◇ 参院選の影響を読めない市場 = ダウ平均は先週29ドルの小幅な値下がり。この2週間、終り値はずっと4万4000ドル台で推移した。この間、ナスダックとSP500は史上最高値を更新しているが、ダウは4万5000ドルがカベになっている。6月の消費者物価がやや上昇スピードを速めると、FRBによる利下げは遠のいたという判断が強まり、株価は下落。6月の小売り売上高が予想を上回ると、景気の先行きに対する警戒感が緩んで、株価は上...
経済問題の分析、解説。特に政府の政策に対する批判。いくつかの大学で教科書代わりに利用されています。
最近の例では、1000円高速料金やエコポイントへの批判。景気回復の芽をいち早く探し出しています。またアメリカのGMやクライスラーが破産法の申請しか可能性がないことも、数か月前から予想しています。 原則として祝日以外は、記事を更新。株価の上昇、下落も毎日予想しています。これまで3年間の騰落予想では、勝率が約7割。証券マンの読者も少なくありません。
◇ なぜ日銀はコソコソ動くのか = 東京債券市場で22日、10年もの国債の流通利回りが一時1%を超えた。13年5月以来11年ぶりのことである。理由は日銀が通常の買い入れオペで、国債の購入額を突如として減らしたからだ。このため国債の流通価格が下がり、利回りが上昇した。2年ものや5年もの国債の利回りも上昇している。市場では「日銀が政策金利の引き上げ準備を始めた」という観測が、一気に広がった。市場の観測はまだ収斂して...
◇ 補助金→生産増→安売り→輸出増 = いま中国は不動産不況に悩んでいるが、鉱工業生産だけは順調に増加している。だが主要製品の生産は過剰で、価格が下がっていることも事実。たとえば4月の卸売り物価でみると、鉄鋼の価格は前年比8.1%の下落。4月の消費者物価でみると、自動車は4.3%、スマホは2.9%の下落となっている。しかし価格が下落しても、生産は衰えない。政府が補助金を出して、増産を奨励しているからである。国内で...
◇ 米政府が中国製EVに関税100% = バイデン政権は先週14日、主要な中国製品に対する制裁関税の大幅な強化を発表した。EV(電気自動車)については25%だった制裁関税を100%に。また自動車などに使用する旧世代の半導体については25%を50%に。車載用リチウムイオン電池は3倍の25%に。太陽電池は2倍の50%に。さらに鉄鋼とアルミは3倍の25%に引き上げる。通商法301条に基づく措置で、「安価な製品の流入を防ぎ、国内産業...
◇ 当面の焦点は22日のエヌビディア決算発表 = ダウ平均株価は先週末、とうとう4万ドル台に乗せた。20年11月の3万ドル乗せから、3年半での大台替わり。4月の雇用情勢や小売り売上高、それに消費者物価が、そろって予想をわずかに下回る伸びに。FRBの利下げが早まるという期待が高まって、株価を押し上げた。ただ高値で確定売りも出やすくなっている。今後も株価は上昇を続けるのだろうか。当面の関門は、22日に発表されるエヌ...
◇ ダウの続伸は半導体の業績しだい = ダウ平均は先週491ドルの値上がり。金曜日には、終り値でとうとう4万ドル台に乗せた。1999年3月に1万ドル、2017年1月に2万ドル、20年11月に3万ドルという上昇の軌跡。この10年間では2.4倍に膨張している。先週の値上がりは、4月の消費者物価と小売り売上高が予想をやや下回ったことが原因。FRBが利下げを早めるのではないかという期待が、市場に広まった。日経平均は先週558円の値上がり...
◇ 物価の上昇で節約ムード広がる = 内閣府は16日、ことし1-3月期のGDP速報を発表した。それによると、名目経済成長率は年率換算でプラス0.4%、実質成長率はマイナス2.0%だった。不正認証問題で自動車の生産が減少、消費や輸出にも悪影響が及んだ。しかし名目成長率はプラスを維持。物価が3.6%上昇したために、実質成長率はマイナスに沈んでいる。こうしたなかで特に注目されたのが、個人消費の落ち込み。これで4四半期連...
◇ 達成できない計画の連続 = エネルギーの大半を輸入に頼る日本にとって「エネルギー基本計画」は最も重要な経済政策の青写真だと言える。2003年に初めて作成され、その後3年ごとに改定されてきた。だが残念なことに、この計画目標が達成されたことはない。目標の水準が高すぎるのか、それとも達成するための具体的な政策に欠陥があるのか。いずれにしても、責任官庁である経済産業省の失態。ことしは改定の年に当たっているが...
◇ 太陽光発電は余って困っているのに = 気象庁の予測によると「ことしの夏は猛暑になりそう」だという。そして気温の上昇とともに、電気料金もどんどん上がりそうだ。たとえば標準家庭について6月請求分をみると、東京電力は8538円で5月より401円高くなる。大手10社がすべて値上げし、いちばん高いのは北海道電力の9114円。いちばん安いのは九州電力の7101円ということになる。国際的なエネルギー価格の高騰に、円安による輸入...
◇ 景気後退の予兆も現われた = これまで暖流に囲まれてきたアメリカ経済に、寒流が入り込み始めた。再び暖流が勢いを取り戻すのか、それとも寒流が強さを増して行くのか。まだ断定はできない。ただ景気後退の予兆も現われており、もし寒流が勢いを増すと、FRBによる利下げが早まったり、円高が進行したりする。日本経済への影響も非常に大きいので、注意が必要だ。潮目の変化は、まず4月の雇用統計に表われた。非農業雇用者...
◇ ダウ平均は最高値更新の勢い = ダウ平均は先週837ドルの値上がり。5月に入ってからは8連騰で、終り値は3万9513ドル。3月末に記録した史上最高値まで、あと300ドルに接近した。4月の雇用統計で雇用者の増加数が予想を下回り、FRBの利下げ期待感が増大。また3月期の企業決算が好調だったことも、株価を押し上げた。さらにハマスが休戦案を受け入れたことで、安心感が広がった。日経平均は先週7円の小幅な値下がり。ニューヨ...
◇ 個人消費の減り方に注目 = 内閣府は16日に、ことし1-3月期のGDP速報を発表する。それに先駆けて民間の調査機関が、続々と予測の結果を発表した。読売新聞によると、民間10社が予測した実質成長率は年率換算でマイナス1.0%~マイナス3.3%。全社がマイナスを予測し、その平均値はマイナス1.8%だった。NHKも11社について、ほぼ同様の内容を報道している。民間の事前予測は当たらないこともあるが、全社がマイナスを予...
◇ 理屈に合わない日銀のアプローチ = FRBは急激な金融引き締め政策で、インフレを抑え付けようとした。しかし物価はまだ3%以上の上昇を続けている。これを2%の上昇にまで下げることが最終的な目標。だが、これ以上の引き締めは景気を悪化させる危険があるので難しい。このため政策金利をずっと5.25%に据え置いたまま、様子を見ているのが現状だ。それでも「物価2%」という目標は、満月のようにはっきりと見えている。日...
◇ 中央銀行はそれぞれの難問を抱え込んだ = FRB(連邦準備理事会)はアメリカの中央銀行、日本銀行は言うまでもなく日本の中央銀行だ。この2つの中央銀行はいま、それぞれに大きな問題を抱え込んで苦しんでいる。中央銀行の使命の1つは、通貨価値の維持。同時に経済の健全な成長にも、目を配らなければならない。だが近年は、その目的をなかなか達成できない。金融政策の効力が低下してきたためである。アメリカの場合。FR...
◇ 日経平均、4月は1964円の大幅安 = ダウ平均は先週436ドルの値上がり。終り値は3万8600ドル台にまで戻している。FRBが金融政策の現状維持を決めたことは、完全に織り込み済み。市場では「一つの儀式が終了した」という感じ。また週末に発表された雇用統計は予想を下回り、インフレ抑制への期待が高まった。さらに1-3月期の企業業績も堅調で、中東情勢に落ち着きが見えれば、株価はまだ上げそうな気配をみせている。日経平...
◇ 23年度は就業者が28万人増加した = 総務省が発表した23年度の労働力調査をみて、ちょっと驚いた。世の中は人手不足で騒がしいが、この調査をみる限り人手がひどく不足するような原因は見当たらない。たとえば完全失業率は2.6%、失業者数は平均178万人で、ともに前年度と変わりなかった。また就業者数は6756万人で、前年度より28万人増えている。増え方は大幅とは言えないが、それでも働く人はそこそこ増えている。それなの...
◇ 日銀がひと言つぶやけば円高になるのに = FRBは1日の政策決定会合で「現行の金融政策を据え置くこと」を決めた。声明のなかで、FRBは「ここ数か月間、2%の物価目標に向けた進展がみられなかった」と、その理由を説明している。パウエル議長も記者会見で「インフレ抑制への自信を得るまでには、まだ時間がかかりそうだ」と補足した。市場は完全に織り込んでいたため、株価は小幅に値上がりしただけだった。ところが為...
◇ 「この程度の円安なら全く心配なし」という非常識 = 円相場は29日、朝方に160円台まで下落したあと6円近くも反発。市場では政府・日銀が介入したとみている。今回の円安を加速させた直接の原因は、植田総裁の26日の発言。記者の方から‟助け舟”のような質問が出た。--「円安進行による物価への影響は、無視できる範囲なのか」--これに植田総裁が「はい」と答えたため、一同は唖然。為替市場では円の対ドル相場が一気に158...
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◇ 参院選の影響を読めない市場 = ダウ平均は先週29ドルの小幅な値下がり。この2週間、終り値はずっと4万4000ドル台で推移した。この間、ナスダックとSP500は史上最高値を更新しているが、ダウは4万5000ドルがカベになっている。6月の消費者物価がやや上昇スピードを速めると、FRBによる利下げは遠のいたという判断が強まり、株価は下落。6月の小売り売上高が予想を上回ると、景気の先行きに対する警戒感が緩んで、株価は上...
◇ 秋には経済の実態が明らかに = 関税が引き上げられ物価が上昇すると、人々が財布のヒモを締めて消費が減退する。これが景気の下降につながり、場合によってはスタグフレーション(インフレと景気後退の併存)に陥ることもある。多くのエコノミストは最初、こう考えていた。ところがアメリカ側の駆け込み輸入や輸出国側の値引きで、物価の上昇が予想より鈍くなった。このため景気の後退も、まだ表面化していない。たとえば小売...
◇ 6月の消費者物価は2.7%の上昇 = アメリカ労働省の発表によると、6月の消費者物価は前年比2.7%の上昇だった。5月は2.4%の上昇だったので、上げ幅は拡大している。また変動の激しい食料品とエネルギーを除いたコア指数は2.9%の上昇、こちらも5月の2.8%上昇からやや加速した。こうした数字を見て、市場では「トランプ関税の影響が出始めた」という見方と、「関税の影響は思ったほど大きくない」という見方が拮抗。したがっ...
◇ 株価を下支えした最大の要因だが・・・ = 先週末は7月11日。そのちょうど1年前の7月11日、日経平均は4万2224円の史上最高値を記録している。比べてみると、日経平均はこの1年間で2654円の下落だった。長引くウクライナ戦争、荒れる中東情勢、そしてトランプ関税と円高の進行。その割には、株価の下落は小幅だったという声も聞かれる。ではこの1年間、株価を支えたのは誰だったのか。外国人投資家という答えも多そうだが、実は...
◇ 日経平均は4万円で利益確定売り = ダウ平均は先週457ドルの値下がり。トランプ関税の影響が、4-6月期の企業業績予想にも影を落とし始めた。前年比5%の増益という予想が出ているが、これは8四半期ぶりの低さ。半導体と通信サービスだけは大幅な増益だが、自動車や一般消費財は減益になる見通し。これが株価の上値を押さえつけた。ただ半導体が好調だったから、ナスダックとSP500は高値を更新し続けている。 日経平均も先...
◇ 成功の可能性なきにしもあらず = 2大政党制が確立されているアメリカで、第3党を立ち上げるのはきわめて困難だと言われる。では、マスク氏はどのような作戦を建てているのか。比較的に第3党での立候補が容易な州を選んで、上院2-3議席、下院8-10議席の獲得を目指す。財政規律の厳守を公約に掲げて、共和党支持者のうちの財政健全派を取り込む。またトランプ共和党の弱体化を狙って、民主党の一部も投票に加わるかもしれ...
◇ 新党“アメリカ”を立ち上げる = 世界一の富豪と目されるイーロン・マスク氏が先週5日「新しい政党である“アメリカ党”を結成する」と発表した。マスク氏といえば昨年の大統領選挙のとき、トランプ大統領に多額の献金をして認められ、DOGE(政府効率化省)の最高責任者に任じられた人。しかし、ことし5月には辞任してホワイトハウスを飛び出している。6月にはSNSを通じて大喧嘩。マスク氏が「トランプは恩知らずだ」と書くと、ト...
◇ 世論と市場から強い反発も = トランプ大統領の大減税・歳出法には、2つの影もある。その1つは、富裕者層・企業への恩恵が大きく、低所得者層は逆に損をする内容。たとえばエール大学の試算によると、所得が12万ドル以上の階層は年間所得が2.4%増えるが、それ以下の階層は2.5%減ってしまうことになる。特にメディケイド(公的医療保険)は年間1兆ドル近く縮小され、1000万人程度の人が締め出されるという。各種の世論調査...
◇ 「アメリカ経済はロケットのように飛躍する」 = トランプ大統領は4日、経済政策の主要な公約をほぼ織り込んだ「大きくて美しい法案」に署名。史上最大の減税法が成立した。その中核は第1次政権時に導入した減税を恒久化したこと。またチップや残業に対する税控除なども含んでいる。一方、歳出面ではEV(電気自動車)に対する補助金の廃止、低所得者向けメディケイド(公的医療保険)の縮小なども盛り込んだ。トランプ大統領...
◇ 日米関税交渉は決裂の公算 = ダウ平均は先週1009ドルの大幅な値上がり。終り値は4万4829ドルで、4万5000ドルにかなり接近した。SP500とナスダックは史上最高値を更新している。イラン戦争の停戦が継続していることで、安心感が高まった。加えて半導体の将来見通しが堅調であるとの見方が強まり、関連銘柄が幅広く買われている。木曜日に発表された6月の雇用統計は予想を上回り、FRBの利下げ期待はやや遠のいた。しかし株価に...
◇ 石破さん、なぜ強行するの? = 読売新聞が6月27-29日に実施した世論調査によると、石破内閣の支持率は32%で前回より1ポイント改善した。ただし物価高に対する政府の対応については「評価する」が17%だったのに対して「評価しない」は75%にものぼった。また具体的に「国民1人当たり2万円の現金給付」については「評価する」が28%だったのに対して「評価しない」は66%にも達している。同じ時期に日経新聞が実施した世論...
◇ イラン戦争で景況感がV字型に変動 = 日銀は1日、6月の企業短期経済観測調査を発表した。それによると、最も注目される大企業・製造業の業況判断指数はプラス13で、前回3月時よりも1ポイント改善した。また大企業・非製造業はプラス34で、前回より1ポイントの悪化となっている。このため全体としてみると、企業の景況感にはほとんど変化はない。新聞やテレビの解説も、そう書いている。だが今回に限って、その読み方は間違って...
◇ 世界中で最高値を更新中 = 世界の株価が続々と、史上最高値を更新し始めた。たとえばニューヨーク市場では先週、ナスダックとSP500がともに最高値を更新。ダウ平均も先週の終り値は4万3819ドルまで回復、昨年12月に記録した過去最高値4万5014ドルまであと1000ドルあまりに迫っている。近日中に新高値を記録する可能性は小さくない。また日経平均も先週4万円台を回復、最高値まであと2000円を残すだけとなった。ヨーロッパ...
◇ イラン停戦で安心感が一気に広がる = ダウ平均は先週1612ドルの大幅な値上がり。終り値は4万3819ドルと4万4000ドルに接近した。ナスダックとSP500は、いずれも史上最高値を更新している。AIや半導体関連が上昇を主導したが、内需株など幅広い業種にも買い物が入った。イラン戦争の停止が株価上昇の主因。加えて相互関税の実施を再延期、あるいは中国がレアアースのアメリカ向け輸出を再開など。これらを推測するニュースが伝...
◇ 目標は壮大だが方法論は皆無 = ≪物価上昇率を上回る賃上げを実現≫≪30年度には賃金を約100万円増加≫≪40年度には所得を5割増加≫≪40年度のGDPを1000兆円に増大≫--まことに素晴らしい経済目標を並べたのは、参院選に向けて自民党が作成した公約。だが驚いたことに、これらの公約をどうやって実現するのか。その方法については、一言も触れていない。これでは絵に描いた餅どころか、一種の詐欺と言われても仕方がない。自民党は...
◇ 日米の中央銀行が金利を据え置き = FRBは先週18日に開いたFOMC(公開市場委員会)で、政策金利を現在の4.25%に据え置くことを決めた。金利の据え置きは、これで4会合連続。パウエル議長は「先行きはいぜん不透明」「関税の影響で、物価は夏にかけて上昇する」と、利下げを見送った理由を説明した。年内の利下げについて、FOMCの委員の間では「2回」の見通しが最も強くなっている。関税引き上げの影響で、アメリカ経済は不況...
◇ 「イランは弱い」が市場の感覚に = ダウ平均は先週9ドルの小幅な値上がり。終り値は4万2207ドルで、5月27日からずっと4万2000ドル台で推移している。何も決められなかったG7(主要7か国)首脳会議、政策金利をまた据え置いたFRB、そしてイランを巡る中東情勢の緊迫化など。市場にとっては大きな悪材料が続出したが、株価は高値で頭打ちの形となっている。先行き不安はあるけれども、大きな落ち込みは回避した。日経平均...
◇ これで本当に“票”になるのか? = 自民・公明党が公約した「現金給付」の欠点。まず高所得者にも給付されること。たとえば年間所得1500万円で区切ろうとしても、事務的な作業が複雑で出来ない。また過去の経験からみると、給付金の半分近くが貯蓄に回ってしまい、消費が目立って増加することはなかった。仮に現金給付の対象を「18歳以下の子どもと住民税非課税世帯の人だけ」に限れば、線引きも簡単に出来るはず。しかし、それ...
◇ 与野党ともにバラマキ専門 = 自民党は7月の参院選に向けた物価対策として「現金給付」を公約とすることを決めた。国民1人当たり一律2万円とし、さらに18歳以下の子どもと住民税の非課税世帯に住む大人には1人2万円を追加する。所得制限は設けないという内容になりそう。当初は渋っていた公明党も同調したので、与党の公約は「現金給付」で一本化された。野党の公約は「消費税の減税」に集中している。たとえば立憲民主党は「...
◇ 与野党がぐるになって無責任 = 年金改革関連法案が先週12日、参議院で可決され成立した。これにより、まずパートなど短時間労働者が厚生年金に入りやすくなる。具体的には106万円以上という年収条件や従業員51人以上という企業規模条件が撤廃される。また高所得者の厚生年金保険料の引き上げも決定した。ただし基礎年金である国民年金の底上げについては、5年後に考えるという。これではとても年金“改革”法などとは言えない。...
◇ トランプ・バイデン両氏からの2連打 = ダウ平均は先週287ドルの値上がり。3週間の連騰で、終り値は4万0288ドル。火曜日には743ドルと大きく上げ、水曜日も上昇して4万1198ドルで最高値を更新した。FRBによる9月の利下げが確実視される一方、6月の小売り売上高が堅調だったため“軟着陸”の公算も高まった。IT関連株には確定売りが出たが、内需関連株や金融株など幅広い分野に買い物が入っている。日経平均は先週1127円の大幅な...
◇ 政府が不動産を買い取って安売り? = 中国統計局が15日発表した4-6月期のGDP速報によると、前年比の実質成長率は4.7%に低下。1-3月期より0.6ポイントも悪化した。不動産不況が改善せず、雇用が伸び悩み、個人消費が鈍化している。一方、名目成長率は4.0%で、名目値と実質値の逆転は5四半期に及んだ。これはデフレ傾向が、定着しつつある兆候だとみられている。同時に発表された主要指標をみると、政府の増産指示を受け...
◇ 日銀はなぜ傍観しているのか? = 「輸入物価の上昇で、普通に生きている人たちの生活が脅かされるとしたら問題だ」--為替介入の指揮官である神田財務官は12日、記者団にこう語った。相変わらず為替介入を実施したかどうかには答えなかったが、為替介入の目的について初めて言及した。これまでは「投機筋の参入で相場が乱高下することは好ましくない」と説明してきた介入の理由を、ようやく‟輸入物価の上昇”に変更したことに...
◇ 企業業績と円相場が握る東京市場 = ダウ平均は先週625ドルの値上がり。終り値は4万0001ドルで、再び4万ドル台を取り戻した。火曜日にはSP500が、水曜日にはナスダックが史上最高値を更新している。パウエルFRB議長が議会で「もはや景気は過熱していない」と証言。9月の利下げが確実になったという見方が浸透。さらに6月の消費者物価が上昇幅を縮小したことで、株価が押し上げられた。日経平均は先週278円の値上がり。終...
◇ 逃すとチャンスなくなる = 日銀が10日に発表した6月の企業物価は、前年比2.9%の上昇だった。5月の2.6%上昇より、上昇率が拡大した。企業物価というのは、企業間で取引されるモノの価格動向。内訳をみると、電気・ガス・水道が0.1%の上昇。石炭・石油製品が4.5%の上昇だった。電気・ガスは政府の補助金が半減されたため、5月の7.2%下落から大きく上昇した。一方、企業向けサービス価格も5月は前年比2.5%の上昇。人件費の...
◇ 複利計算の怖さを知ること = いま日本は「金利のない世界」から「金利のある世界」への移行を始めたところ。なんだが未知の世界に入って行くようだが、もともと「金利のある世界」の方が正常な状態。無理やり金利をゼロにした日銀の政策の方が、異常だったと言えるだろう。しかし、そのゼロ金利時代が10年も続いたため、戸惑う人も多いに違いない。中央銀行は一般に、インフレを抑え込むために政策金利を引き上げる。しかし大...
◇ “金利”を知らない30歳未満の若い人 = 利上げの季節が10年ぶりにやってきた。まず普通預金の金利。大手銀行は年0.001%だった金利を0.02%に引き上げ、地方銀行も追随した。これまでは100万円を預けておいても年に10円の利子しか付かなかったが、これからは200円の利子が付く。また定期預金の金利も引き上げられた。このほか国債や社債の金利など、いろいろな分野での金利引き上げがいま進行中だ。おカネを借りるときの金...
◇ 利下げの条件が整わない焦り = パウエルFRB議長は今週、議会で金融政策について証言する。注目のマトは、言わずと知れた利下げの時期。だがパウエル議長は、これまで通り「インフレの鈍化が十分でなく、利下げしてもいいという確信が持てない」と説明するしかないだろう。議員や市場関係者はがっかりするかもしれないが、いちばん残念に思っているのは、パウエルさんご自身。パウエル氏は「出来るものなら、7月にも利下げした...
◇ 壮観! 日米で史上最高値ラッシュ = ダウ平均は先週257ドルの値上がり。終り値は3万9376ドルで、5月に付けた最高値まであと600ドルあまりに接近した。一方、ナスダックとSP500指数は、そろって火曜日に史上最高値を更新している。雇用や非製造業の景況判断が弱含みとなったほかは、あまり大きな上げ材料は見当たらない。にもかかわらず株価が上昇したのは、半導体関連が相変わらず相場を支えたこと。それに広い分野で、出...
◇ 移民の流入規制で人件費が急増する恐れ = テレビ討論会でバイデン大統領が‟自滅”し、トランプ前大統領の再選がやや現実味を増した。ではトランプ再選で、何が起きるか。トランプ氏はこれまでに「ウクライナ戦争の即時停戦」「脱炭素に対する補助金の撤廃」「中国製品の輸入関税を60%超引き上げる」などなど、いくつもの‟公約”を打ち出してきた。だが実際にすぐ強行しそうなのは、不法移民の流入規制。今回はこの規制で、アメ...
◇ 政府と日銀が円安を導いた = 日本経済はこの30年間、きわめて低い成長を続けた。名目GDPは間もなくインドにも抜かれて、世界第5位に転落する。その大きな原因は、政府と日銀の政策が成長に向いていなかったからだと言えるだろう。その結果、自動車のあとの輸出産業が育たず、輸出が伸び悩む。その一方で輸入は国際価格の高騰と円安によって膨れ上がった。輸入が輸出を上回れば、それだけ円売り・ドル買いが増える。これが実需...
◇ 円安の悪影響に触れない政府・日銀 = 円の対ドル相場が161円台にまで下落した。対ユーロ相場も172円台、オーストラリア・ドルに対しても記録的な安さとなっている。鈴木財務相は「適切に対応して参りたい」と、いわゆる口先介入に懸命だ。しかし実際の介入は効果が乏しいとみられ、発動には踏み切れない。このように37年ぶりの安値に落ち込んだ円相場は、いまや最大の経済問題だ。ところが不思議なことに、政府も日銀も円安が...
◇ 異常な円安と人手不足で減益予想 = 日銀は1日、6月の企業短期経済観測調査を発表した。それによると、大企業・製造業の業況判断指数はプラス13で、3月調査より2ポイントの改善。大企業・非製造業はプラス33で、1ポイントの悪化だった。製造業では、自動車がダイハツの不正認証による減産で1ポイントの悪化。非製造業では、小売り業が12ポイント悪化してプラス14となっている。非製造業の悪化は、コロナで不況になった20年6月...
◇ 日本株は買われ過ぎ? = ダウ平均は先週31ドルの小幅な値下がり。終り値は3万9119ドルで、いぜん4万ドルを狙える位置に付けている。これで6月中は1.12%の上昇、年初来では3.79%の上昇だった。インフレ圧力が予想外に強く、FRBの利下げが遠のくなかで、じりじりと値を上げている。大きな要因としては、やはり半導体関連の上昇が見逃せない。利下げ期待と半導体の活況が、相場を支えている。日経平均は先週987円の値上がり...
◇ 孫正義SB社長が開発に全精力 = 「どんな天才よりも1万倍賢いASI(人工超知能)が、10年後には実現する。私はその開発のために生まれてきたのだと思う」--先週21日に開いたソフトバンク・グループの株主総会で、孫正義社長兼会長が、こんな話を披露した。生成AIの影響について議論が高まるなか、きわめて興味深い問題の提起である。でも、そんなに賢いAIが出現したら、人間の社会はどう変わるのだろう。素人ながら、いろ...
◇ ついに“独り勝ち”の状態に = 20年5月の日経新聞は「GAFAMの時価総額が東証1部全体の時価総額を上回った」と報じている。GAFAMというのは、グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン・マイクロソフトの頭文字。いずれもAI(人工知能)を駆使するアメリカの巨大企業だ。ニューヨーク株式市場に君臨して、相場を引き上げる原動力となっていた。それに昨年はEVのテスラとエヌビディアが加わって、MAG7(壮大な7社)に。と...
◇ 日本のGDPに迫る時価総額 = もの凄い企業が出現した。アメリカの大手半導体会社エヌビディアである。先週18日、その時価総額が3兆3350億ドル(約526兆円)に達し、アップルやマイクロソフトを抜いて世界一となった。時価総額というのは、発行株式数に株価を掛け合わせた数値。その企業の全株式を市場で購入するのに必要な金額と言っていい。それがなんと日本のGDP、23年の名目値591兆円に迫ってきたのだから、全く驚い...
◇ 岸田首相の近視眼は治らない = 岸田首相は21日夜の記者会見で、緊急の物価対策と新たな生活支援対策を実施すると発表した。物価対策としては、電気・ガス料金の追加軽減策を8月から3か月間。ガソリン代の補助も12月まで継続する。また生活支援対策は年金世帯や低所得世帯を対象に、新たな給付金の支給を検討するという内容。わざわざ記者会見で自ら発表したのは、これで内閣支持率を少しでも上げたいという思惑がありあり。し...
◇ 利下げ期待と‟半導体”で粘る株価 = ダウ平均は先週561ドルの値上がり。4営業日連続の上昇で、終り値は3万9150ドルに。5月の消費者物価と卸売り物価がともに予想を下回る上昇、さらに小売り売上高も伸びが目立って鈍化した。物価高で消費者が節約に走り、小売店は値下げしたところも多く売り上げが減少した。市場では、これで利下げが早まるとの期待が株価を下支え、加えて絶好調の半導体関連銘柄が全体を押し上げた。18日には...
◇ 主要68都市で住宅価格が下がる = 中国の不動産不況は、なかなか改善しない。改善どころか、やや悪化している面さえ見受けられる。たとえば政府の発表によると、この5月に新築住宅の価格が下落したのは主要70都市のうち68都市。3月の57都市、4月の64都市よりも拡大した。統計局の発表によると、5月の鉱工業生産は前年比5.6%増、小売り売上高は3.7%増と底入れの形。しかし新築住宅の面積は24%の減少で、景気の足を大きく引っ...