消費をやめるための整理
なかでもボードリヤールが注目するのは労働である。現在では労働までもが消費の対象になっている。どういうことかと言うと、労働はいまや、忙しさという価値を消費する行為になっているというのだ。「一日に一五時間も働くことが自分の義務だと考えている社長や重役たちのわざとらしい「忙しさ」がいい例である」。 労働が消費されるようになると、今度は労働外の時間、つまり余暇も消費の対象となる。自分が余暇においてまっとうな意味や観念を消費していることを示さなければならないのである。「自分は生産的労働に拘束されてなんかないぞ。」「余暇を自由にできるのだぞ」。そういった証拠を提示することを誰もが催促されている。 余暇はい…
2024/02/25 09:16