エターナル・アイズ

『ラズーン』第六部 7.ミダスの裏切り(12）

​＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ ラズーンは滅びるのが定め。我ら『運命（リマイン）』こそ、世界の正しい後継者、その為のこれは聖戦である。愚かな人類はラズーンとともに滅ぶがいい。だが、一時はラズー

2020/07/29 20:56

『ラズーン』第六部 7.ミダスの裏切り(11）

​＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ ジットーが南へ下るのを押さえ、野戦部隊（シーガリオン）の救援を食い止める。その役をミダス公は自ら請うた。動きが派手すぎると忠告したジュナには虚ろに笑って応じた。

2020/07/26 00:02

『ラズーン』第六部 7.ミダスの裏切り(10）

​＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 子どもの瞳が救いを求めるように天空を仰いだ。釣られてミダス公も空を見上げた。 青く深い空だった。昇った月の白さえも青みがかった静かな宵……大気さえも存在を主張しな

2020/07/20 00:00

『ラズーン』第六部 7.ミダスの裏切り(9）

​＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊  『それ』がいつ、己の心に芽生えたのか、当のミダス公にもわからなかった。ある日ふと囁いた魔性、そう言うしか仕方のないものだったのかも知れない。 陽光眩いミダスの屋敷

2020/07/19 00:17

『ラズーン』第六部 7.ミダスの裏切り(8）

​＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 「この世界はどこかおかしいと思わないか、カート」 少年から青年になろうとする時、カートに投げかけたことがあった。「おかしい？」 酒杯を傾けかけていたカートは不審そ

2020/07/15 00:00

『ラズーン』第六部 7.ミダスの裏切り(7）

​​＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 「そうか…」 セシ公は詰めていた息を細くゆっくり吐き出した。「東が崩れたか」「…申し訳…ございません！」 ジットーが悲痛な声を絞り出す。「我らが『銀羽根』、ユーノ様

2020/07/14 22:24

18880000ヒット、ありがとうございました！『猫たちの時間＋（プラス）』6.鵲、渡るアップ。

​＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 「…失敗した…」 ベッドの上に突っ伏した周一郎はようやく声を絞り出した。 隣室に置き去られた滝はさぞかし意味がわからず困惑しているだろう。昔からそうだ、周一郎の行動

2020/07/12 22:31

『ラズーン』第六部 7.ミダスの裏切り(6）

​＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 「ふ…うっ…ううっ…」「アシャ？」 レアナは不意に呻いたアシャを訝しく覗き込んだ。眠っているアシャの額には玉のような汗、濡れた髪が絡んで張り付き、厳しく結ばれた口元に

2020/07/09 00:00

『ラズーン』第六部 7.ミダスの裏切り(5）

​＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ クサリヲトイテクレ。 その声は遠い彼方の闇より、幼い頃からアシャの心に囁き続けていた。 鎖ヲ解イテクレ。 巨大な力の気配。圧倒的なエネルギー、他者の存在を許さぬ

2020/07/08 00:47

『ラズーン』第六部 7.ミダスの裏切り(4）

​＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 急ぎ足に戻ってきた屋敷が、出てきた時と同様の静けさに包まれており、周囲に人が集まってくる様子もないのにほっとした。群衆はまず自らを守る方向に走ったらしい。各々の家

2020/07/06 00:00

『ラズーン』第六部 7.ミダスの裏切り(3）

​＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 「諸君も聞いたことがあるはずだ。夜を走る黒い影の噂を。月夜に猛る野獣のような声を」「影…」「…そういや…」「けど…『壁』はあるぞ！」 別の男が反論する。「ラズーンには『

2020/07/05 00:00

『ラズーン』第六部 7.ミダスの裏切り(2）

​＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 「時は来たのだ!!」 ラズーンの街角、木箱の壇上で一人の男が叫んでいる。「今こそ真実を知り、救いを求めるべきだ！」 ぼさぼさの髪、白い衣、如何にも修行者風の容貌、だ

2020/07/04 17:38

『ラズーン』第六部 7.ミダスの裏切り(1）

​＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 声が聞こえる。 戦乱に巻き込まれて行く人々の呻き声が。救いを捜し求める命の声が。そして、新たに紡がれる祈りの声が。 世の隅々からラズーンの外壁を越え、内の空気を揺

2020/07/03 00:02