横道誠『なぜスナフキンは旅をし、ミイは他人を気にせず、ムーミン一家は水辺を好むのか』

横道誠『なぜスナフキンは旅をし、ミイは他人を気にせず、ムーミン一家は水辺を好むのか』

たったひとつの正解、というものは用意されておらず、読者の数だけの答えがある。というのが、時代を越えて読み継がれる名作、と称されるような作品の多くに当てはまる要素のひとつだと私は思う。 「これだ!」と正解を突き付けてくるような作品も私は好きだけれども、実際のところこれってどういうことなんですかねーという読者の問いに「さあね」とはぐらかすような作品が、私は大好きだ。 すでに時代を越えて読み継がれているムーミン小説はこの「さあね系小説」に分類されると思う。 大切なことを描かずに描き、重要なことをさらりと語る。想像力を働かせるために用意されているような余白が、ムーミン小説には溢れている。 思い込みの激…