罪作りな器たち
中華鍋の把手にはタオルでも巻き付けられている。そこを握り鍋を揺らす。もう一つの手は玉杓子を踊らせる。この時の音を形容するならカラコンカラコンとなる。米は宙を舞い鍋に着地する。ウルトラCだろう。オヤジの鍋杓子使いは神業か。最後に中華鍋をもう一度煽って玉杓子ですくい皿に裏返し。器にこんもりと盛り上がったさまは前方後円墳の後塚を思わせる。 無駄のない動きはいつも見惚れる。大鍋で麺を茹でながら同時に丼にかえしを入れてスープを注ぐ。マルチタスクだ。平ザルを器用に使い大鍋の麺は掬い上げられる。ここからもまた神業だ。魔法の腕さばきは平ザルの上の麺を踊らせ、それは一つの美しい形に纏まりスープの中に流し込まれる…
2024/01/31 00:17