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マネー神の崇拝 http://moneygod.seesaa.net/

古代人たちが太陽神を崇めるように、現代人はマネー神を崇拝し、貢物(利益)を捧げているという、物語。

 『インディオ通信』というブログの番外編。  全般に、インディオ風なの物語というより、ユーモアある経済小説に近い。  マネー=神とするなら、経済学は神学である。この小説は、近代経済学ではなくて、マルクス経済学に近いような気もするがそうでもなくて、インディオ流の経済思想?である。  批評しに来てください!

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2008/01/27

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  • 2010年 6月 ドリーム小説大賞

    よろしくお願いします。

  • 狂気の旅館か、救済の旅館か?

    ゼイロたちはカラオケの部屋に連れて行かれ、ナンデーから注がれた酒を飲む。 チャンは酔った。ただですら気が触れているのに、これでは近づけない。 ナンデーの娘がカラオケを歌い始めると、 「材料が全然足りん」 ナンデーが、何をどのようにすれば利益が上がるのか聴いてきた。 チャンは赤ら顔で語る。 「この部屋はハイテク製品で埋め尽くさなければならない。鬱蒼と生い茂る密林が、神々によって創られたのと同様、我々はメカニックでシンボリックなマーケット・ジャングルを創らなければならないのだ」 ナンデーは首を傾げた。 ゼイロも意味が分からない。メカニック? シンボリック..

  • ヤマネコ族を踊らせる世界観

    「お宅の旅館を利用させてくれ」という力強い声で、チャンは一発でアポイントを取った。 相手は老舗旅館を経営するヤマネコ族。 ゼイロは相手が勘違いをしたと思った。まさか「狂気のダンスホールに使わせてくれ」とは思うまい。 ゼイロはチャンと旅館に行った。昔風の地味な旅館だった。 女経営者が出てきた。40過ぎのナンデーという女。親の旅館を引き継いだようだった。 ゼイロが旅館のホールを物色していると、チャンが単刀直入に問うた。 「この旅館は儲かりますかね」 「まあ、まあかな」 女将は言葉を濁し、妙な質問する客だと思ったのか、態度を変えた。 「今時こん..

  • 『聖なる木』を育てる場所

    チャンは100蛇のうち50匹を預かった。それは秘書であるゼイロのカバンに入っていた。 ゼイロのワンルームは事務所と化している。 ゼイロは最上の服を引っ張り出して着、名刺を取り出す。 このポンの刷った名刺によると、ゼイロは『聖なる木・グループ』秘書であり、チャンはその主催者となっていた。 ポンとキーンは主催者チャンを「教祖様」と呼んでいたが、ゼイロは違和感があったので、「先生」と呼ぶことにしている。 チャンは茶をすすっていた。古めかしい格好でが、立ち上がった。何処か行くようだ。 ポンとキーンは本業に忙しく、しかもチャンの原稿を印刷して製本するこ..

  • 聖なる蛇を募集する

    長時間にわたる教祖チャンとコウモリ族酋長キーンの説得により、タヌキ族酋長ポンも仲間に加わることになった。 ゼイロは自分がチャンたち共に、崖から空を飛ぼうとしているのではないか思った。 チャンはポンに「聖なる木」の資金集めとして、さっそく「聖なる蛇」を発行するよう命じた。ゼイロには神殿を通さず、いきなり蛇を集めるなんて、無謀な行為だと思えた。 ポンは目を丸くし、教祖に質問した。 「聖なる蛇というのは、その、一体全体…」 「我々部族は、今にも倒れてしまいそうな弱者ばかりだ。だから弱者は集合体となって、弱者連合を作らなければならない。そのよりどころとなる思想が..

  • タヌキ族の酋長の未来

    コウモリ族のキーンは、自家製のお札に、チャンとゼイロの名前を付け加えた。 無効とも思える、この怪しげなお札だけが、三人にとって、唯一の頼みだった。 予定ではピューマ族であったが、相手は死に瀕しているとはいえ、巨大で獰猛だ。 教祖チャンの提案により、まずは取引先の印刷業を営むタヌキ部族を抱え込むことになった。 ゼイロはチャン教祖の秘書として、キーン酋長と共に行動することになった。 タヌキ族の棲息する地域に乗り込む。厳しい表情をした神官たちが、街を歩き回っていた。ゼイロは冷酷な眼差しを感じた。 タヌキ部族の古風な自社ビルがあった。 扉を開けたゼイロは「約束が違う..

  • コウモリ部族の門を叩く

    ゼイロは、しばらく師匠のチャンに従うことにした。 チャンは金はないが、一生自分を捨てないだろうと思ったからである。もっともゼイロの方は見切りをつけるかもしれないが。 チャンは早速ゼイロにに原稿を持たせ、出版事業を営むコウモリ部族の事務所を訪ねた。ついに行動に出たのだ。 出てきたのは色艶が悪い、げっそりとした顔の年配の男であった。 「キーン酋長、原稿が出来たぞ」 チャンがなれなれしく話した相手は、コウモリ部族の酋長だったようだ。ゼイロは頭を下げて差し出す。 「原稿? まあ、見ておくよ。あまり期待しないで…」 キーンはゼイロの存在に目を丸くし、受け..

  • 原始的宗教の本質

    ついにチャンは原稿を書き終えた。 書き終える端から隣で読んでいたゼイロは感想を述べた。 「これは、完全に新興宗教ですね」 「いや、新興ではない。大昔から人間が考えていた思想を引っ張ってきたまでだ」 「でも、かなり強引な気もしますが」 「それは、<人間>という商品が科学の原理を利用して物質を加工したり、大量の情報を流しているから、複雑になっているように見えるだけの話だ」 「原理原則は単純だということですか……、でもこの原稿を見る限り、師匠の思想もなかなか複雑なような気もしますが」 チャンは大きく背伸びをし、 「仕方がないだろ。蛇にも青大将やコブラ、アナコ..

  • 神々が作った商品<人間>

    チャン師匠は、カラクリ人形のように、原稿を書いている。この世でもっとも奇怪な生き物のように思われた。 ゼイロは邪魔しないように、出来たての原稿をそっと取り、読んでみた。 「マネー神は森羅万象であり、太陽エネルギー、水、土、全てこれがマネーである。そう考えるなら、自然界は、それ自体が一つの産業であることになる。 太陽神や雨の神は、光や水、土や風などを材料として、<生き物>という名の商品を作っているのである。その生き物の中の一つの商品<人間>は、神々を倣って自分たちも商品を作りはじめた。 <人間>は自分そのものが商品であることに気づき始めた。しかしそれは、経済的な仕..

  • マネー神は水を与え、血を奪う

    壮大な計画は、一冊仕上げることからスタートした。 チャンは一心不乱に書き続けている。 原稿を取り上げたゼイロは、できた所から読み始めた。 「マネー神はあらゆる神の集結したような存在である。 精霊、すなわち、月、大地、太陽、闇など。 木、火、土、金、水などの五行説で考えられるかもしれない。 この古代中国の思想を援用すると、もちろん、マネー神は、金になる。 土から金は生まれ、金は溶けて水となり、水は木を育てる。木は火に焼かれて灰になり土に戻る、という(五行相生説)。 これを解釈に利用すると、大地の果実としてマネーは生まれる。マネー..

  • 部族は木、マネーは水、株はヘビ

    翌日、目覚めたチェンは、小さな鉢に木を植えた。ジョウロで水をまく。 札には林檎の木と書いてある。 「何か頼りないですね」 ゼイロが答えると、 「この小さな木、これが実らせる新しい部族そのものだ」 「でもこれでは何年もまたないと実らないんじゃないですか」 「その通り。しかし水を与え、世話をしてやると、実る。今は無理だが、この部族はリンゴを沢山作る可能性がある。それは間違いない」 「それはそうですね」 「だが、今は何の役にも立っていない。だからといって、マネーをやらず、リンゴの木を枯れさせると、将来の利益が消える。将来の食べ物が消えるのだ」 「それは..

  • 森羅万象のマネー神

    雨の神説によると、部族にマネーが流れないのは、神殿が悪いからだというようだ。 「今にして思えば…」 チャンはコーヒーを注いで、ゆっくりと味わいながら、 「マネー神とは、雨の神でもあり、太陽の神でもあり、大地の神でもあり、ありとあらゆる神々の要素を持っているのかもしれん。樹木が育つためには、雨だけではなく、やはりお日様も必要だし、大地も必要だ。一面だけを強調しすぎると、全体像がぼやけてくる」 「それでもやはりマネー神は利益を要求しているのですね」 「そのようだ。大地に種を植えると、作物が実る。まさにその元本と果実の関係が、マネー神の根源的なあり方なのだ。資本があれば..

  • マネー神・雨の神(水神)説

    チャンは語り始めた。 「マネー神の崇拝とは、精霊崇拝の延長にあることは理解したね。それで今、ヤハン国の正統派というか、多数派は、マネー神・太陽神説にある。それは聞いたことがあるだろ」 「はい。作物を育てる太陽にように、マネーが部族の産業に降り注ぐと言うことですね」 「確かにそういう考え方は分かりやすいが、マネーは火ではなく、水と考えることも出来る。生命、つまり樹木は水がないと生きていけないだろ。火だけでは余りにも一面的だ」 チャンは緑茶をすすった。 「ひょっとして、お金は血液のように流れるからですか」 「その通り。マネーはさんさんと降り注ぐ太陽の光のようであ..

  • マネー神崇拝の思想はじまる

    泥酔者はチャンという名の哲学者であった。 どの部族にも属さない。大神殿の正統派から追われ、行き場がなくなった者だという噂がある。 彼は私塾を開いていた。 昨日から弟子入りを志願したゼイロが、彼のアパートにつれて戻った。 ゼイロは小説家志望の青年で、ネットで小説を公開していたりしたが、どの出版社も取り上げてくれず、失望して、一風変わった「マネー神崇拝」を掲げるチャンと接し始めたのだ。 この世はやっぱし、お金だ。 ゼイロはチャンの体をさすった。 「師匠、金がないのに、外で飲んでは駄目ですよ」 「今は不況だ。マスターに金を回さなければならんだろ…」 チャン..

  • 酔っ払いの叫び

    蛇が暴落していた。ヤハン国、アメ国、ヒュー国、全ての国が、マネー神の怒りではないかと恐れおののいていた。 ヤハン部族の長老たちは会合を開き、部族の民が如何にしたら普段どおり買い物をし、生活するかを考えた。パニックは収まりそうにない。 大神殿はとりあえずお札を沢山刷って、神殿に渡そうと準備していた。 ある夜、群衆の前で、酔っ払った流浪の男が叫んだ。 「ヤハン国民よ、聴くがいい。 経済は悪化する。果てしなく悪化する。 自己保存をすればするほど、経済は悪化する。 国民は金を大切にする。カネこそが最後の頼みだからだ。 だがカネは放出しなければならない..

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