手塚治虫の名作『リボンの騎士』を現代の視点で読み解く|サファイア王女が体現した真の自由とは
1953年から1956年にかけて連載された手塚治虫の『リボンの騎士』は、まさに時代を超越した傑作である。 この作品が今なお多くの読者に愛される理由は、単なる冒険活劇を超えて、人間の本質的な問題に真正面から向き合ったからに他ならない。 現代のジェンダー論議が活発化する中で、改めてこの作品を読み返すと、手塚治虫の先見性に驚愕せずにはいられない。 「男の子の心と女の子の心」:サファイアが探求した自己アイデンティティとジェンダーの二元性 サファイアの内面に宿る「二つの心」は、現代のジェンダー・アイデンティティの複雑さを60年以上も前に描き出していた。天使チンクの手違いによって男の子の心と女の子の心を持…
2025/04/30 00:00