chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
arrow_drop_down
  • 手塚治虫の名作『リボンの騎士』を現代の視点で読み解く|サファイア王女が体現した真の自由とは

    1953年から1956年にかけて連載された手塚治虫の『リボンの騎士』は、まさに時代を超越した傑作である。 この作品が今なお多くの読者に愛される理由は、単なる冒険活劇を超えて、人間の本質的な問題に真正面から向き合ったからに他ならない。 現代のジェンダー論議が活発化する中で、改めてこの作品を読み返すと、手塚治虫の先見性に驚愕せずにはいられない。 「男の子の心と女の子の心」:サファイアが探求した自己アイデンティティとジェンダーの二元性 サファイアの内面に宿る「二つの心」は、現代のジェンダー・アイデンティティの複雑さを60年以上も前に描き出していた。天使チンクの手違いによって男の子の心と女の子の心を持…

  • 手塚治虫の名作『陽だまりの樹』:幕末から明治維新の時代背景で描かれる二人の主人公と日本の夜明け

    手塚治虫という天才が晩年に描いた最高傑作の一つ、『陽だまりの樹』。 この作品に初めて出会ったのは、古本屋で偶然手に取った時だった。表紙の重厚な雰囲気に惹かれて購入したのだが、読み始めると止まらなくなった。 幕末という激動の時代を舞台に、手塚の先祖である手塚良庵と、架空の人物である伊武谷万二郎という二人の対照的な主人公を通して描かれる人間ドラマは、まさに圧巻である。 時代の転換点を生きる二人の男 『陽だまりの樹』の最大の魅力は、何といっても二人の主人公の対比にある。 手塚良庵は蘭学医として西洋医学を学び、科学的思考を持つ進歩派の人物だ。一方の伊武谷万二郎は、武士としての誇りを胸に、伝統的な価値観…

  • 手塚治虫『奇子』完全考察|人間の闇と戦後日本の暗部を描いた問題作の深層分析と現代への警告

    手塚治虫の『奇子』。この作品に初めて触れた時の衝撃は、今でも忘れることができない。 手塚作品の中でも群を抜いて重く、暗く、そして容赦のない人間描写で読者を圧倒する問題作である。 『鉄腕アトム』や『ブラック・ジャック』で知られる「漫画の神様」が、なぜこれほどまでに絶望的な物語を描いたのか。 それは戦後日本の闇と、人間という存在の根源的な業を見つめ続けた手塚治虫だからこそ到達できた境地だったのではないだろうか。 隠蔽と殺意:家族という密室で繰り広げられる地獄絵図 『奇子』の舞台となる天馬家は、一見すると戦後復興を成し遂げた成功者の家庭である。しかし、その豪邸の地下室には、家族の恥部として隠蔽され続…

  • 手塚治虫の名作漫画『MW -ムウ-』:絶対悪が照らし出す人間性の深淵

    手塚治虫という漫画界の巨匠が、その創作活動の晩年に世に送り出した『MW -ムウ-』という作品を、私は初めて読んだ時の衝撃を今でも鮮明に覚えている。 それは、手塚作品の中でも異質な「絶対悪」を描いた問題作である。 アトムやブラック・ジャックのような希望に満ちた作品群とは一線を画し、人間の最も暗い部分を容赦なく描き出したこの作品は、読む者の心に深い傷跡を残す。 「絶対悪」の存在意義:結城美知夫が象徴する人間性の深淵 結城美知夫という主人公は、従来の漫画における「悪役」の概念を根底から覆す存在である。彼は単なる犯罪者でも、改心の余地がある悪人でもない。彼は純粋な「絶対悪」として描かれているのだ。 私…

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、sabukaruさんをフォローしませんか?

ハンドル名
sabukaruさん
ブログタイトル
サブカルの森
フォロー
サブカルの森

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用