『巴里の女性』
この残酷な物語の主人公は誰なんだろう、と私は思う。 貧しい絵描きの青年(ジャン)だろうか、それとも常に完ぺきな社交的微笑を浮かべている金持ちの男(ピエール)だろうか。あるいは、その二人の間に君臨する運命の女=マリー・サンクレールなのだろうか。 私は最初、貧しきジャンが主人公なのだろうと思っていた。これはジャンの物語なのだ、と、彼に肩入れして映画を観ていた。 金持ちピエールの鼻持ちならない感じ、嫌だなー苦手だなーと思ったり、マリーのとある仕打ちに「いやそれはやっちゃ駄目でしょう、それは絶対やっちゃ駄目なやつでしょう」と憤慨したりしながら(メモの件です)。 しかし、エンディングを迎えてみると、なん…
2023/07/31 21:54