第八十四話④
キム・チョルの視点から追った、キス事件の翌日と翌々日の顛末はこうであった。[こんな感じで各々の夜を過ごし][そしてまたここへ]こうして場面は元に戻る。チョルの胸中とミエの胸中を読者が知ったら、物語は再スタートである。現在の二人の関係性はどうであれ、今のミエは少し嬉しい。自分の誕生日のことを、チョルが知ってくれていると思っているからだ。しかしそんなワクワクとソワソワは、長くは続かなかった。 [しばらくして——] [ファン・ミエはモヤモヤしっぱなし]痺れを切らしたミエは、もう一度ユンヒに確認する。「ねぇ、確実にヤツのカバンにメモ入れたんだよね?」「うん、確実」 「昨日から何にもないけど?」 チョルはいつも通りか、それかそれ以上にそっけない。ずっとそっぽを向いている。 これが隣の席の女子の誕生日祝いを考えてい...第八十四話④
2023/04/29 23:00