トーベ・ヤンソン『ムーミン谷の仲間たち』山室静訳、翻訳編集:畑中麻紀
ふと、自分の青ざめた鼻が鏡のかけらにうつっているのを、フィリフヨンカはちらと見たのです。そして思わず窓のところまで走っていくと、外へ飛び出しました。 (p.78「この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ」より) ムーミン小説の中で唯一の短篇集が本作である。 九つの作品が収められている。 これまでに五作の長編が書かれている。『ムーミン谷の彗星』、『たのしいムーミン一家』、『ムーミンパパの思い出』、『ムーミン谷の夏まつり』、『ムーミン谷の冬』。 これらの作品では、多くの場合、序盤で登場人物たちがのっぴきならない状況に陥る。 でもなんか意外に平然としているようにも見えたり。むしろ破滅を楽しみにしている…
2023/06/16 22:25