ドアの覗き穴越しに見える彼女は、どことなく落ち着かない表情をしていた。 しかしながら、とりあえず外にいるのは勧誘系の人ではない事ははっきりした。 どうしたのか聞いてみよう。 早速ドアを開けてみると、 「あ、良かった!いた」 と、声をかけてきた。 「おはよう。どうしたの?」 ...
ドアの覗き穴越しに見える彼女は、どことなく落ち着かない表情をしていた。 しかしながら、とりあえず外にいるのは勧誘系の人ではない事ははっきりした。 どうしたのか聞いてみよう。 早速ドアを開けてみると、 「あ、良かった!いた」 と、声をかけてきた。 「おはよう。どうしたの?」 ...
そうこうしながら過ごしていると、やがて大学が始まった。 いわゆるキャンパスライフというやつだ。 まずはサークルを決めておきたい。 4月は、各サークルが新しい入部者を得る為に、どこも活気よく声がけとチラシ配りを行っている。 4月ならではの大学の光景だ。 いくつかのチラシを受け...
上京して数日後。 力也は北海道の友達で今回上京してきた上京組4人で会う事になった。 待ち合わせ場所は渋谷だ。 地名は聞いた事はあるが、当然行ったことは当然無い。 まあしかし、ただ単に多少大きめの若者が集まる場所なのだろう。 その程度にしか思っていなかった。 田舎出身者にはや...
「あ!私、エミって言います。タカハシ エミです!今回大学に通うために、お引っ越ししてきました」 エミちゃん。 いい名前だ。 しかし挨拶の後も小話をちょっとしたが、どうも彼女がよそよそしい。 (あれ、迷惑だったかな) 場の雰囲気を察して、力也は切り上げる事にした。 「何か困っ...
「えっと、、もしかして、ご迷惑でしたか? そうであれば、持って帰りますが、、、」 不安そうに、力也は彼女に聞いてみた。 「あ、ごめんなさい!迷惑とかでは一切ないです!ただ、、、」 ちゃんと彼女の声を聞くのは初めてであった。 声も可愛らしく高めの声で、彼女の雰囲気としっかりフ...
出てきたのは、女性だった。 力也は一瞬、言葉を失った。 その女性は身長が小柄で可愛らしい雰囲気の子であった。 髪は鎖骨くらいまである綺麗な黒髪で、清楚という言葉がぴったりとあてはまるような子であった。 今までずっと北海道で生活していた力也だったが、こんなに綺麗な子を見るのは...
自宅のあるアパートに戻ると、ちょうどお隣さんの引っ越しの作業も終わっているようであった。 「ちょうどいいな」 力也は帰り際、お隣さんのインターホンを鳴らした。 しばらく待ってみたが、応答が無い。 もう一度鳴らしてみる。 やはり、応答が無い。 「引っ越しが終わって、買い物とか...
「あ!私、エミって言います。タカハシ エミです!今回大学に通うために、お引っ越ししてきました」 エミちゃん。 いい名前だ。 しかし挨拶の後も小話をちょっとしたが、どうも彼女がよそよそしい。 (あれ、迷惑だったかな) 場の雰囲気を察して、力也は切り上げる事にした。 「何か困っ...
さて、手土産はなにが良いのだろう? コンビニで売っているクッキーとかでは味気ない。 せっかくなら、喜んでもらえる方が嬉しい。 なにより手土産一つで関係値を作れたら、今後友達を家に招き入れて多少うるさくしても大目に見てもらえるだろうという邪な考えも若干あった。 早速、Goog...
春の風が心地良い。 まるで、街全体が自分の事を受け入れてくれているような感覚になる。 あぁ、自分はこれからこの街で大学の4年間を過ごす事になるんだな。 親元を離れる寂しさもあったが、それよりこれからの日々に対する期待の方がはるかに大きかった。 散歩を終え、力也は帰宅した。 ...
新千歳空港から羽田空港まで約2時間。 初めて飛行機に乗ったのだが、こんなに早く着くのかと驚きであった。 普段は電車での移動がメインだったが、北海道内の遠方に行くために乗っている時間と同等の時間で東京に着いてしまうのは不思議な感覚だ。 なにか特別な事をしているみたいで、18歳...
心地よい風が吹いている。 北海道の冬は本当に冷え込みが激しく、当然しっかりと防寒具を着込んでいる。 4月になっても北海道の気温は10℃くらいなので、皆長袖を当然のように着用していた。 しかし、力也は違った。 今まで生まれてから18年間北海道に住んでいた彼だが、今年晴れて東京...
あやと一緒に高尾山へ行って数日後。 健二はふとしれぬ違和感を感じた。 (なんだろう) 違和感の正体がいまいち分からない。 ただ、健二が今ハッキリと思っている事。 (あやに会いたい) よほど、この前会った時の感覚が昔の感覚と近くて良かったのか。 よほど、居心地が良かったのか。...
健二は一瞬理解が出来なかった。 そして耳を疑った。 しかし、あまりこの言葉を重く受け取らなかった。 何故か? 昔から付き合いが長いあやからの発言だったからだ。 (ああ、せっかくの休日だしもうちょっと遊びたいって思って 駄々をこねているんだな) としか思わなかった。 付き合...
高尾山は標高599メートルの山なので、山頂まで2時間もあれば到着する。 程無くして山頂に到着すると、数軒お茶屋さんがあったのでそこでご飯を食べる事にした。 二人は数あるメニューの中から注文したのは名物のとろろそばであった。 数分待った後、とろろそばが運ばれてきた。 何故こう...
山道を歩くと、木々と共に虫も飛んでいる。 一般の女の子は虫を見て大騒ぎする子もいるだろう。 しかし、あやは物怖じしない。 さすが田舎育ちだけある。 それどころか、道端の草むらにいたバッタを素手で捕まえた。 「見て!久し振りにバッタを捕まえた!」 そう言って、手掴みしているバ...
高尾山へ行く当日。 健二はあやの住むマンションまで迎えに行った。 場所は港区にあるエントランスが小綺麗なマンションだった。 あぁ、いわゆる港区女子ってやつか。 健二はそう思いながら彼女の事を待った。 建物の前で待って程なくして、あやは降りてきた。 その格好はスニーカーにウィ...
ドキドキと緊張していたのも束の間。 ようやく普段通りの落ち着きを取り戻した。 それにしても、いつの間にこんなに女性らしい柔らかさを手に入れたんだろう。 こんな事も考える余裕が出て来た。 あやが行きたいと行っていたお店を順番に回る。 「お似合いですよ」 どのお店に行っても店員...
流石は表参道。 通りゆく人々は皆洒落ており、美人な人も多い。 しかしそんな中でもあやは全然見劣りしていない。 むしろ、すれ違う人々の中には振り返る人もいるくらい一段とオーラが出ている。 一緒にいる男はなんなんだろう? そんな感じで健二も見られているような感覚に陥るくらい、あ...
実家から自分の家に戻った後に、ふとあやの事を考えている自分がいた。 懐かしい無邪気さは残しつつ、素敵な大人の女になっていたあや。 ただ、やはり健二の中ではあやは妹みたいな存在だった。 「元気そうで良かったな」 そう思うだけで、それ以上は特には何も考えようとしなかった。 そん...
健二が良く面倒を見ていたのは17歳の時。高校2年生だ。 その時、彼女は9歳の小学3年生。 彼女は健二と手を繋いで歩くのが好きだった。 いつも遊ぶ時は 「けんじにぃ!!」 と言って手を上げてきた。 当然身長差があるので、健二は自身の腕を下まで下げてやっと彼女の手に届くかどうか...
今回たまたま彼女も実家に帰っていた。 親同士の井戸端会議で健二もたまたま帰ってくる事を知り、うちに遊びに来たらしい。 聞くところによると、あやは丸の内にある会社の社長秘書をしているらしい。 常に社長と一緒に行動をしていて、会社の接待なども同行しており東京の出来る女のオーラが...
あやは健二が高校生の時に隣に引っ越してきた子であった。 あやの親が共働きの事もあり、健二が高校生の時に面倒を見て遊んであげていた子で8歳下の子である。 「けんじにい、けんじにい!」と言ってよく後ろを付いてきた。 健二の実家は住宅街にあるのだが、自転車で10分も行けば緑が多い...
隣ビルのトイレの個室に籠ってどれくらいたったのだろうか。 気付いたら寝落ちをしていた健二。 目を覚ましたら時計は3時をさしていた。 周囲を警戒しながら建物の裏手から外の様子を伺ってみる。 流石に先程から4時間経過しているので周囲にそれらしい人の気配は感じられない。 そそくさ...
隣の非常階段に飛び移って程なくして、元いたビルから声が聞こえる。 「おい、さっきのやつがいないぞ!」 「どこいきやがった」 「周りを探せ!」 さっきの店内にはバーテンダーの男1人と女性が1人だけだったが、今聞こえる声は男性3人はいる事が間違いなさそうである。 しかも声の質的...
酔っていてなかなか頭が回らない状態であったが、健二は必死に頭を高速回転させた。 まず、なつきという女性の存在だ。 彼女はなんだったのであろうか? よくよく考え直してみると、本来連絡先を教えることに対してそんなに抵抗というものはないはずなのに、なつきは頑なに「後で」と言ってそ...
さて、これはどういった事なのだろうか。 状況が掴めずにいた。 「あのぉ、会計の金額表記間違ってるみたいなんですが」 健二はバーテンダーに聞いてみたが、 「いえ、そちらでお間違い御座いません」 との返答。 え? ええ? 全く状況が理解出来ない。 「いやいや、だって僕がここのお...
飲み始めて小一時間が経過しただろうか。 なつきが 「ちょっとお花摘みに行ってくる」 と言ってトイレに立った。 トイレは各テナントの共有の物が通路にあり、そこへ向かうなつき。 「いってらっしゃい」 と言ってトイレへ見送る健二だったが、そろそろお持ち帰りへ持ってく算段を 立てて...
飲み始めてかれこれ2時間が経過した。 なつきの頬は桃のように紅潮されている。 「この後どうしようか?なつきさん、まだ時間大丈夫?」 健二はなつきに聞いてみた。 「全然大丈夫!健二君と飲んでる時間楽しいもん!」 酔っているからだろうか。 健二にとって嬉しい返答が先程より楽し気...
怪しげなねずみ講のセミナーをなつきと一緒に抜け出した健二。 「さて、とは言うものの今横にいる人は初対面の女性だ。 この後どうしたら良いのだろうか」 健二は悩んだ。と言うのも、せっかく向こうからセミナーを出ないかと言ってくれた。 このまま出てそこで解散は男が廃ると彼は思った...
兎にも角にも、あまりこの場に長居したく無いというのが健二の本音であった。 しかし、折角連れてきてくれた優子の面子を潰すのも良くない。 もしかしたら彼女もただ単純に好意で自分の事を連れてきたのかもしれない。 もしそうだったら、彼女に対して大変失礼な行動になってしまう。 どうし...
改めて優子に話を聞いてみると、生活に必要サプリや美容系グッズを扱うビジネスらしい。自分が特に在庫を抱えるわけではなく、紹介した人達がその商品を購入すると紹介した人の元に売上金の一部が入ってくる。また、その紹介した人が更に新しい人を紹介して商品を購入すると、2人に売上金の一部...
健二はバカである。 彼にはその自覚もあった。 そんなバカな彼でも、仗助とジョルノは只者でない事はすぐに理解出来た。 幻聴かもしれないが、ゴゴゴゴゴという音が2人の後ろから聞こえてくるような錯覚に陥った。 「は、初めまして!優子さんの友達の高橋健二と言います!」 おとおどしな...
土曜になり、セミナー会場に優子と共に健二は訪れた。そこは異様な雰囲気をまとった場所であった。 ぱっと見で人は50人程いて、各々が胸にネームプレートをしていた。そこには名前と共に「メンバー」「ディレクター」などの役職名と思われるものが記載されていた。 徐に健二にもネームプレー...
待ち合わせまで後1時間。 彼はソワソワしながらも、一抹の不安に駆られていた。 というのも、今の携帯は写真の補正機能が高性能である。 こんなにトントン拍子に事が運ぶ事を考慮すると、写真と全然別人が来るのではないかと考えてしまったのである。 「まあ、そんなに期待しすぎてもいい事...
「こんにちは、初めまして」 こんな当たり前の挨拶でさえテンションが上がってしまう。 40歳のおじさんではあるが、学生時代振りのトキメキを日々の生活に健二は感じていた。 「え!私もディズニー好きなんですよ💕」 「音楽も好きだけど、フェスとか行ったことないの。けどすごい行って...
早速有料会員になった健二。 「初めていいねを女性からされた。一体どんな子なんだろう」 高鳴る胸の鼓動を押さえ早速画面を開いてみたが、彼は愕然とした。 画面を開いて現れたのは推定体重3桁は優に超えている黒人の女性が2名。 彼は身長の低い小柄な女性がタイプであっただけに、衝撃は...
今の世の中は本当に便利になったものである。 健二はいわゆるガラケー世代であり、携帯電話の使用用途と言えば知り合いと直接電話で話をするかe-mailでメールでのやり取り。 これくらいであった。 しかし現在はスマートフォンの普及によりSNSを通じて全く知らない人とでも簡単に知り...
「また今年もダメだったか。。。」 ため息と共に慣れた手つきでカップラーメンにお湯を注いで令和初の正月を迎えた男がいた。 まだ自分は若いと思いつつ気付けば彼も40歳。 実家を離れて20年。 寂しい気分を紛らわせる為に飼い始めた猫も天寿を全うして代替わりし、気付けば3匹目となっ...
11月2日。 本気で取り組もうと新しくブログを立ち上げた
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ドアの覗き穴越しに見える彼女は、どことなく落ち着かない表情をしていた。 しかしながら、とりあえず外にいるのは勧誘系の人ではない事ははっきりした。 どうしたのか聞いてみよう。 早速ドアを開けてみると、 「あ、良かった!いた」 と、声をかけてきた。 「おはよう。どうしたの?」 ...
そうこうしながら過ごしていると、やがて大学が始まった。 いわゆるキャンパスライフというやつだ。 まずはサークルを決めておきたい。 4月は、各サークルが新しい入部者を得る為に、どこも活気よく声がけとチラシ配りを行っている。 4月ならではの大学の光景だ。 いくつかのチラシを受け...
上京して数日後。 力也は北海道の友達で今回上京してきた上京組4人で会う事になった。 待ち合わせ場所は渋谷だ。 地名は聞いた事はあるが、当然行ったことは当然無い。 まあしかし、ただ単に多少大きめの若者が集まる場所なのだろう。 その程度にしか思っていなかった。 田舎出身者にはや...
「あ!私、エミって言います。タカハシ エミです!今回大学に通うために、お引っ越ししてきました」 エミちゃん。 いい名前だ。 しかし挨拶の後も小話をちょっとしたが、どうも彼女がよそよそしい。 (あれ、迷惑だったかな) 場の雰囲気を察して、力也は切り上げる事にした。 「何か困っ...
「えっと、、もしかして、ご迷惑でしたか? そうであれば、持って帰りますが、、、」 不安そうに、力也は彼女に聞いてみた。 「あ、ごめんなさい!迷惑とかでは一切ないです!ただ、、、」 ちゃんと彼女の声を聞くのは初めてであった。 声も可愛らしく高めの声で、彼女の雰囲気としっかりフ...
出てきたのは、女性だった。 力也は一瞬、言葉を失った。 その女性は身長が小柄で可愛らしい雰囲気の子であった。 髪は鎖骨くらいまである綺麗な黒髪で、清楚という言葉がぴったりとあてはまるような子であった。 今までずっと北海道で生活していた力也だったが、こんなに綺麗な子を見るのは...
自宅のあるアパートに戻ると、ちょうどお隣さんの引っ越しの作業も終わっているようであった。 「ちょうどいいな」 力也は帰り際、お隣さんのインターホンを鳴らした。 しばらく待ってみたが、応答が無い。 もう一度鳴らしてみる。 やはり、応答が無い。 「引っ越しが終わって、買い物とか...
「あ!私、エミって言います。タカハシ エミです!今回大学に通うために、お引っ越ししてきました」 エミちゃん。 いい名前だ。 しかし挨拶の後も小話をちょっとしたが、どうも彼女がよそよそしい。 (あれ、迷惑だったかな) 場の雰囲気を察して、力也は切り上げる事にした。 「何か困っ...
さて、手土産はなにが良いのだろう? コンビニで売っているクッキーとかでは味気ない。 せっかくなら、喜んでもらえる方が嬉しい。 なにより手土産一つで関係値を作れたら、今後友達を家に招き入れて多少うるさくしても大目に見てもらえるだろうという邪な考えも若干あった。 早速、Goog...
春の風が心地良い。 まるで、街全体が自分の事を受け入れてくれているような感覚になる。 あぁ、自分はこれからこの街で大学の4年間を過ごす事になるんだな。 親元を離れる寂しさもあったが、それよりこれからの日々に対する期待の方がはるかに大きかった。 散歩を終え、力也は帰宅した。 ...
新千歳空港から羽田空港まで約2時間。 初めて飛行機に乗ったのだが、こんなに早く着くのかと驚きであった。 普段は電車での移動がメインだったが、北海道内の遠方に行くために乗っている時間と同等の時間で東京に着いてしまうのは不思議な感覚だ。 なにか特別な事をしているみたいで、18歳...
心地よい風が吹いている。 北海道の冬は本当に冷え込みが激しく、当然しっかりと防寒具を着込んでいる。 4月になっても北海道の気温は10℃くらいなので、皆長袖を当然のように着用していた。 しかし、力也は違った。 今まで生まれてから18年間北海道に住んでいた彼だが、今年晴れて東京...
あやと一緒に高尾山へ行って数日後。 健二はふとしれぬ違和感を感じた。 (なんだろう) 違和感の正体がいまいち分からない。 ただ、健二が今ハッキリと思っている事。 (あやに会いたい) よほど、この前会った時の感覚が昔の感覚と近くて良かったのか。 よほど、居心地が良かったのか。...
健二は一瞬理解が出来なかった。 そして耳を疑った。 しかし、あまりこの言葉を重く受け取らなかった。 何故か? 昔から付き合いが長いあやからの発言だったからだ。 (ああ、せっかくの休日だしもうちょっと遊びたいって思って 駄々をこねているんだな) としか思わなかった。 付き合...
高尾山は標高599メートルの山なので、山頂まで2時間もあれば到着する。 程無くして山頂に到着すると、数軒お茶屋さんがあったのでそこでご飯を食べる事にした。 二人は数あるメニューの中から注文したのは名物のとろろそばであった。 数分待った後、とろろそばが運ばれてきた。 何故こう...
山道を歩くと、木々と共に虫も飛んでいる。 一般の女の子は虫を見て大騒ぎする子もいるだろう。 しかし、あやは物怖じしない。 さすが田舎育ちだけある。 それどころか、道端の草むらにいたバッタを素手で捕まえた。 「見て!久し振りにバッタを捕まえた!」 そう言って、手掴みしているバ...
高尾山へ行く当日。 健二はあやの住むマンションまで迎えに行った。 場所は港区にあるエントランスが小綺麗なマンションだった。 あぁ、いわゆる港区女子ってやつか。 健二はそう思いながら彼女の事を待った。 建物の前で待って程なくして、あやは降りてきた。 その格好はスニーカーにウィ...
ドキドキと緊張していたのも束の間。 ようやく普段通りの落ち着きを取り戻した。 それにしても、いつの間にこんなに女性らしい柔らかさを手に入れたんだろう。 こんな事も考える余裕が出て来た。 あやが行きたいと行っていたお店を順番に回る。 「お似合いですよ」 どのお店に行っても店員...
流石は表参道。 通りゆく人々は皆洒落ており、美人な人も多い。 しかしそんな中でもあやは全然見劣りしていない。 むしろ、すれ違う人々の中には振り返る人もいるくらい一段とオーラが出ている。 一緒にいる男はなんなんだろう? そんな感じで健二も見られているような感覚に陥るくらい、あ...
実家から自分の家に戻った後に、ふとあやの事を考えている自分がいた。 懐かしい無邪気さは残しつつ、素敵な大人の女になっていたあや。 ただ、やはり健二の中ではあやは妹みたいな存在だった。 「元気そうで良かったな」 そう思うだけで、それ以上は特には何も考えようとしなかった。 そん...
ドアの覗き穴越しに見える彼女は、どことなく落ち着かない表情をしていた。 しかしながら、とりあえず外にいるのは勧誘系の人ではない事ははっきりした。 どうしたのか聞いてみよう。 早速ドアを開けてみると、 「あ、良かった!いた」 と、声をかけてきた。 「おはよう。どうしたの?」 ...
そうこうしながら過ごしていると、やがて大学が始まった。 いわゆるキャンパスライフというやつだ。 まずはサークルを決めておきたい。 4月は、各サークルが新しい入部者を得る為に、どこも活気よく声がけとチラシ配りを行っている。 4月ならではの大学の光景だ。 いくつかのチラシを受け...
上京して数日後。 力也は北海道の友達で今回上京してきた上京組4人で会う事になった。 待ち合わせ場所は渋谷だ。 地名は聞いた事はあるが、当然行ったことは当然無い。 まあしかし、ただ単に多少大きめの若者が集まる場所なのだろう。 その程度にしか思っていなかった。 田舎出身者にはや...
「あ!私、エミって言います。タカハシ エミです!今回大学に通うために、お引っ越ししてきました」 エミちゃん。 いい名前だ。 しかし挨拶の後も小話をちょっとしたが、どうも彼女がよそよそしい。 (あれ、迷惑だったかな) 場の雰囲気を察して、力也は切り上げる事にした。 「何か困っ...
「えっと、、もしかして、ご迷惑でしたか? そうであれば、持って帰りますが、、、」 不安そうに、力也は彼女に聞いてみた。 「あ、ごめんなさい!迷惑とかでは一切ないです!ただ、、、」 ちゃんと彼女の声を聞くのは初めてであった。 声も可愛らしく高めの声で、彼女の雰囲気としっかりフ...
出てきたのは、女性だった。 力也は一瞬、言葉を失った。 その女性は身長が小柄で可愛らしい雰囲気の子であった。 髪は鎖骨くらいまである綺麗な黒髪で、清楚という言葉がぴったりとあてはまるような子であった。 今までずっと北海道で生活していた力也だったが、こんなに綺麗な子を見るのは...
自宅のあるアパートに戻ると、ちょうどお隣さんの引っ越しの作業も終わっているようであった。 「ちょうどいいな」 力也は帰り際、お隣さんのインターホンを鳴らした。 しばらく待ってみたが、応答が無い。 もう一度鳴らしてみる。 やはり、応答が無い。 「引っ越しが終わって、買い物とか...
「あ!私、エミって言います。タカハシ エミです!今回大学に通うために、お引っ越ししてきました」 エミちゃん。 いい名前だ。 しかし挨拶の後も小話をちょっとしたが、どうも彼女がよそよそしい。 (あれ、迷惑だったかな) 場の雰囲気を察して、力也は切り上げる事にした。 「何か困っ...
さて、手土産はなにが良いのだろう? コンビニで売っているクッキーとかでは味気ない。 せっかくなら、喜んでもらえる方が嬉しい。 なにより手土産一つで関係値を作れたら、今後友達を家に招き入れて多少うるさくしても大目に見てもらえるだろうという邪な考えも若干あった。 早速、Goog...
春の風が心地良い。 まるで、街全体が自分の事を受け入れてくれているような感覚になる。 あぁ、自分はこれからこの街で大学の4年間を過ごす事になるんだな。 親元を離れる寂しさもあったが、それよりこれからの日々に対する期待の方がはるかに大きかった。 散歩を終え、力也は帰宅した。 ...
新千歳空港から羽田空港まで約2時間。 初めて飛行機に乗ったのだが、こんなに早く着くのかと驚きであった。 普段は電車での移動がメインだったが、北海道内の遠方に行くために乗っている時間と同等の時間で東京に着いてしまうのは不思議な感覚だ。 なにか特別な事をしているみたいで、18歳...
心地よい風が吹いている。 北海道の冬は本当に冷え込みが激しく、当然しっかりと防寒具を着込んでいる。 4月になっても北海道の気温は10℃くらいなので、皆長袖を当然のように着用していた。 しかし、力也は違った。 今まで生まれてから18年間北海道に住んでいた彼だが、今年晴れて東京...
あやと一緒に高尾山へ行って数日後。 健二はふとしれぬ違和感を感じた。 (なんだろう) 違和感の正体がいまいち分からない。 ただ、健二が今ハッキリと思っている事。 (あやに会いたい) よほど、この前会った時の感覚が昔の感覚と近くて良かったのか。 よほど、居心地が良かったのか。...
健二は一瞬理解が出来なかった。 そして耳を疑った。 しかし、あまりこの言葉を重く受け取らなかった。 何故か? 昔から付き合いが長いあやからの発言だったからだ。 (ああ、せっかくの休日だしもうちょっと遊びたいって思って 駄々をこねているんだな) としか思わなかった。 付き合...
高尾山は標高599メートルの山なので、山頂まで2時間もあれば到着する。 程無くして山頂に到着すると、数軒お茶屋さんがあったのでそこでご飯を食べる事にした。 二人は数あるメニューの中から注文したのは名物のとろろそばであった。 数分待った後、とろろそばが運ばれてきた。 何故こう...
山道を歩くと、木々と共に虫も飛んでいる。 一般の女の子は虫を見て大騒ぎする子もいるだろう。 しかし、あやは物怖じしない。 さすが田舎育ちだけある。 それどころか、道端の草むらにいたバッタを素手で捕まえた。 「見て!久し振りにバッタを捕まえた!」 そう言って、手掴みしているバ...
高尾山へ行く当日。 健二はあやの住むマンションまで迎えに行った。 場所は港区にあるエントランスが小綺麗なマンションだった。 あぁ、いわゆる港区女子ってやつか。 健二はそう思いながら彼女の事を待った。 建物の前で待って程なくして、あやは降りてきた。 その格好はスニーカーにウィ...
ドキドキと緊張していたのも束の間。 ようやく普段通りの落ち着きを取り戻した。 それにしても、いつの間にこんなに女性らしい柔らかさを手に入れたんだろう。 こんな事も考える余裕が出て来た。 あやが行きたいと行っていたお店を順番に回る。 「お似合いですよ」 どのお店に行っても店員...
流石は表参道。 通りゆく人々は皆洒落ており、美人な人も多い。 しかしそんな中でもあやは全然見劣りしていない。 むしろ、すれ違う人々の中には振り返る人もいるくらい一段とオーラが出ている。 一緒にいる男はなんなんだろう? そんな感じで健二も見られているような感覚に陥るくらい、あ...
実家から自分の家に戻った後に、ふとあやの事を考えている自分がいた。 懐かしい無邪気さは残しつつ、素敵な大人の女になっていたあや。 ただ、やはり健二の中ではあやは妹みたいな存在だった。 「元気そうで良かったな」 そう思うだけで、それ以上は特には何も考えようとしなかった。 そん...