンサー。イーロン・マスク(似顔絵)
じーっと見で、じっくり描いた作品。筆ペンを使用。ヒロミ(似顔絵)
じーっと見から、ささっと描いた作品。筆ペンを使用。藤木直人(似顔絵)
じーっと見から、ささっと描いた作品。筆ペンを使用。黒木華(似顔絵)
じーっと見で描いた作品。筆ペンを使用。寺島進(似顔絵)
オーバーパースで。千葉百音(似顔絵)
あっさりと。坂本花織(似顔絵)
ラグビーボールの輪郭から、じーっと見で。山下真司(似顔絵)
さらりと。壇蜜(似顔絵)
じーっと見から、ささっと。イッセー尾形(似顔絵)
ハイコントラストで。天海祐希(似顔絵)
鼻を描こうとすると、小鼻と鼻孔を誇張して描きがちだが、鼻の穴ではなくて、鼻の底面という意識で、塗りつぶさずに描くと品がよくなる。鼻孔に限らず、鼻は底面を意識して描くとよい、鼻の描き方
目を描く前に、目が離れているのか、寄っているのか、大人のように高いのか、子供のように低いのか、その位置を見なければならない。位置がつかめたのならば、次は角度と大きさだ。ぱっと見で、目がつりあがっているのか、垂れ下がっているのかを瞬時に判断する。じーっと見だと、まぶたのカーブを見ていると、つりあがっているのか、垂れ下がっているのか分からなくなってしまう。難しいときは、ぼーっと見で、ぼんやりと離して、目の角度を眺めてもよいだろう。角度がつかめたら、適切な大きさで、ぱっと見の印象のまま、じーっと見で描いてみるのもよいと思う。目の描き方
面分割(色面分割)の仕方は、中間色を塗ってから、明るい面と暗い面を塗ればよい。光源に対して、面の意識を持つことが大切だ。面分割あるいは色面分割は、デッサンと平面構成の中間として考えられる大事な勉強法であり、それだけで表現作品になり得る。輪郭線を持たない面分割は、基本的に立体的と言える。逆に、輪郭線を引いたなら、それは平面である。面分割(色面分割)の仕方
キャラクターは、そのまま描けないので「へのへのもへじ」にした作品。楳図かずお(似顔絵)
カマラ・ハリス阿部公房正岡子規ヘミングウェイ草なぎ剛芥川龍之介太宰治面分割(色面分割)で」描いた似顔絵
目を誇張した作品。アンハサウェイ(似顔絵)
エスキース私ではない誰かシリーズ(エスキース)
似顔絵の理想は、ぱっと見である。短時間でぱっと見て、ささっと描けるようになりたい。けれど、ぱっと見からよく観察するのは難しい。大ざっぱにとらえたものを細かく見るのも難しい。やはり最初は、じーっと見でよく観察して描くしかないのだと思う。小中学校で描く自画像や他画像のように、よく見て描く経験はしてもらいたい。見ないで描くなどというアクロバティックな方法もあるにはあるが、よく見ることを否定するものではない。じーっと見の欠点は、時間をかけて見るために、目が慣れてしまうことだ。目が慣れてしまうと、平均顔との差異を見つけるのは難しくなる。適度に休みながら、ぱっと見の理想を持ちつつ、じーっと見から始めてほしい。基本はじーっと見から
似顔絵で、輪郭線やシルエットが似ていないと、似せるのは難しい。輪郭線が全く違うように描く場合は、目鼻口おでこ・ほほ・顎などの部分を細密描写するとよい。逆に言えば、輪郭線さえ似ていれば、細密描写する必要はあまりない。シンプルに描きたいのであれば、輪郭線は似せるべきだが、細密描写したいのであれば、全く違った輪郭で描くのも面白いと思う。全く違った輪郭とは、輪郭が、文字や図形や記号になっているなどが考えられる。モデルを全く違う輪郭で似せる方法
目鼻口を小さく、じーっと見で描いた作品。吉高由里子(似顔絵)
キャラクターはそのまま描けないので、「へのへのもへじ」にした作品。大山のぶ代(似顔絵)
位置を誇張し、じーっと見で描いた作品。安藤サクラ(似顔絵)
位置を誇張し、じーっと見で描いた作品。柄本佑(似顔絵)
まず、任意に誇張した形状を決めた。そこに目鼻口をじーっと見で描きこみつつも、全体のバランスを取っていった。山崎育三郎(似顔絵)
最初から最後まで、じーっと見で描いた作品。透明水彩を使用。田原総一朗(似顔絵)
平面化しながら下描きをして、じーっと見で描いた作品。金田明夫(似顔絵)
毛筆。じーっと見でよく観察してから、素早く描いた。基本は、じーっと見だが、目の角度など、ぱっと見の要素も取り入れている。反町隆史(似顔絵)
毛筆。じーっと見でよく観察してから、素早く描いた。基本は、じーっと見。内藤剛志(似顔絵)
毛筆。じーっと見でよく観察してから、素早く描いた。基本は、じーっと見である。加山雄三(似顔絵)
ぱっと見の印象を平面化したのち、斜体をかけて、人物と背景に空間を作った遊び。神木隆之介(似顔絵)
空想科学入門のときのような、簡略化したキャラクターで矢吹ジョーを描いたあと、ぱっと見の印象で描いた作品。ちばてつや(似顔絵)
輪郭を誇張して描いたあと、ぱっと見の印象で描いた作品。西田敏行(似顔絵)
鼻をじーっと見で、全体をぱっと見で描いた作品。広瀬アリス(似顔絵)
鼻を大きく誇張したあと、全体をじーっと見で描いた作品。透明水彩を使用。中井貴一(似顔絵)
毛筆には、直筆、側筆、逆筆などがあるが、細い線と太い線の引き方と、下から上へ線を引いてもよい程度の知識でもよいと思う。描く前に、じーっと見でモデルをよく観察することが大切だ。描く前の段階が大事なのだ。描くときには、勢いでぱっと描く。ぱっと見に近いが、じーっと見で毛筆の筆勢を活かして描いてもよいと思う。毛筆の描き方
「ブログリーダー」を活用して、照井正邦さんをフォローしませんか?