アガサ・クリスティー『三幕の殺人』(クリスティー文庫)
引退した俳優チャールズ・カートライトが主催するパーティで、招待客の一人である牧師が突然苦しみはじめ死亡する。毒殺が疑われたがカクテルには異常はなかった。その数か月後、別のパーティでチャールズの友人の医師が同じ状況で死亡した。チャールズとチャールズに惹かれる若い娘エッグ、演劇パトロンのサタースウェイトの三人は真相を探るべく二つの事件を調べ始める。 ポアロ・シリーズ長編九作目ながら、主役は三人の素人探偵、ポアロは脇役という異色作。正直、ストーリーの半分くらいは三人が赴くままに情報を集めるだけで大きな盛り上がりもなく退屈で、ポアロも一瞬顔を見せるだけである。 ところが、第三幕でポアロが再登場してから…
2024/06/18 22:54