おれの思い出は、都合よく書き換えられている可能性がある。 全て過去の映像として残されていない。 1秒前の思い出は、事実ではなく、不確かな記憶の一部でしかないんだ。 兼近大樹『むき出し』 あとに残されているのはささやかな記憶だけだ。いや、記憶だってそれほどあてにはなるものではない。僕らの身にそのとき本当に何が起こったのか、そんなことが誰に明確に断言できよう? 村上春樹『石のまくらに』 私たちは物事をありのままには捉えられない。 私たちが物事を捉える時は必ず自分のフィルターを通して捉える。 だから同じものを見ても、同じ時間や同じ場所を共有しているように見えても、実際に各人が感じていることは個々人で…