昨日今日明日あさって。(テニス元年)30
執事長が書き上げた文書に高山伯爵が署名した。それをダンカンが受け取り、中身を改め、俺に差し出した。「問題はございません」俺も一読した。良し良し。では賠償金を頂こう。俺は兵士達に壁の絵画を外す様に指示した。途端、伯爵が声を荒げた。「何をする」「ご心配なく、絵ではありませんから」執事長も声を上げたそうな様子。でも、途中で止めた。伯爵の執務デスクの背後に風景画が飾られていた。どこかは知らぬが、夕暮れ時に丘から湖を眺めていた。湖面を進むボート、飛び立つ鳥の群れ、対岸に一頭のオーク。意味も価値も分からない。既に室内は鑑定済み。そこでお宝を見つけた。ふっふっふ。お宝お宝なんです。伯爵が、絵画を外そうとする兵士達の前に立ち塞がった。邪魔臭い。俺は兵士達に明確に命じた。「殺すな、部屋の隅に転がして置け」「「はい」」兵士達...昨日今日明日あさって。(テニス元年)30
2023/08/27 08:59