「かないくん」を読む
「ほぼ日」ファンを自称していたので、絵本『かないくん』の存在はもちろん知っていた。ただ、発刊された当時も関連ページを読み込むことはなかったし、図書館に勤めてからも恥ずかしながら蔵書としてあることさえ認識していなかった。「一般芸術」に置かれている絵本は何冊か読んではいたけれど、見落としていた。今回、「大人のための読み聞かせ会」はどうかと思いついた5月の頃に、書架で見つけ、自分が読むならこれだとすぐに思った。こういう展開は「入れ子」構造と呼べるかどうかわからないが、それまで語られたことが「書きかけ」になっている物語と知るときに、すっと心に落ちる感覚、そしてそこから続く生の営み…全体的に淡く、色調としてはやや暗めの絵が続く。しかし、後半の二人の対話は、弱まっていく煌めきと、新しく強さを増していくような輝きとの対...「かないくん」を読む
2023/07/31 17:39