[Ⅺ 346] ヨブ記巡禮 (15) / 頑迷固陋の友
鑑三翁の著書に『求安録』(初版明治26(1893)年、復刻岩波文庫版昭和14〈1939〉年)があります。鑑三翁は明治24年1月にいわゆる「第一高等中学校不敬事件」を引き起こしその直後4月には結婚して二年もたっていない妻かずを病気と心痛の中で亡くしています。この著書は鑑三翁も病中にあり失職し生活も困窮しているさ中に執筆されたもので、出版によって生活費捻出の必要もあったのでしょう。鑑三翁32歳の時でした。この前後の事に関しては私のこの連載でも何度か触れていますが、この『求安録』は鑑三翁の悲嘆心痛の深さが極まった時の執筆でもあり、私は「ヨブ記」を読むたびにこの著書のある箇所を思い起こし、鑑三翁とヨブが完全に共鳴共振している事実に思い至り感銘を受けます。該当する『求安録』の部分を現代語訳しながら読み進めてみます。...[Ⅺ346]ヨブ記巡禮 (15)/頑迷固陋の友
2025/05/29 20:46