Pithecanthropus Erectus

夜道 非通知 グラフィティ

身辺整理をしていたら、昔使用していた携帯電話が出てきて、作業の手、思わず止まった。うっわーなつかしー。auのG9という機種で、ウェブ検索で調べたら2009年の4月に発売されたとある。 25年前！ 四半世紀も昔の話か！ と驚愕したがそれは私の計算ミスで、落ち着いて引き算をしてみたら15年前だった。15年前。それでもじゅうぶん遠い過去。懐かしい。 そういえば一時期、この電話によく非通知電話がかかってきていた。 非通知電話なんてものはいつの時代だってよくかかってくるものだとは思うけれども、この時期にかかってきていた電話は、妙な法則性があった。妙というか、単純なルール。気がつくのにそう時間はかからなか…

2024/10/26 22:47

きわめて私的な夏への扉

なんか猫専用の出入口みたいな、玄関の、人が使うドアの脇あたりに。猫専用の、小さなドアがあり、猫はそこを自由に行き来できる。 そして、猫はそこをくぐる時いつも、このドアの向こうはあの夏に繋がってると思っているんだって、たしか大昔に読んだロバート・A・ハインラインの『夏への扉』の冒頭ではそのようなイメージが描かれていたはずで、その鮮やかさに私は大いにときめいたものだが、違う小説だったかもしれない。 最後は子供と結婚するみたいな、グロテスクなエンディングを迎えていたような覚えがあるが、これも、違う小説だったかもしれない。 私はもはや私の記憶力を信用することができない。なにもかもを忘れ去ってしまいそう…

2024/10/19 23:19

Faded picture

マウスの真ん中についているタイヤみたいなやつ、あれをくるくると前後させると、それに連動してモニター上の私の写真が拡大・縮小する。息子はその操作を繰り返し笑いながら、「パパ、十年前は健康的に太ってたんだね」などと言う。 歳月人を待たずだなー、十年という時間は、雨垂れが石を穿つように、なにかしらの変化をもたらすものである、形而上的にも、形而下的にも。太ったり、痩せたりね。むしろ、千変万化の世の中にあって、十年たっても変わらないものなんてあるのだろうか。 モニター上に1200万画素で表示される自分の写真を見ながら、私は、この写真には時間という情報が欠けていると思った。この写真は、撮影されてから十年後…

2024/10/12 23:26