妻は乳がんで他界。 残り少ない余命を覚悟して、幼い娘にみそ汁の作り方を教えました。あれから14年。 妻は家族に何を遺そうとしたのか。 その思いを娘に知ってほしくてブログを開設しました。 亡き妻と僕の“心の往復書簡”。
はなちゃんのパパです。音楽とお酒が好きです。毎年、妻の追悼コンサート「いのちのうた」を主催しています。最近、ウクレレを始めました。
ピンクのランドセル あと、ちょっとだった。 もう少し生きていれば、家族で入学を喜び合えたのに。 ピンクのランドセルを背負った娘の姿を見られたのに。 本人は、娘と一緒に入学式に参加するつもりだったはず。 当たり前に思いがちなことでも、ふっと消えて、見えなくなってしまうときがある。 春が来ると、いつも思う。 2009年4月10日 2009年6月16日 娘が6年間使ったランドセル(2023年3月29日) おおちの引っ越しは大変だ(2008年4月2日) ムスメが、年長に進級した。来年の今頃はランドセルかと思うと、感慨深い。大きくなって欲しいような、なって欲しくないような。でも、あと1年もあるというのに…
ご縁にびっくり 昨夜は、娘のアルバイト先の「すし宗」で大切なご夫婦と夕食会。 夫は、長年、鮎川誠さんとシーナさんのライブ映像を撮り続けてきた鈴木さん。 妻の追悼コンサート「いのちのうた」でも、鮎川さんに出演してもらったときからずっと、鈴木さんにはお世話になっている。 ご縁に驚いたことが、2つある。 鈴木さんの奥様が、「すし宗」の大将の中学時代の担任だったこと。 僕の友人である津屋崎ブランチの山口覚さんと鈴木さんが、大学の同級生だったこと。 奥様が持ってきた中学の卒業アルバムには、若かりしころの大将の姿があった。 2023年3月27日 お礼がしたくて食事に誘ったのだが、僕の方が楽しませてもらった…
ヒントをもらい「その後」を追う ドキュメンタリー映画「弁当の日」の撮影が大詰めを迎えた2020年3月26日、僕は大分県佐伯市の健康福祉総合センターでカメラを回していた。 当時、佐伯市役所に勤めていた柴田真佑さんらが主催する「巣立つ君たちへの自炊塾」の現場。同センターの調理実習室には、高校を卒業したばかりの若者たちが集まった。 4月から一人暮らしを始める若者たちは、地元でレストランを経営するシェフの指導で、みそ汁を作り、ご飯を炊いた。 2020年3月26日 撮影中、会場の壁に掲示されていた印刷物に目がとまった。 それは、過去の参加者たちの体験談をまとめたものだった。 失敗してもいい。それが成長に…
はなが喜んでくれたら・・・ 夕食時、娘が僕に提案をした。 「パパ、2人で温泉でも行こうか」 驚きと喜びのあまり、椅子から転げ落ちそうになった。 平静を取り戻し、「どこがいい?」と娘に尋ねると、 「九州がいい。大分かな」 大分と言えば、おんせん県。温泉と言えば、別府。 ああ、そう言えば、家族で行った最後の温泉旅行が別府だった。 16年前の夏、わが家の家計が一番苦しい時期だった。 勤務先の健康保険組合が保養所に指定していた格安ホテルに泊まった。 食べ物に決して文句を言わない千恵が、出された夕食を口に運び、苦笑いをした。 「ごめんな。明日のランチに期待してね」 翌日、僕の直感で選んだ店もいまいちだっ…
白菜漬けを作ってみた 台所を片付けていると、妻が使っていた漬物の重しが出てきた。 4キロの漬物石。 そういえば、これでいつも白菜を漬けていたなあ、と思い出し、 あの味を再現したくなって挑戦してみた。 2023年3月18日 材料は、白菜一株、塩(下漬け:白菜の2.5%、本漬け:白菜の0.5%)、昆布(10センチ角1枚)、赤唐辛子2〜3本(お好みで増やしても良い)。 ■下準備 まず、白菜の根元に十文字の切れ目を入れて手で4等分に裂く。 水で汚れを洗い落とす。 ■天日干し キッチンペーパーで水気をふき取り、半日ほど天日干しする。 2023年3月14日 ■下漬け 重量の2.5%の塩を均等に振る。 熱湯…
早朝のSOS 午前6時、スマホにLINEが届いた。 「おはようございます」だけのメッセージ。 今春、大学を卒業した女性からだった。 彼女は、はなより2歳年上。 幼いころから、僕を父親のように慕ってくれていた。 早朝のLINEを不思議に思い、「何かあったの?」と返信すると、 すぐに彼女から電話がかかってきた。 ただ事ではなかった。 昨年11月、彼女は就職の内定を知らせにわが家を訪れた。 表情は、夢だった仕事に就くことができる喜びに満ちあふれていた。 バルコニーでバーベキューをして、一緒に内定を喜び合った。 3月20日から働き始めて、きょうで5日目だった。 充実した日々を送っていると思っていたが、…
灯台下暗し 物事がうまく進まないとき、 もう何もかもやめてしまった方がいいのかも。 何もしないのが一番楽。 なんて、考えてしまうこともあるけど。 奥井さんのブログを読んで、大切なことに気づかせてもらった。 ameblo.jp 子どもたちの考え方がポジティブになったのは、マインドセットを変えたからだ。 親の行動を真似し、小さな成功体験を積み重ねた。 「台所仕事は親の仕事」という固定観念を捨てることで、子どもたちは成長を手に入れた。 身近すぎて気づかなかったのか。 「灯台下暗し」である。 2012年10月14日 何事も、あきらめたら、その時点でゲームセット。 やってみなければ、何も始まらない。 う…
お礼は和風チャンポン 昨夜、ある青年が彼岸のお参りに来てくれた。 お供えの菓子を持参で。 彼は19歳。 時々、わが家を訪れる。 このブログを毎日欠かさず読んでくれているそうだ。 供え物のお菓子(2023年3月22日) 青年は千恵とは会ったことがない。 でも、彼はブログを通じて、千恵のことを知っている。 おかげで僕は、千恵と暮らした日常を語らせてもらうことができる。 死んどるばってん、生きとるような気がする。 いつも、そんな機会をつくってくれる青年に感謝。 お礼に、パパ特製の和風ちゃんぽんを食べてもらった。 和風チャンポン(2023年3月21日) 青年は、スープも残さず全部食べてくれた。 どちら…
ぼたもち きょうは、彼岸の中日。 年に一度しか作らんけん、なかなか上手にならん。 見かけは悪いけど、うまいはず。 2023年3月21日 あんた、ぼたもちが好きやったもんね。 たくさん、食べておくれ。 2023年3月21日 忘れとらんばい。 忘れることやらできるもんかい。 後で墓にも行くけんね。 待っとって。 どちらさまも、下のボタンをうっかりクリック。 にほんブログ村 食生活・食育ランキング いつも、ポチッと、ありがとうございます。 皆様のひと手間に感謝。励みになります! (function(b,c,f,g,a,d,e){b.MoshimoAffiliateObject=a; b[a]=b[a…
一旦はあきらめたが・・・ ツクシの卵とじが、急に食べたくなった。 近所のスーパーに並んでいるツクシは、驚くほど値が高い。 3月も下旬だが、ツクシ採りの名人でもある母に相談すれば何とかなるだろう。 ラッキーなことに午後の予定は何もなかった。 午前中に仕事を終わらせ、宮若市の実家に車で向かった。 「もっと早よ来な。この時期に、ツクシやらあるわけなかろうもん」 母はそう言いながらも「秘密の場所があるけん」と連れて行ってくれた。 「秘密の場所」に案内する母(2023年3月19日) ツクシが枯れるころになると、同じ地下茎からスギナが顔を出す(2023年3月19日) 故郷の農村風景(2023年3月19日)…
親子でハイボールが飲める幸せ 「乾杯って、いいよね」 「毎日、乾杯できるといいね」 娘と2人の夕食。一緒に飲んだハイボール。 アラビアータもうまかった(自画自賛)。 2023年3月18日 昨日、新しい動画がYouTubeにアップされました。 日本テレビ「NNNドキュメント」の短縮版です。 youtu.be YouTubeで視聴するとコメントが記入できます。ご意見、ご感想をどうぞ。 どちらさまも、下のボタンをうっかりクリック。 にほんブログ村 食生活・食育ランキング いつも、ポチッと、ありがとうございます。 皆様のひと手間に感謝。励みになります! (function(b,c,f,g,a,d,e)…
与えてもらった台所仕事 きょうは、娘の早朝出勤。 午前6時、娘の部屋をノックした。 すでに起きており、身支度をしていた。 ちょっと前までは、何度声をかけても娘は起きられなかった。 ところが、最近は違う。 娘の中で何が変わったのか。 前回、前々回の早朝出勤の日も自分で起きていた。 パパの役割がどんどん減っていくじゃないか(心の声)。 娘が自宅を出た後、そんなことを考えていたら、LINEが届いた。 2023年3月18日 娘がアルバイト先のGUから戻る時間は17時。 夜の仕事の寿司屋に出勤するまで、家に滞在する時間は45分。 その間に、アラビアータを作って娘に食べさせる、いう役割を与えてもらった。 …
本日365回目の投稿 親として、大切なことを娘に伝え忘れてないか。 悔いなく子育てはできただろうか。 そんなことを考えながら、2022年3月18日、このブログをスタートした。 自分に課したテーマは「最後の子育て」。 娘に読んでもらうために、1年間、1日も休むことなくブログを継続することを目標にした。 きょうの投稿で、365回目となる。 二日酔いの朝や泊まりがけの出張のときは苦労したが、やってみたらできてしまった。 ブログを書き続けている間に、娘とのかかわり方はずいぶん変わった。 先月、娘は20歳になった。 誰に似たのか、よく働く。 アルバイトは、衣料品店(GU)と飲食店(すし宗)を掛け持ち。 …
そこに信頼関係があるかどうか がん患者の出産は転移再発のリスクがあり、千恵は産むことをためらっていた。 そのとき、父親は千恵にこう言った。 「お前は死んでもよかけん、死ぬ気で産め」 一見、無神経で乱暴。相手の気持ちを考えずに言い放っているようにも聞こえるが、実はそうじゃない。短い言葉の中には深い意味がある。義父は、生まれてくる子が、病気の千恵を助けてくれると信じていたのだ。 実際、千恵は娘を産んだ後、ブログに「サポーターの力は最強。私がこの世に生まれてきた目的は、これだったのかな」と綴っている。 僕もどうやら、「無神経な男」と思われている節があるようだ。 妻に「服のセンスがない」と笑ったり、脱…
YouTubeに多数のコメント 福岡放送に制作してもらったドキュメンタリー番組が、YouTubeの「日テレNEWS」にアップされました。 3月15日現在、161件のコメントが寄せられており、すべてに目を通しました。 僕たち家族の歩みを、ご自分の人生と重ね合わせたり、共感していただいたり。 「はなちゃんに勇気をもらった」というコメントもありました。 メディアを通して私生活を紹介されるのは、とても勇気のいることですが、好意的な声の多さに驚いています。これが誰かに必要とされたり、意味のあることならば、大変うれしく思います。 「心残りがないように、死ななければなりません」 妻はそう言い遺して、旅立ちま…
思い出のパスタでおもてなし 僕たち夫婦が、福岡市東区御島崎の公団住宅に住んでいたころ。 愛ちゃんは、千恵と同じ英会話教室に通っていた。 カナダ・バンクーバーにホームステイ経験のある彼女は、当時から英語の発音が美しくて。 そんな理由で千恵が目をつけ(笑)、わが家に連れて来た。 よく遊びに来てくれた愛ちゃん。 快活で、いつも笑顔。くりっとした目が特徴的だった。 ふと思い出して、彼女に電話をした。 16年ぶりに一緒にごはんを食べた。 あの頃の愛ちゃんのままだった。 今は2児の母で英会話の先生(2023年年3月12日) (2023年3月12日) 「信吾さん、よくパスタを作ってくれたよね〜」 そう言って…
料理番組に出演 2年前、娘は福岡の某放送局で「はなちゃんのレシピ」という料理番組に出演していた。 トークは苦手と言いながらも、一生懸命頑張った。 番組では、母親から受け継いだ天然っぷりを遺憾なく発揮。 タレントさんとの掛け合いが、面白かった。 娘が困っていたのは、テレビ局から見栄え良く斬新でおしゃれな料理を求められること。 そうした料理は、これまであまり作ってなかったので、本人も苦労していた。 玄米を炊く。みそ汁を作る。 旬の食材と向き合い、生産者と語り合い、環境に思いを馳せながら調理する。 見栄えも大切だが、今の時代を生き抜くためには、そんな番組が必要なのでは、と思う。 2021年8月18日…
ホルモン療法の副作用 千恵が、ホルモン療法を継続しているころ、僕は、時々、会社で胸騒ぎがした。 ある日の昼休み、彼女の様子を見に自宅に戻ることがあった。 自宅はマンションの12階。 カーテンを閉め切った薄暗い部屋の中に千恵はいた。 窓際にひざを抱えて座っていた。 10センチずれたら、命を失う。 僕はあわてて千恵を抱き締めて、床上に降ろした。 がん治療で「副作用」というと、多くの人が抗がん剤を思い浮かべると思う。 しかし、ホルモン療法にもさまざまな副作用があり、日常生活に支障をきたすほど苦しんでいる人も少なくない。 ほてりや発汗などのホットフラッシュがあり、1日に何度も着替えるほど汗をかく。 手…
怒鳴り散らす年配客 以前、娘がアルバイトで働いていたうどん店では、大声で怒鳴る客がいたそうだ。 冷たいぶっかけうどんをテーブルに運ぶと、 「違うじゃないか!温かいぶっかけを頼んだはずだ!」 メニューが多ければ多いほど、間違いは増える。 娘の聞き間違いもあれば、客が間違っていることだってある。 その店で1年間働き、「ある傾向に気づいた」と娘。 「自分の思い込みで間違っていたような気もするので、これでいいですよ」と答えるのが若い人。注文を繰り返し確認したにもかかわらず、自分の思い違いを絶対に認めず、怒鳴り散らすのが、年配の人に多いそうだ。 夜は酒を飲みながら、喧嘩する客もいる。 これも年配の男性に…
桜を相手にノリツッコミ 2年前にもらった桜を鉢植えしたら、花が咲いたで〜 なにいうとんねん。あれは桜の枝やで。根が張るわけない・・・ きょうは、五部咲き(2023年3月10日) ほんまや。 2年前、娘の同級生のお母さん「ひなママ」からもらった桜。 娘の大学合格のお祝いだった。 無色透明の花瓶に差し、日当たりの良い場所に置いていたところ、根が出てきた。 それをそのまま、鉢植えして2年。 毎日、水を欠かさなかった。 もうすぐ、満開。 以下、妻のブログ。 ノリツッコミの練習をするならば、人を相手にやりたいものです。 お互いにね。 ノリツッコミ(2008年2月29日) 家には、鼻のなが~いわんこがいま…
娘の小さな国際交流(昨日の続き) 僕が中洲で路上ライブをやっていた7日の夜、娘は、アルバイト先の「すし宗」(福岡市中央区六本松)で、異文化コミュニケーションを体験していた。翌朝、娘からスマホに送られてきたLINEのメッセージで、そのことを知った。 以下、娘からのメッセージ(原文のまま掲載)。 昨日「すし宗」に、耳が聞こえなくて、 声もあまり出せないアメリカ出身の女性の方が1人で食べに来たの。 はなが出勤した時に、宗さんに「きょうは、はなちゃんに大役がある」って言われて、 「俺らよりも英語が分かるはなちゃんに通訳を頼んだ」って笑 女性は、自分が思ったことは、全てGoogle翻訳に打ち込んで見せて…
リベンジは果たせたか 今月、まだ1週間しか経ってないのに3度目の「焼酎Lab.紅乙女」。 トミーと2人で飲んだ後、中洲のネオン街をふらふらと歩き。 たどり着いた場所は「福博であい橋」。 2009年10月16日、栗原靖史とギターで路上ライブをやった場所である。 人生初の路上ライブ(2009年10月16日) 当時、娘は6歳。 沿道に誰も立ち止まってくれなかったことから「パパ、人気ないねー」と娘。それでも、ノリノリで演奏する僕たちに「あんまり大きな声で歌うと恥ずかしい」とまで言われてしまった。 沿道には娘ひとり(2009年10月16日) 偶然、写真家の広田敦子さんと合流(2009年10月16日) 娘…
一期一会 〜いのちのハーモニー〜 抗がん剤の影響で顔はむくみ、声も出しにくそうだった。 でも、歌った。 声をかけてくれたのは、小学校のPTA役員の女性。 彼女も同じ病だった。 千恵は「ハナミズキ」を歌った。ピアノ演奏は大学の先輩、新貝真理さん(2008年3月3日) 内田美智子先生(右)と千恵(2008年3月3日) 内田産婦人科医院の内田美智子先生と掛け合いをしながら進められたコンサート。 最初で最後の共演。 とても幸せそうだった。 以下、千恵のブログ。 「僕の希望は現状維持」という綾小路きみまろ氏のネタを引用するところが深い。 欲を出さずに病と付き合っていくつもりだったのだろう。 おひな祭りパ…
札幌からうれしい電話 コロナは沈静化してきたが、今度は花粉で、マスクが手放せなくなった3月。 そんな中、札幌の友人たちが映画「弁当の日」の上映会と講演をセットで企画してくれている。※日程は検討中。 「できれば、はなちゃんと2人で来てほしい」と電話があった。 思えば、コロナで4年ほどご無沙汰している。 何よりもうれしいのは、第一声が「会って一緒に飲みたいから」だったこと。 企画の第一目的が「会うこと」なのだ。 泣ける。 みんなとビールが飲みたい。 ジンギスカンが食べたい。 北海道は、スギ花粉が飛ばないので薬を飲まなくていい。 4年前、札幌の居酒屋で(2019年7月27日) いつもイベントを企画し…
出版社を通じて世界に発信 妻は5歳の誕生日を迎えた娘に、みそ汁作りを任せた。 娘は「みそ汁作りは、はなの仕事」と自分に言い聞かせながら、台所に立った。 2008年2月22日、妻はその一部始終を写真に収めた。 2008年2月22日 2008年2月22日 2008年2月22日 2008年2月22日 2008年2月22日 2008年2月22日 2008年2月22日 2008年2月22日 2008年2月22日 2008年2月22日 2008年2月22日 後で知ったのだが、娘の写真は、助産師の内田美智子先生が講演で使用するスライドショーの素材として提供したものだった。 千恵が亡くなった後、出版社を通じて…
今後の人生は、おまけ 15年前、僕は自暴自棄になった。 心を病み、死んでもいいと思っていた。 生きていたけど、死んでいた。 だが、一杯のみそ汁が救ってくれた。 娘のおかげで、自分を取り戻すことができた。 これまでの15年と、これから先の人生はおまけ。 そう考えると、気が楽になる。 元気になる。 元気があるなら何でもできる。 本を書いた。 ロックンロールを演奏した。 ウエイクボードやボクシングを始めた。 楽しいじゃないか。 人生捨てたもんじゃない。 今なら、あの頃の千恵の気持ちがよく分かる。 ムスメよ、生まれてきてくれてありがとう。 撮影:Chiyori 昨年の「いのちのうた」(2022年12月…
唯一無二の屋台 定年を迎えた先輩と中洲で飲んだ。 二次会は天神の屋台。 僕の希望で「味府」に行った。 ここは、亡き妻とよく通った屋台。 餃子とラーメンがうまい屋台。 思い出すと悲しみがあふれ出すので、長い間、訪れることができなかった。 昨年5月の出張帰りに思い切って、のれんをくぐった。 おばちゃんが懐かしい笑顔で迎え入れてくれた。 「はなちゃん、大きくなったやろう。連れておいで」と言われたので、 その2週間後、娘を「味府」に連れて行った。 hanamisosoup.com 福岡には多くの屋台があるけれど。 僕は「味府」にしか行かない。 一瞬にして、あの頃に戻れる。 僕たち家族が幸せだった20年…
幸せならば、それで良い 娘と自宅で食事をする機会が減った。 同じ家に住んでいるが、時間が合わない。 娘は20歳。もう大人だ。 すれ違いは当たり前。 娘には、娘の人生がある。 昨日は、大分県玖珠町の「くすまちメルサンホール」で講演。 講演後、書籍を販売していると、来場者の女性から尋ねられた。 「はなちゃんは、どうされていますか?」 「元気ですよ。もう大学生になりました」と答えると、その女性は涙ぐんでいた。 僕は2008年にも玖珠町で講演会をやった。 2008年といえば、妻を亡くした年だ。 あまり覚えてないが、そのときも同じホールだったそうである。 娘も同伴だった、と主催者の人が教えてくれた。 当…
悪いのは中洲だ 血液検査の結果が悪く、身近な人たちに断酒宣言をした2月28日。 福岡を代表する夜の歓楽街、中洲近くの事務所で打ち合わせがあった。 終わったのが17時。 中洲を通って帰らなければならないのが、よくなかった。 事務所を出て徒歩3分。 偶然、漫画家の江口寿史先生のイラストが描かれたスタンドバーを見つけた。 そこは、娘が働く寿司屋で親しくなった紅乙女酒造の社長が営むアンテナショップ。 社長から「飲みにおいで」と誘われてた「焼酎Lab.紅乙女」だった。 ふらっと入って、どっぷりと3時間。 途中で社長も合流し、ごま焼酎に酔いしれた。 漫画家の江口寿史先生のイラストが描かれた店の窓ガラス(2…
寿司にまつわるエピソード 昨夜、アルバイト先の「すし宗」から帰宅した娘。 「大将からマグロのあぶりと鯨を食べさせてもらったよ」 「・・・・・・・」 うらやましい。 パパは2日前に作ったおでんを食べ続けているというのに。 すし宗で働く娘(2022年10月4日) 「ここで働くのは楽しい。食の勉強にもなる。常連の社長さんと親しくなった」などと言い、充実している様子。大将からも、卵焼きの作り方や配膳、接客を教わったりしている。 昨年末で辞めるつもりだったらしいが、今は「できれば、大学を卒業するまで雇ってほしい」と意欲的だ。 loco.yahoo.co.jp 今回は、合縁奇縁なエピソード。娘は、以下(妻…
「これでいいのだ」と感じられる環境づくりを 雨が素敵なドラマを演出してくれた。 2013年2月26日、仕事を終えると、外は土砂降りだった。 僕は、娘に電話をかけた。 駅に到着すると、娘が満面の笑みで、傘を持って待ってくれていた。 僕も満面の笑みで娘を抱きしめた。 2003年2月26日 このとき、娘は小学4年生(10歳)。 自尊感情が、ぐんっと高まった瞬間であったと思う。 自分がどれだけ他者や社会に役に立っているかを感じることで高まる自尊感情。 噛み砕けば「これでいいのだ」という感情。 「心の健康」を測るバロメーターでもある。 自尊感情が高まると「自分はこの世界にいても良い、価値のある存在だ」「…
食の取材に便乗する妻と娘 出版編集者の仕事をしていた16年前、長崎県佐世保市の有機農家、吉田俊道さんと料理家のタカコナカムラさんの共著「まるごといただきます」の出版を企画。2007年12月20日早朝、僕たち取材スタッフは、車に撮影機材などを詰め込み、吉田さんの農場に向かって出発した。 もちろん、これは会社の仕事である。 もう時効だから打ち明けるが、車の後部座席には、なぜか、千恵と娘が座っていた。 ※良い社員は真似してはいけません。 吉田農場で野菜を収穫する娘(2007年12月20日) 娘はニンジンをまるかじり(2007年12月20日) 千恵もカブをまるかじり(2007年12月20日) 吉田さん…
「ママが、かわいそうすぎるやん」 娘が小学5年生の頃だった。 車の後部座席に置いていた本『はなちゃんのみそ汁』を手にする娘の姿が運転席のミラーに映った。出版からすでに1年半が経っていた。 しばらくして、娘は「やっぱり、無理」と言って、読むことを中断した。 生き続けることを切望した母の気持ちを初めて知ったからだった。 2013年9月21日 2013年9月21日 「ママ、なんもできとらんやん。卒園式も、入学式も・・・。楽しみにしていたのに・・・。ママが・・・かわいそうすぎるやん」 そこには、千恵が亡くなる5カ月前、ブログにつづった一節が記されていた。 “戦闘服”でいざ出陣(2008年2月22日) …
お返しは「おいしい顔」 娘は幼い頃からコロッケが好き。 おいしい顔〜(2013年9月8日) 誕生日の贈り物は、手作りのコロッケ。 はなパパのコロッケ(2023年2月19日) おいしい顔〜(2023年2月19日) 以下は、妻のブログ。 アホな夫婦の会話をどうぞ〜。 誕生日の贈り物うんぬん(2008年2月20日) というわけで、ムスメに送るプレゼントは、基本的に「お誕生日おめでとう」の言葉以外は、ないのですが。昨日、私のははから、 「欲しがっていた、うさはなちゃんのランドセルが、岩田屋価格より半額になってたから思わず買っちゃったわ~~よかったかしらあ?」 ランドセル 男女兼用 2022年 新モデル…
父の仕事 何よりもうれしいのは、父の仕事が番組の最後で紹介されたこと。 父の生きた証しを心の中だけでなく、映像という形で残すことができたこと。 写真館経営60余年。 88歳、まだ元気。 娘の結婚式、ひ孫の七五三の写真もここで撮影してほしい。 かかわっていただいたすべての皆様に感謝申し上げます。 www.fbs.co.jp 千恵の姿も見える。 2023年1月9日 2023年1月9日 2023年1月9日 2006年11月15日 どちらさまも、下のボタンをうっかりクリック。 にほんブログ村 食生活・食育ランキング いつも、ポチッと、ありがとうございます。 皆様のひと手間に感謝。励みになります! (f…
三宅伸治さんと語り合った3日間 僕は弱い人間だ。 若いころは、もっと、強くなりたいと思っていた。 でも、強い人間にならなくてもいいのではないか。 最近、そう思えるようになった。 この3日間、三宅伸治さんと一緒に夜を過ごした。 なかなかうまくいきませんなあ、と互いにつぶやきながら、ハイボールを飲んだ。 2007年、三宅さんの詩集「月のメロディー」の編集に携わった。 もう、16年の付き合いになる。 その間、三宅さんにとって大切な音楽仲間たちとの別れが幾度もあった。 「ボス」と慕った忌野清志郎さんとの死別。 2015年、ギタリストの石田長生さんが亡くなったときは、ちょうど「いのちのうた」と重なった。…
チューリップと手紙 まさかの逆サプライズだった。 娘の20歳のバースデーは、恒例のイタリア料理店「テシマ」。 僕は、娘に内緒でウクレレを持参し、お祝いの曲をプレゼントするつもりだった。 演奏する直前だった。 娘が袋を持って、僕の目の前に歩み寄ってきた。 袋の中には、鉢植えのチューリップ。 手紙も添えられていた。 パパへ 20年間、育ててくれてありがとう。 パパ役、ママ役、どちらもしてくれたね。 たくさん困らせることもあったと思うけど、 はなは、パパとママの子どもで 世界一の幸せ者だよ。 これからもずっと、よろしくね。 楽しいことたくさんしようね。 長生きしてね。 はな 2023年2月20日 2…
娘の20歳のお祝いに 箱から出した途端、いろんなことを思い出し、涙があふれ出た。 娘の20歳の誕生日のお祝いに届いた手作りケーキ。 送り主は、料理家の一鍬田朋子(ひとくわだ・ともこ)さん。 愛称は「うもちゃん」。 千恵の料理の先生で、年下の友人でもある。 出会ったころは、誰もが「ともちゃん」と呼んでいた。 当時4歳の娘が覚えたての字で、紙に「ともちゃん」と書いたつもりが、「と」が左右逆字になっていて「う」に見えたため、以来、みんなから「うもちゃん」と呼ばれるようになった。 うもちゃんは、千恵が亡くなる1カ月ほど前、わが家に泊まり込みで家事と看病を手伝ってくれた。 手作りケーキは、卵、乳製品、小…
4歳児の才能 幼い頃のはなが描いた家族。 左がパパ。 右がママ。 真ん中で手を上げて喜んでいるのが自分、はな。 家族の絆は∞(無限=永遠)。 頭から出ている芽は「命」を意味する。 4歳児って天才だと思う。 いのちのうた第14章(2021年11月20日) 現実頭皮。否。(2008年2月9日) 私は、人を楽しませるのが大好きです。 明後日、八幡市民会館で、 真顔で、これをつけている人を見かけたら・・・。 2008年2月9日 そおっとしておくのが礼儀です(笑) 段ボールを切るのが意外と大変でした。こんなの作る暇があったら、「歌の練習せいっ」 て言う声が聞こえてきそうです。そういえば、試験や受験の時期…
保険金(2008年7月) 情けない話だが、借金まみれだった。まさに、泣きっ面に蜂の状況だった。 保険適用外の治療費やリンパ浮腫を悪化させないための器具代の借入金、生活のための各種ローンなど・・・。会社の退職金も前借りしていた。 気づけば、借金は合計で7000万円以上に膨れ上がっていた。 千恵の学生時代の奨学金は死亡を理由に免除してもらうことができたが、公的年金は支払い期間などの要件を満たせず、受け取ることができなかった。 途方に暮れていたある日、一本の電話がかかってきた。 「千恵さんのお母様からお聞きしました。お悔やみ申し上げます」 長崎県大村市の保険会社の女性からだった。 千恵が、がん保険に…
誰からも愛される人に 結婚して2度目の年を越した2003年2月20日。 出産予定日を12日過ぎても産まれる気配はなく、医者は陣痛促進剤を準備していた。 そのとき、急に激しい痛みが千恵を襲った。 午前8時、分娩室に入った。ぼくは千恵の手を握り、腰をさすり続けた。 担当の助産師さんが千恵に語りかけた。 「私もあなたと同じ病気だったの。手術した後に赤ちゃんを産んだのよ」 何という巡り合わせだろうと思った。千恵は苦しみながら、助産師さんの言葉にうなずいた。 午前9時25分、新しい生命が誕生した。3380グラムの赤ちゃん。 千恵は命をかけて出産した。 乳がんの発覚から2年半がたっていた。 赤ちゃんは元気…
パパは40分の4 もらいましたよ。 娘から。 娘の手作りチョコレート(2023年2月16日) 過去を振り返ると、娘から手作りチョコをもらったのは9年ぶり。 友達とチョコを作る娘(2014年2月16日) 2014年2月。娘が小学5年生の頃だった。 「バレンタインデーは終わったやろうもん」 「板チョコは、そのまま食ったほうがうまいやん」 などと横でつぶやいていたら、口を聞いてくれなくなった。あの日。 やっぱ、ハート型だよね!(2014年2月16日) その後、冬の時代が続き・・・。 ロッテの板チョコ(2017年2月12日) 明治の板チョコ(2018年2月21日) 9年ぶりの手作りチョコ。 メッセージ…
ブログの副産物 最近、ちょっとストレスいろいろ。 いくら頑張っても解決しないときは、一旦放置。 楽しいことを考えるようにしている。 たった今、クリエイティブな仕事をしている友人に、「笑える企画」を持ち込んでみたところ、意気投合。何かおもしろいことが始まりそうな予感がする。 勇気を持って、言ってみるもんだね。 おかげでストレスも薄まった。 事の始まりは、まもなく20歳になる娘に、僕と妻の価値観をあらためて伝えようと始めた「番外篇」。その友人も読者の1人だった。 まだ、どうなるか分からない話だが(ボツになるかもしれない)、こんなにワクワクする副産物が見えてくるとは思いもしなかった。 11カ月間、休…
生気に満ちた表情に 千恵は、助産師の内田美智子先生と知り合って、何事にも精力的になった。 がんは全身に転移していたが、表情は生気に満ちていた。 内田先生の著書「ここ 食卓から始まる生教育」(西日本新聞社)に感銘を受け、講演会にもついて行った。先生が、千恵の闘病や子育てを講演で紹介してくれたからだろうか。2008年2月頃から、会場では、千恵にサインを求める人が増え始めていた。 内田先生の本にサインをする千恵(2008年3月3日) はなもサイン(2008年3月3日) 装画は娘が担当。編集はパパが担当。おかげさまでロングセラー。一家に一冊「ここ」。 ここ―食卓から始まる生教育 作者:美智子, 内田,…
経験って大事 春のお彼岸は、ぼたもちを作ろう。 ぼたもちは、春に咲く花である「牡丹」が由来。 「牡丹餅」と書いて「ぼたもち」と読む。 秋のお彼岸は「おはぎ」。 こちらは、秋に咲く花である「萩」が由来。 こしあん(春)、つぶあん(秋)、大きさ、形状などの決まりもあるらしいが、 あんまり気にしない。 わが家は、いつも「つぶあん」。 きな粉もおいしい(2017年3月17日) 炊いたもち米をつぶす(2017年3月16日) あんこ玉を作っておく(2017年3月16日) もちをあんこ玉で包んで出来上がり〜(2017年3月16日) かつて、わが家には、あんこ玉をそのまま食べる人がいました。 大人になって恥ず…
ぶらぶらする日曜日 ぐっすりと眠った昨夜。 カーテンを開けると、快晴だった。 弁当作って、どこかに出かけたい気分。 朝ごはん食べて、洗濯して、掃除して。 一眼カメラを持って、ぶらぶらする日曜日。 いつもの暮らし。ふつうの暮らし。 ふつうがいい。 ふつうの暮らしに感謝しなければ。 はなは千恵。千恵ははな。 はなの声は、千恵の声。 「声」に寄り添い、生きていく。 映画「はなちゃんのみそ汁」無料配信中。今日まで! 2月12日(日)23時59分まで。 gyao.yahoo.co.jp どちらさまも、下のボタンをうっかりクリック。 にほんブログ村 食生活・食育ランキング いつも、ポチッと、ありがとうござ…
釈迦に説法 福岡教区浄土宗青年会北筑支部の研修会に招かれた。 僧侶の皆さんの前で「親が子に遺せるもの」をテーマに講演。 「死別」と「喪失からの再生」を語った。 話をしながら思った。 これこそが「釈迦に説法」(笑)。 ある意味、貴重な経験だった。 夜は僧侶の皆さんともつ鍋(2023年2月10日) 私服姿の僧侶がそろうと画に迫力がある。でも、みんなやさしい(2023年2月10日) 街で美人を見かけると撮影したくなる(2023年2月10日) 「わたしきれい?」(2023年2月10日) 以下、妻のブログです。 わたしきれい?(2008年2月4日) ところで、先日、こんなコメントをいただきました。 こん…
娘の成人のお祝いに イタリア料理店「テシマ」(福岡市南区大橋)のマダム、のりりんが、娘の成人のお祝いに下着を買ってくれた。 「ちゃんとした下着」らしい。 男親にはわからない。 僕が「そんなん、何でもよかやろうもん」と言ったら、娘から言い返された。 「ちゃんとした下着を身につけることは、体のためにも大事なことなんよ」 ふーん、そうなんだ。 妻の千恵が、通販で安価なパンツを大量買いし、ボロボロになるまではく人だったので、パンツにそんな意味があるなんて全然知らなかった。 「で、どんなの? 見せて」と聞くと、 「補正してもらっているから、出来上がりは来週」とのこと。 って、どんなパンツやねん。 han…
待つ側になって気づく 娘の帰宅が遅い。 どこで遊んでいるんだ。 ぶつぶつとつぶやきながら、ひとり寂しく夕食を済ませ、ソファで寝落ち。 22時すぎ、娘が帰宅した。 「お腹減った〜」と言う娘に、「遅い」と返した。 「だって、すし宗でアルバイトやったもん」 ・・・・・・・・。 確かに。 朝、出かける前に、そう言っていた。 娘も幼いころ、同じような気持ちでパパを待っていたに違いない。 寂しかっただろうなあ。 待つ側になって、初めて気づいた。 近所の飲食店。迎えに行くといつも寝ていた(2011年9月12日) おんぶして帰宅(2011年9月12日) 罪滅ぼしに、明太子パスタを作った。 深夜の明太子パスタ(…
娘の弱点 「暮らし力」まあまあ高めの娘。 いつ、社会に出しても、そこそこやれると思うが、弱点もある。 朝、1人で起きられない(笑) 目覚まし時計には無反応。 最低3回は起こしに行く。 火事に見舞われると、きっと助からないタイプだろう。 パパは毎朝、午前5時起き(就寝が早い)。 いつもは「◯時に起こして」と、前夜のうちに娘からLINEのメッセージがあるのだが、今朝は届いてなかった。 大学のテストで深夜の勉強が続いていたので、ゆっくり寝かせてあげようと思っていたところ、バタバタと慌ただしい音が聞こえてきた。娘の部屋をのぞくと「寝坊した〜」と泣き顔になっていた。 午前8時半までに、衣料品店のアルバイ…
故人を語ることとは・・・ 妻が他界して今夏で15年。 ブログを書いたり、書籍を出版したり。 いつまで、悲しみを引きずっているんだ。 毎年の追悼コンサートも辛気臭い。 そんなふうに、お感じの方もいると思う。 一方で「悲しみを抱えながらどう生きるかを教わった。続けてほしい」との声も。 受け止め方はいろいろ。 人の生き方はいろいろ。 それでいいと思っている。 どう伝えたらいいのだろう。 故人を語ることは、未来を生きること。 分かりにくいかな。 そんなことを考えていると、1月29日にすい臓がんで亡くなられた鮎川誠さんを追悼する新聞記事を目にした。 3KINGSで鮎川さん、三宅伸治さんと活動を共にした友…
パパのダンス 「はなちゃんは、どうしてみそ汁を作るの?」 昨夜、日本テレビで放送された「NNNドキュメント」。 7歳の娘は、ディレクターの質問にこう答えていた。 「パパが笑ってくれるから」 一夜明け、フェイスブックに「4年前のきょう」投稿した動画が上がってきた。 青い春の娘。2日前から元気がない。 食欲もない。 今夜はダンスのレッスンや塾がなかったから、気分転換に2人で外食。 それでも娘が食べたのは鳥の唐揚げ1個だけ。理由は話してくれない。 パパがいくら頑張っても解決できる問題じゃない、そうだ。 帰り道、踊ったこともない「USA」を雰囲気で踊ったらゲラゲラ笑ってくれた。 元気出た、と言ってくれ…
包容力のある公民館 昨日は、姪北公民館(福岡市西区)で講演だった。 ※姪北校区男女共同参画委員会主催 どうやら、2011年10月1日も、ここで話をしたらしい。 あたたかな日が差すホールに足を踏み入れると、娘を連れて訪れた12年前がよみがえった。 その日のことを公民館の職員さんも覚えていた。 「はなちゃん、こんなにちっちゃくてね」 と、目を細めながら、当時のことを語ってくれた。 公民館と講演は相性が良い。 その理由をいくつか挙げると・・・。 人数は多くても50人ほど。 年齢層、割と高め。 反応が良い。 一体感が生まれる。 子育てを終えた男女が、相槌を打つように「うん、うん」とうなずいてくれる。 …
パパのものまね 今年の恵方巻きは、卵焼きと穴子。 焼き餃子とポテトサラダも作った。 「すし宗」の恵方巻き(2023年2月3日) お腹いっぱい食べて、落ち着いたところで、ネスタ(娘の彼氏)がひと言。 「あ〜食いすぎた〜」 娘が噴き出して笑った。 何のことやらよく分からず、「何がおもしろいと?」と聞いてみた。 どうやら、ネスタがパパの物真似をしたらしいのだ。 「この野郎〜。からかいやがって〜」 そんな節分の夜。 味の素の冷凍餃子はうまい。羽根もばっちり(2023年2月3日) 今度は3人で手作り餃子を作ろうかね。 どちらさまも、下のボタンをうっかりクリック。 にほんブログ村 食生活・食育ランキング …
目指す階級はライト級 若いころから、ずっと、やりたかったスポーツがある。 記者時代も、何度か取材したことのあるボクシング。 最も影響を受けたのは、元日本ライト級チャンピオンの坂本博之さんだ。 坂本さんの書籍「僕は運命を信じない」の編集に携わった縁で、2007年には、彼の引退式を福岡市で仲間たちと主催し、後楽園ホールでの最後の試合も応援に行った。 やるなら今しかない。 そう決意したのは、昨年9月。59歳の誕生日を迎えた直後、自宅近くのボクシングジムに入門した。 小4から39歳まで剣道をやっていた。 剣道は、左足が「蹴り足」のため、構えはサウスポー(左構え)の方がしっくりくるのだが、本来は右利き。…
音楽と食がなければ生きられない 悲しいことがあったら、ウクレレを弾く。 millarのウクレレ(2023年2月2日) 月一のレッスン。4つのコードで弾ける「Stand by me」を練習中(2023年1月30日) 柔道とバイクとゴルフが趣味の友人が初めて手にしたウクレレ。 指が太くてG7のコードがなかなか押さえられない友人(2023年1月30日) できるようになったら、みんなで喜び合う。 NO MUSIC, NO LIFE. 練習の後は、打ち上げ。 NO FOOD, NO LIFE. 今回のメニューは、広島お好み焼き(2023年1月30日) 麺がパリパリ(2023年1月30日) ハイボールも必…
予告編を見て・・・ 「父娘で歩んだ15年」が「NNNドキュメント」(日本テレビ)で全国放送される。 ※2/5 24:55〜日本テレビ系列 追加インタビューの日、娘から「あっちに行ってて」と言われたので、僕は部屋から出た。 娘が何を話したのか知らなかった。 今朝、予告編を見た。 最後の娘のコメントに・・・・。 youtu.be ナレーションは、和久井映見さん。 日本テレビ系列 2月5日 24:55〜 BS日テレ 2月12日 8:00〜 日テレNEWS24 2月12日 24:00〜 www.ntv.co.jp 泣いてまうやろ〜(2022年12月3日) どちらさまも、下のボタンをうっかりクリック。 …
俺たちは年をとった あれは、昨年9月の「いのちのうた 第15章」の打ち上げのときだった。 出演者全員がBassic.に集まり、僕は三宅伸治さんの隣に座った。 乾杯後、三宅さんが、珍しく僕に仕事のことを聞いてきた。 数年前から、三宅さんに相談していた、あるプロジェクトについてだった。 僕は進捗状況を説明し、「ゆっくりですが、確実に進んでいます」と答えた。 「よかったです。足踏み状態が続いていたようなので、ボツになったのかと思っていました」 そう言って、三宅さんはハイボールを一気に飲み干した。 「でもね、安武さん。これだけは覚えておいてください。俺たちは年をとった。できる限りのことはしますが、いつ…
娘の特技 幼い頃の娘は、食べながら寝ていた。 箸を持ったまま。夢の中で食べている(2007年7月1日) 上から見たところ(2007年7月1日) 大学生の今は、勉強しながら寝る。 ペンを持ったまま。夢の中で勉強している(2023年1月29日) 上から見たところ(2023年1月29日) パパは酒を飲みながら寝る。グラスを持ったまま。 夢の中でも飲んでいる。 どちらさまも、下のボタンをうっかりクリック。 にほんブログ村 食生活・食育ランキング いつも、ポチッと、ありがとうございます。 皆様のひと手間に感謝。励みになります! (function(b,c,f,g,a,d,e){b.MoshimoAffi…
シークレットゲスト 大分市で開かれた映画「弁当の日」上映会のシークレットゲストは、 映画に出演してくれた子どもたちでした。 主催:こくみん共済coop大分推進本部 一番喜んでいたのは竹下先生(2023年1月28日) 竹下先生は「みなさんを家族のように思っています」と懇親会で挨拶(2023年1月28日) みそ汁の野歩くんは、巣立ちの希一くんにべったり(2023年1月28日) はなと里紅ちゃん(2023年1月28日) 竹下先生の話を聞く南村くん(2023年1月28日) 希一と夏紅斗。2人とも社会人になった(2023年1月28日) 竹下先生(2023年1月28日) カメラマン希一(2023年1月28…
贅沢な時間 昨夜は、大分市の飲食店で、ある人と打ち合わせだった。 しばらくの期間、コロナ禍で会えなかった。 「弁当の日」提唱者の竹下和男先生。 がっつりと3時間、料理を食べながら、濃い話を聞かせていただいた。 贅沢な時間だった。 竹下先生は、どんなテーマでも話せる。 読書量が半端ない。 とにかく、すごい人なのだ。 きょうは、大分市で今年最初の大仕事。 映画「弁当の日」上映後は、竹下先生と娘と3人でアフタートーク。 昨年末から製作していたショートムービーも披露する。 久しぶりに、大分の友人たちにも会える。 イベントそのものが、ドキュメンタリー。 何が起こるか分からない。 楽しみだ。 竹下先生と娘…
今は楽しい講演会 明日(1/28)は、大分のでっかいホールで上映会とトーク。 あれだけ嫌だった講演が、今は本業のようになっている。 不思議じゃのう。 かつて、「なんだこいつ。ぶすっとしやがって」と不愉快に思われた皆さま。 ごめんなさい。 以下、妻のフォロー。 ふぉ、フォロー・・・笑(2008年1月27日) 風呂から上がり、「おやすみ」の挨拶だけしにリビングに戻ったら、旦那が、私のブログを読んでおりました。「ねえ、これ見て~」と、何だかうかない表情。「ん~、どしたの?」以下、掲示板から坂道ルンルンさんのコメントを添付。 はじめまして! 実は先日ご主人の講演会に参加させていただきました。 正直始ま…
オリーブオイルでおいしさ倍増 ひとりの夜は、卵かけご飯。 常温に戻した卵を割り、中さじ2杯のしょうゆを入れて溶く。 これを炊き立ての熱々のご飯にかけて、手早くかき混ぜる。 そこに、オリーブオイルをほんの少しかけると、生卵独特のにおいが和らぐ。 オリーブオイルの風味も加わり、おいしさアップ。 朝の残りの豚汁を温め直し、焼き海苔とキムチの白菜漬けを添えれば、立派な晩ごはん。 卵かけご飯(2023年1月25日) オリーブオイルに含まれる不飽和脂肪酸には、腸の働きを滑らかにする「滑腸(かっちょう)作用」がある。 調理時間1分。 どちらさまも、うっかりクリック。 にほんブログ村 食生活・食育ランキング …
刺身の食べ方 19歳男子は刺身が好き。 ならば、うまい魚を食わしてやろう。 吹雪の中、娘と男子を連れて近所の居酒屋に向かった。 サッポロ黒ラベルを飲みながら、待つこと10分。 刺身の盛り合わせが運ばれてきた。 ヒラメ、マグロ、イカ、赤貝・・・。 19歳男子のうれしそうな顔。 こっちまで、うれしくなる。 19歳男子が、しょうゆの入った小皿にワサビを入れたところで・・・。 「ちょっと待った!!」 いいかい。ワサビっていうのはなあ。 刺身にちょこっと乗っけて食うのが粋ってものさ。 しかも、すりおろした本山葵だよ。 マナー違反ってわけじゃないけど、 しょうゆに混ぜてしまっちゃあ、香りや辛みも台無しじゃ…
機種変更 猛吹雪の中、街に出かけた。 福岡市役所前ふれあい広場(2023年1月24日) アップル福岡天神店(2023年1月24日) iPhone13mini(2023年1月24日) 心機一転(きょうも走ってない)。 どちらさまも、うっかりクリック。 にほんブログ村 食生活・食育ランキング いつも、ポチッと、ありがとうございます。 皆様のひと手間に感謝。励みになります! (function(b,c,f,g,a,d,e){b.MoshimoAffiliateObject=a; b[a]=b[a] function(){arguments.currentScript=c.currentScript…
明日から走ろう 昨夜は、焼き肉店「アンジュ」で新年会。 娘のアルバイト先(すし宗)の集まりだったが、大将から「お父さんも来ませんか」とお誘いを受け、関係ないのに参加した。 絶妙なタイミング。 実は、前日からホルモンが食べたくて仕方がなかったのだ。 上質な牛ホルモン(2023年1月22日) 脂が甘い(2023年1月22日) 娘が好きな牛タン(2023年1月22日) サシの入り方がほどよいカルビ。美しい(2023年1月22日) ステーキをワサビでさっぱりといただく(2023年1月22日) キムチのうまい焼き肉店は何を食ってもうまい(2023年1月22日) たまらず白飯(2023年1月22日) 帰宅…
誰か教えて 何が「悩ましい」か、というと映像製作の編集環境だ。 昨年から、編集スタジオを借りずに、自宅のiMacで動画編集を行なっている。 コストは掛からなくなったが、悩ましいのは、パソコンのスペック問題。 食に例えると、外食から自炊に切り替えて家計は助かったけど、調理道具がそろってない、という感じだろうか。 ドキュメンタリー映画は、撮れ高が命。 長時間撮影は当たり前。 動画データが半端なく多く、重くなる。 現状のパソコンではスペックが全然足りないため、ダビンチリゾルブのエフェクトが一部使えなかったり、高画質だと動作がもたつくことがある。作業効率が極めて悪い。 一方、撮影環境は理想に近づいた。…
今度は娘と・・・ 通夜に参列した帰り道。 ちょっと飲みたい気分になり、隣にいた友人を誘ってみた。 「せっかくだから、一杯行こうか」 何が「せっかく」なのかわからないが、このまま家には帰りたくなかった。 タクシーの運転手に「美野島のサニーの前まで」と告げ、高校の後輩が営む店「焼鳥のけむまき」に向かった。 店主の鍋田篤志さん。高校時代は野球部(2023年1月19日) 「焼鳥のけむまき」。サニー美野島店の向かいにある(2023年1月19日) この日、どうしても砂ずりが食べたかった。 コリッコリの砂ずり(2023年1月19日) 友人が「これは絶対食っておいた方がいい」と勧めた「つくね」。 卵黄をつけて…
1月28日 もうすぐ、千恵の誕生日。 ずるいね、君は。 ずっと33歳のまま。 僕はどんどん老けていく。 2023年1月20日撮影 お誕生日おめでとう。しかし・・・(2008年1月28日) 「誕生日、おめでとう」 旦那の今朝のひとこと。 おお! 結婚して7年目。 朝から誕生日のことを覚えていたのは初めてです。 これはすべて、 先日の、皆さんのサプライズ効果。あれがあったから、覚えていたのです。きっと。いや、絶対。 本当に、ありがとうございました。 しかし、旦那の発言を聞いたムスメの今朝のひとこと。「ままだけ、ずるーーーーーい!」・・・どうやら、この前も祝ってもらったのに、ままだけ2回も誕生日があ…
僕が誘い出されたもうひとつの理由 hanamisosoup.com ネスタのアルバイト先での食事を言い出したのは、僕ではない。 高校の同級生、靖史の誘いだった。 靖史とネスタは、わが家で一度会っていた。 「内緒で店に行ってみようや。あいつ、びっくりするばい」 サプライズは大成功だった。 ネスタを肴に、遅れて合流した娘と3人で大盛り上がり。 酔いも回り、僕が「そろそろ出ようか・・」と言いかけたとき、 靖史がぽつりとつぶやいた。 「お前が、ブログにあげんこと書いとったけん、心配したばい」 1月11日に投稿したブログのことだった。 妻が他界した後、15年間の子育てにひと区切りついた今年の「成人の日」…
ボブ・マーリーのミドルネーム 昨夏、娘に彼氏ができた。 年下の男の子。 生まれは東京。 大学1年生、ひとり暮らし。 週に数回、わが家で一緒に晩ご飯を食べる。 娘が初めて家に連れてきたときは、ガツンと一発言ってやろうかと思っていたが、 あまりもいいやつだったので、笑うしかなかった。 彼の名前は、ネスタ。 漢字は一度、聞いたけど忘れた(ごめん)。 外国人ではなく、生粋の日本人。 ネスタの母親が、レゲエの「神」として知られるボブ・マーリーの大ファンらしい。 ボブ・マーリーのミドルネームが「ネスタ」。 というわけで、名付けられたそうだ。 Bob Marley & The Wailers - No Wo…
娘のアルバイト先 昨年末から映画「弁当の日」に出演した子どもたちの3年後を取材している。 年が明けると、今度は動画の整理と編集作業。 ここ数日間、ずっと、パソコンの前に座りっぱなしだったから、ブログのネタがない。 ネタ探しに、昨夜は娘のアルバイト先を訪ねた。 福岡市中央区六本松の「すし宗」。 うまそうなネタがたくさんあった。 「すし宗」で働く娘(2023年1月16日) 小鉢はアナゴの稚魚「のれそれ」(2023年1月16日) ビールでのどを潤し(2023年1月16日) 赤貝とタコ(2023年1月16日) ヨコワマグロ(2023年1月16日) ブリの塩焼き(2023年1月16日) 日本酒は「寒北斗…
「心が不安定」なんて言ってられない ちょっと、心が不安定だった1月13日の金曜日。 その日、27年前にいじめを苦に命を絶った少年が通っていた中学校で講演をした。 翌日、講演を聴いた生徒からインスタグラムにメッセージが届いていた。 文面には感謝の言葉。伝えたかったことが、生徒たちに正しく伝わっていることがわかった。 講演後の授業でも、このブログ「はなちゃんのみそ汁 番外篇」を見てくれていた。 誰かに必要とされていることって、幸せだ。 こちらこそ、ありがとう。 「心が不安定」なんて言ってられない。 1/9のブログ「成人の日を迎えて」(2023年1月13日) 教室のモニターにブログが映し出されていた…
下着をつける順番 風呂上がりに下着を身につけるとき、上が先か、下が先か、という妻の日記。 くだらないかもしれないけど、乳がん患者にとっては切実な問題。 途中、話題が大きく脱線しておりますので、そこはスルーしてください。 にぎりにしますか? ちらしにしますか?(2008年1月25日) みなさんこんばんは~。水曜日に流行性結膜炎の疑いがかかり、保育園に行けなくなったムスメを、今日昼から一日中外を歩かせていたら、夕飯も食べずに、6時半に寝てしまいました。結膜炎って言っても、熱が出るわけでもなく、咳が出るわけでもなく、ただ、目が赤くなるだけで、元気もりもりなもんですから、質が悪いです。すーすーすーすー…
台所は「想像力」を養う格好の場 1996年1月、福岡県内のある中学校の男子生徒が、いじめを苦に自殺した。 当時、僕は西日本新聞久留米総局の記者で事件と司法を担当していた。 その中学校には、何度も取材に通った。 少年が亡くなった後、学校は「いじめはなかった」と発表。のちに、少年は同級生から一方的に暴力を振るわれたり、現金を脅し取られてしていたことが、明らかになった。「お父さん、お母さん、ごめんなさい。(中略)・・・いま30万円ぐらいとられているし、またお金をようきゅうされた。しかし、そのお金がないので死にます」と綴った文書も見つかった。 「いじめられる側にも原因がある」という「ゆがんだ考え方」が…
もうすぐ、千恵の誕生日(1/28) 15年前のちょうど今ごろ、こんなことがありました。 みんな、どうしているだろうか。 会いたいなあ。 世界で一番幸せでした(2008年1月20日) 私は幸せです。大切な人がたくさんいますし。一人じゃないし。もう、生きている。生かされている。 それだけで、本当に十分幸せです。そう思っていますし、これからも、そう思って生きていくでしょう。日々、幸せを噛みしめながら、眠りにつくのですが。 今夜は「今までで一番幸せでした」と言って、寝たいと思います。 今日。平々凡々、大木ボンドな私に。 突然、起こったできごと。とても、一言では書くことができないのですが。企画してくれた…
それは「大人になりたい」という子どもの本能 「弁当の日」の提唱者、竹下和男先生の著書「『ごちそうさま』もらったのは“命”のバトン」(自然食通信社)には、弁当作りを経験した子どもたちのさまざまなエピソードが収録されている。 僕が講演で毎回紹介する「こげこげ弁当」の話もそのひとつ。 下の画像は、ある男子生徒が人生で初めて作った弁当。 竹下先生は、その弁当を「独立宣言弁当」と名付けた。 男子中学生が作った弁当 「弁当の日」の前夜、この男子生徒と母親の会話。 「母さん、あしたの弁当の日は俺に弁当を作らせてくれ」 「馬鹿なこと言わないの。弁当を作るのはお母さんの仕事。あなたは勉強をしなさい!」 竹下先生…
話し相手になってくれる「仲間」の存在 僕は、ひとりで朝食を食べていた。 「ごめん。大学行ってくる。ご飯は帰って食べるね」 娘がそう言って、バタバタと家を出て行った。 前日は「成人の日」。 夜遅く帰宅したので仕方がない。 娘の朝食も用意していたが、この日ぐらいはいいだろう。 そこまでは、普段と何も変わらなかったのだが・・・。 台所で食器を洗っていると、急に涙が込み上げてきた。 思い出したのは、15年前。 娘を迎えに行った保育園での光景だった。 定時の迎えは、いつも間に合わなかった。 娘が、ぽつんとひとりで待っている日もあった。 僕の姿が見えると、「パパ、パパー」と叫びながら、飛びついてきた。 「…
大人は先回りしない 「子どもには失敗する権利がある」 それが、僕たち夫婦が考える子育ての出発点だった。 親が手伝ってばかりいては、子どもが自立する機会を逃す。 子どもは失敗を繰り返すことで自信がついていく。 大人は先回りをしない。我慢する。そして、子どもに失敗させる。 2008年2月22日 2008年3月18日 娘は来月20歳になる。 最近では、家事だけでなく外の仕事でも、助けてもらうことが多くなった。 子の成長ともに親も子育ての考え方を軌道修正する必要がある。 昨日のブログで「パパの役割はほとんど終わったような気がしている」と書いたのは、10代の子を持つ今までの自分とは違うスタンスで、これか…
天から授かった命 今日は成人の日。 はなが生まれて20年。 よくぞ、ここまで育ってくれたと思う。 このブログを始めた理由が「最後の子育て」。 そんなふうに、かっこつけていたけど、 実はもう、パパの役割はほとんど終わったような気がしている。 大学生活、アルバイト、恋愛、思考や生き方も。 良い友人や信頼できる目上の人に恵まれ、この1年ほどで著しく成長した。 何も言うことはない。 今のはなを見ていると、そう思う。 強いて言うならば。 パパの願いは、ただひとつ。 天から授かった命をまっとうしてほしい。 生きていてくれれば、それでいい。 どうか、生ききってほしい。 頼りないパパだったけど、その基盤だけは…
遠い記憶の彼方 亡き妻は言うには、ちゅー(キス)は「日々の備え」だとか。 しかし、ちゅーなんてさ。 遠い記憶の彼方。 もう、やり方とか忘れてしもうたばい。 誰か教えてよ。 え、気持ち悪い? えらい、すんまへん。 2019年7月13日 最期のちゅー(2008年1月19日) キスと書かずに、ちゅーと書きましょう。朝起きたら、昨夜真夜中の0時58分に、旦那からのメールが入っていた。一文だけ、「最後はタカコさんとハグしたよ!」とあった。 ちなみに、私は、旦那が東京に旅立つ朝、お見送りのハグとちゅーをした。のろけでは、ない。普段は全くしない^^;が、遠くに出かける時は、するのだ。これは、私の中でのお約束…
涙の理由 その日、わが家には友人たちが集まり、千恵は珍しく少しだけお酒を飲んだ。 機嫌よく、バルコニーで三線を弾きながら「童神」を歌った。 日も暮れて、台所で片付けをしていると、そこに千恵がいないことに気づいた。 はなと一緒に探した。 千恵は襖の向こう側の和室で横になっていた。 「どうしたの?」 理由を聞くと、千恵は涙声で答えた。 「みんなが片付けをしてくれているのに、体がきつくてできない。普通のこと、あたり前のことができない自分が情けなくなってしまって。ごめんね」 4歳のはなにも伝わったのだろう。 小さな手で千恵の頭をなでていた。 2008年6月28日 自分のためにも生きてください(2008…
抗がん剤治療の再開 がん再発後、千恵はホルモン療法の可能性に賭けたが、治療の効果は薄かった。 2006年10月、九州がんセンターの診察室でCT検査結果の画像を見た。 両肺に星の数ほど、骨にもあちらこちらに、肝臓は最大4センチ。 これまでの画像とは明らかに違っていた。数え切れないのだ。 信じたくなかった「末期」という文字が頭に浮かび上がった。 主治医の表情は今までになく険しかった。 「もう、時間的にここが限界。このままだと、3カ月後には肝臓がほとんど腫瘍で埋まり、機能しなくなる。黄疸が出て、寝たきりの生活になってしまう。やるなら今しかない」 僕たちは「余命宣告」を受けた気分だった。 千恵は、涙を…
助けてあげられる人に 娘には「人に迷惑をかけちゃいけない」と言い聞かせて育ててきた。 妻のブログ(2008年1月16日)を読んで、人に迷惑をかけてもいい場合がある、ということに気付かされた。 自分ではできないけれど、人に助けてもらってできるのなら、それは諦めなくてもいい。 その代わり、助けを求められれば、助けてあげられる人になってほしい。 そういう人に、僕もなりたい。 遺影の前で(2022年6月22日) 私のために生きてください(2008年1月16日) 助産師の内田美智子先生から、こんな話を聞きました。 脳の病気で、半身不随になった小学生の男の子。 最初は意識不明だったのに、同級生の「がんばっ…
鍋フェチだった妻 わが家のキッチンは、鍋がやたらと多い。 千恵は自称「鍋フェチ」。 人気ブランドのバッグやアクセサリーには全く興味を示さず、誕生日に「新しい服、買ってあげようか」と尋ねても「鍋がほしい」と答える人だった。 先日、鍋の個数を数えたら15個あった。 2人家族には多すぎる。 千恵のお気に入りはフィスラーの圧力鍋(2008年4月12日) 圧力鍋で炊いた玄米(2008年4月12日) 去れ!(2008年1月8日) きれいなお姉さんに声をかけていただき、2月に再び歌うことが決まりつつあります。 またもや、他力本願ですが。 引きこもりな三十路を引っ張り出してくれる人がいる。 ありがたいことです…
夢のような時間 7年前、ドキュメンタリー映画の仕事で、女優の石田ゆり子さんにナレーションを依頼した。 朝から夜まで、録音スタジオでゆり子さんと一緒に過ごした。休憩時間には隣でサンドイッチをつまみ、コーヒーを飲んだ。夢のような時間だった。 その後、彼女の好きなタイプが「ジャージの似合う男」であることを知った。 以来、僕の正装はジャージである。 ドキュメンタリー映画「その後のはなちゃんのみそ汁 GIFT」(2016年5月19日) モニターを見ると「温厚な千恵に怒られました」と語っている笑(2016年5月19日) 防音録音ブース。ここでナレーションを読んでくれた(2016年5月19日) 今朝、目覚め…
着物に込めたメッセージ 福岡県宮若市の実家は、写真館と貸衣装屋を営んでいた。 貸衣装は30年ほど前に廃業したが、両親が孫たちのために保存状態の良い着物を残してくれていた。 昨年、成人式を1年後に控えた娘が、本番に備えて好みの振り袖を試着。 デザインが古いので、母は「はなが着てくれるだろうか」と心配していたが、娘は現代の着物とは違う色合い、風合いを気に入ってくれた。 1年前、娘が試着した振り袖(2022年1月16日) 娘と実家の母(2022年1月16日) 今年1月9日に迎える成人式。娘は昨年選んだ振り袖を着るつもりだった。 ところが、大晦日に帰省すると、ばあばが別の振り袖を用意してくれていた。 …
あけましておめでとうございます 昨年の正月、娘は実家でこう言いました。 「来年は、はながじいじとばあばに雑煮を作ってあげるね」 ばあばが作った雑煮(2023年1月1日) 忘れていたそうです(笑) 黒豆(2023年1月1日) お屠蘇(2023年1月1日) おせち(2023年1月1日) おせち(2023年1月1日) 青空とねこ(2023年1月1日) ソファとねこ(2023年1月1日) 平和ですな。 本年もどうぞよろしくお願いします。 どちらさまも、うっかりクリック。 にほんブログ村 食生活・食育ランキング いつも、ポチッと、ありがとうございます。 皆様のひと手間に感謝。励みになります! (func…
常福寺で餅つき 恒例の餅つきで2022年を締めくくりました。 汗びっしょり(2022年12月30日) 娘たちはコートを着たまま(2022年12月30日) はなちゃんの餅、完成(2022年12月30日) つきたてはおいしいね(2022年12月30日) 薪で餅米を蒸す(2022年12月30日) 年末の風物詩(2022年12月30日) 牛テールで出汁をとった贅沢なおでん(2022年12月30日) おでんを食べるはなとのりか(2022年12月30日) 食後の草スキー。ちびっこにソリの乗り方を教えてもらう(2022年12月30日) 思いつきで、3月18日から始めたブログ。 体調を崩すことなく、1日も休ま…
来春公開が目標 2年半ぶりに大分県佐伯市の後藤家を訪問した。 東京から帰省する長男の希一君を取材するためだ。 家族で食卓を囲む風景を撮影させてもらった。 実家に到着した希一君。車から降り、向かったその先は‥(2022年12月29日) 祖父母に挨拶(2022年12月29日) 映画「弁当の日」撮影のクランクアップが、後藤家の食卓だった。 2020年6月5日。 その日の日記に、僕はこう書いていた。 後藤家の食卓はすばらしかった。 じいちゃん、ばあちゃん、父さん、母さん、希一、弟2人。 みんなすばらしい。午前7時半、撮影終了。 富杵荘でシャワーを浴びながら、涙がポロポロ。 bentounohi.jp …
撮影しながら「生きる」を学ぶ きょう(12/29)は、大分県佐伯市で撮影だ。 先月から、映画「弁当の日」に登場してくれた子どもたちの今を追っかけながら、短編ドキュメンタリーを製作している。 彼らの成長には驚かされる。 不登校だった夏紅斗君は、思考と体つきが見違えるほど、たくましくなった。 「仲直り弁当」の里紅ちゃんは、道に迷いながらも高校の部活で全国大会に出場。 大学生の南村君は就職が決まり、苦手だった自炊が生活の一部に。 小学4年生になった「みそ汁」の野歩君は、自分の言葉でしっかりインタビューに応じた。 残る1人は、東京に巣立った希一君。 帰省先の佐伯市で何が起こるか。 筋書きのないドラマは…
妻を看取った病院で 14年前に妻の千恵を看取った福岡市内の病院で、人間ドックを受診した。 身内を亡くした病院での検査は縁起の良いものではない。 だが、知人がこの病院で早期の胃がんを見つけ、一命を取り留めたとの話を聞き、2016年から毎年受けるようになった。 日帰りの「基本コース」を選択した。 基本コースのメニューは、胸部エックス線撮影、胃内視鏡検査、血液検査などの13項目。 それにオプションの大腸内視鏡検査を加えた。 検査は順調に進み、最後に受けたのが、最も苦手な胃と大腸の内視鏡検査。 昨年までは複数のポリープが見つかり、除去してもらった。 良性だったが、残しておくと、がんに変異する可能性もあ…
「生の反対は何だと思う?」 15年前、助産師の内田美智子先生から、こう問われたことがある。 僕が「死ですか」と答えると、内田先生は首を横に振った。 「私は死じゃないと思う。生の反対は『生まれないこと』。生まれたものにしか『生』も『死』も存在しないのだから」 生まれてくることができない子がいる。 数時間しか生きていられない子もいる。 内田先生は助産師として、そんな場面に何度も立ち会ってきたのだ。 娘は、妻の抗がん剤治療とがん再発の間隙を縫って生まれてきた。 よくぞ、生まれてきてくれたと思う。 19歳。大学2年生。 将来に不安を抱き、迷いや悩みに押しつぶされそうなときがあるだろう。 でも、生きてい…
弁当箱に詰め込んだメッセージ 今年、娘はサンタさんへの手紙を書かなかった。 10代最後のクリスマスなのに。 hanamisosoup.com クリスマスは、贈り物の形をした愛情や思いやりを交わす日でもある。 そして、何よりも、娘の喜ぶ顔が見たい。 実は、3カ月前から娘へのプレゼントを決めていた。 今年9月に弁当箱を作るワークショップに参加した。 これまで、娘の弁当は何百回と作ってきたが、弁当箱を作ったの初めてだった。 娘に贈った手作りの弁当箱(2022年12月25日) 木に吸い込ませた乾性油が硬化するまで3カ月かかる(2022年12月25日) 木工房「テノ森」(福岡県福津市)の細井護さんの指導…
クリぼっちの会 以前の僕は人に迷惑をかけない、自立こそが大切と考えていました。 でも、死別を経験し、人は人と支え合っていないと生きていけない、完全に自立した人間などいないということに気づきました。 今では娘に「一生涯付き合える友達を見つけなさい」と言い聞かせています。 娘に自慢できることはあまりないけど、ひとりぼっちのクリスマスイブに集まってくれる仲間の存在がパパの自慢。 セルフタイマーで撮影 左からナナちゃん、福嶋会長、自分、陽一、靖史、あみちゃん、プーさん(2022年12月24日) 前回の話の続きです。 hanamisosoup.com 和牛すじ肉で出汁をとったおでん(2022年12月24…
どう食べるか 「何を食べるか」に注目が集まりがちだが、「どう食べるか」も大切。 本日紹介する妻の過去ブログは、そんな話。 娘のおやつは炒り玄米と大豆と昆布。硬い食べ物ばかり。よく噛む癖がついた(2007年11月25日) 玄米はよく噛んで〜♪(2007年12月26日) クロワッサンに高取保育園の玄米食の話が掲載されました。 その後、全国各地から、続々と問い合わせや相談の手紙や電話が相次いでいるようです。 そんな中、昨日、西園長から、呼び止められました。 「お母さん、栃木の方から葉書が来ました。読んでみて~」と。 読んでみると、その葉書の主である女性は、2人の幼児のお母さん。 内容は、「2人の子ど…
菌ちゃんふぁーむ 1年中スーパーに並んでいる西洋人参。 旬が年に2回ある。 「春夏人参」が4月から7月。 「冬人参」は10月から12月。 特に冬人参は甘みが強く、栄養価が高い。 おすすめしたいのは、吉田俊道さん(菌ちゃんふぁーむ)の無農薬ニンジン。 うまいニンジンは、ジュースにしたらよく分かる。 「なんじゃこりゃ。砂糖が入ってんじゃないか」と思うほど甘い。 kinchan.ocnk.net ジュースにするなら、今が旬ですよ! ぜひ、お試しください。 「菌ちゃんふぁーむ」のニンジンを手に喜ぶ娘(2007年12月20日) わが家の朝ごはん。玄米、みそ汁、納豆、青菜、ニンジンジュース(2007年12…
「台所に立つ子どもたち」のその後 忙しくなってきた。 映画「弁当の日」自主上映会が全国で増えてきたのだ。 上映に併せて、アフタートークを依頼されることも多い。 先月は北陸、今月は沖縄、来月は大分で上映後のトークイベント。 今、大分上映会(2023年1月28日、J:COMホルトホール大分)に向けて、併映を予定しているショートムービー「『台所に立つ子どもたち』のその後」(仮題)を撮影中。 当日までに撮影・編集が間に合うか。 多少の心配はあるが、新聞社に勤めていた頃に比べれば、締め切りは、ゆるゆるだ。 まあ、なんとかなるやろ。 以下、映画「弁当の日」を紹介した動画(2021年に収録)。 こちらも、ゆ…
ツリーがないクリスマス わが家でクリスマスツリーを飾らなくなって何年になるだろうか。 千恵の遺品を整理した際、実家の近くの幼稚園に引き取ってもらった。 あれば保管場所に困るけど、なければ寂しい。 さて。 ポチッとするか、どうしようか。 困ったもんだ。 千恵(前列右)の実家で(2004年12月24日) 悲しみを薄めるために盛り上げた。 2人だけのクリスマスイブ(2008年12月24日) やさしい友人に支えられ。 サンタの正体は松尾陽一(2009年12月24日) 有名作家からのプレゼントも。 小川糸さんから贈られた絵本を読む娘(2010年12月20日) 毎日がスペシャル。 はなのスケジュール帳(2…
「生きる」が愉快に 悲しみを抱えたまま、生きていくにはどうすればいいのか。 喪失の後に訪れる悲嘆から抜け出そうと。 14年前、妻が遺してくれた音楽を始めた。 抜け出すことはできなかったけど。 生きることが、愉快になった。 ギター、三線、ドラム、サックス。 今は、ウクレレに夢中。 ウクレレは持ち運びが楽。手軽に、どこでも演奏できる(2022年12月19日) 児玉康成さん(左)の指導で「きよしこの夜」と「Crazy G」を練習中(2022年12月19日) firemanの富武健一さん(左)も参加(2022年年12月19日) ビールとバーボンを飲みながら、後半は児玉さんのライブ。 楽しすぎる(202…
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