巨石群から吹く風/ロワール川ワイン散歩#39
コンディウィンクム(Condevincum)と呼ばれたナントは、聖シミリアンが布教活動を始めたときには、すでに古代都市として重厚な歴史を刻んでいた。 東から尾根伝いにやってきた新石器人が、この地で巨石文明(Mégalithisme)を紡ぎ、独自の文化圏を七千年ほど前から築いていたからだ。若きシミリアンが歩いた石畳の、さらにその下には、六千年以上もの記憶の層が折り重なって眠っていた。 それを実感したのは、たぶんこの旅の前年、レンヌを訪れた際に、ブルターニュ南東部のカルナックを歩いた記憶が身体の奥底に残っていたからだと思う。あのとき、僕は初めて巨石文明というものを、自分の足で歩き、空気を吸
2025/05/03 17:30