季節工場 -春夏秋冬-
春 ぽとんぽとんぽとぽとん 季節工場の屋根の下 ずらりと並べられたバケツのなかへ 雪解雫の落ちる音が響きだします ぽとんぽとんぽとぽとん 朝日を孕んだ雫の 楽しげな音色は 何かを呼んでいるようです 今日は待ちに待った日 明け方の浅い眠りのなかで聞いた 数発の花火は開催の合図 子供たちは工場へ 息を切らして走ってゆきます 両手に抱えた砂糖と洗剤を 落としそうで落とさずに 開け放たれた門の前には 虹色模様のストローがたくさん置かれ 切り込みが入った先っぽは花のよう 「ひとりいっぽん」という注意書き 子供たちは 一目散にバケツのもとへと駆け寄って 真っ白な砂糖をさらさらといれてゆきます 溶
2025/05/03 05:15