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ドラクエ9天使ツアーズ https://blog.goo.ne.jp/unoji73

DQ9のイラストと4コマ漫画を連載中です。オリジナル要素が多いので未プレイの方も遊びに来て下さいね♪

ドラクエ天使の旅が終わった人も、途中の人も、まだこれからの人も!気ままな4人の、軽妙な珍道中にご案内します♪

うかゆか
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2009/11/06

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  • ケジメ5

    馬車留の柵にもたれ掛かりながら、山の端に今にも沈みそうな夕日を眺めていたシオは、遠い日の幼い恋愛をなんとなく思い出していたが。「待たせた」と背後から声をかけられて、その人物を振り返った。記憶の中の行商人の彼とは違い、愛想もなければ社交辞令もない、無口で堅実な商売をするためだけに生きているような男だ。だから「急がせたのなら悪かったわ」とシオが応えれば、「いつも通りだ」とだけ返して、柵の中に戻っていく。シオより頭一つ大きい背丈に荷を扱う仕事で鍛えられた肉体は、何も知らない人間が見れば、それなりの武闘家かと見紛うだろうが、この村の人間は知っている。滅多にお目にかかれないほどの、運動神経の悪さを。現に今も、自分の体の大きさをうまく把握していないかのように、柵に思いっきり腰をぶつけてよろめいていた。おそらくシオだけ...ケジメ5

  • ケジメ4

    シオに初めて求婚した男は、村に馴染みの行商人の息子だった。それまで通い詰めていた父親に代わり、この村の担当を任されたばかりの彼は、多くの娘の好奇にさらされながらも物おじせず、シオに自分を売り込む事に熱心だった。そう、商いよりよほど。その情熱と一途さは若い娘たちの羨望を集め、まだ若手だったシオもそれなりに気を寄せていたのだ。だから彼が村に滞在するのは決まってシオの元で、その仲が半ば公認の様になるのもそう日数がかからなかった。一晩を共にする間に、彼とは互いに旅の話を交わすことで信頼を深めあう。その流れで求婚された夜に、シオは、「なぜ私なの?」と、娘らしい可愛らしい質問を投げる。6つほど歳上の彼は、娘に添い寝する父親がおとぎ話でも聞かせるような声音で思いを打ち明けた。「君は母親が不在の家で育っただろう?僕は父親...ケジメ4

  • ケジメ3

    結婚なんてものは人生の足枷だ。両の手足を縛り、自由な行動を制限し、個人の思考を封じ込める。そうであっても構わないという強い意志がある者だけが、そこへと踏み込んでいく。もしくは、枷をものともせず自在に動ける力を持つ者だけが欲することのできる生き様だ。強さこそが正義、の村で育ったシオは、いつからか結婚に対してそんな意識があった。結婚、から生み出された家族の一員として思うこと。父や妹たち家族を枷だと思ったことはないし、もし他者から「それを枷というのよ」と指摘されたとしても、なるほど自分は枷をものともしない力を持つ者なのだ、と考えただろう。それでも、結婚に対しては意義を見出せなかった。どんな男から求婚されてもそれを受け入れたいと思うほどに魅力的なものだとは思えなくて。それよりも末の妹ミオを一人前の冒険者に育てなく...ケジメ3

  • ケジメ2

    「あんただって昔からちっとも変わりやしないじゃないか。何かあったら絶対ここだ」ゆるい下りになっている草道を、降りてくる母。羽虫を軽く手で払う時には、記憶の匂い。虫除けのハーブを使った白粉の匂いは、祖母の代からずっと家に伝わる調合のそれだ。「昔から、って」ここで母と顔を合わせた記憶はない。不意をつかれて思わず立ち上がっているシオは、泉の淵までやって来た母の真意を測り損ねていた。「父さんに聞いたの?」機嫌を損ねる度にシオがここで一人籠ること、父親なら知っていてもおかしくはないと思ったが。母は、鼻で笑った。それも見慣れた仕草の一つ。「あの人は、女の痩せ我慢にずかずか踏み込むような男じゃあないよ」痩せ我慢。別に痩せ我慢を張って逃げ込んでるわけじゃない。そう反論しかけて、では父は知らないことで、やはり母だけに知られ...ケジメ2

  • ケジメ1

    夏の午後。(ああもう!腹立たしいったら!!)といった内心の声がだだ漏れの様な乱暴な打ち水をぶちかましたシオは、水桶を納屋に仕舞って、そのまま家には帰らず、少し歩いた先にある泉へ戻った。木の板で作られた足場は何の不安もなく、慣れた仕草でスカートの裾を捲り上げてしゃがみ込む。前のめりになって、両手を泉に浸す。小さいながらも湧水を湛えている泉は年中、冷たい。手の平から冷えていくそれはそのまま、熱った心も冷ましていくのが昔からの。(落ち着け私。何も今に始まった事じゃない。昔からそうじゃないの。あんなこともこんなことも、全部)シオが手を浸したことで波立っていた泉の表面が、徐々に落ち着きを取り戻し、平らかになっていくのを見つめながら、今も家で好き勝手なことを言い合っているであろう家族のことを思う。(そうそう、あの人た...ケジメ1

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