[Ⅺ 338] ヨブ記巡禮 (7) / ヨブの妻は愚かなのか
ヨブの妻に関しては鑑三翁も強い関心を寄せています。それはヨブ及び「ヨブ記」著者への批難として聞くこともできます。《しかも遂に最大の災がヨブに臨むに至った。そは彼の妻の離反である。‥産を悉く失うも宜(よろし)い。子を悉く失うもあるいは堪え得よう。悪疾に襲わるるもまた忍び得よう。しかし寂しき人生の旅路における唯一の伴侶(とも)たる妻が自ら信仰を棄てしのみならず、進んで信仰放棄を勧むるに会して、彼の苦痛は絶頂に達したのである。我らは深き同情を彼に表さねばならぬ。しかし一方またヨブの妻を以て悪き女となすべきではない。彼女は普通の婦人の堪えがたきを堪え来ったのである。財産を失い地位を失い子女を悉く奪われて、彼女はなお夫と信仰を共にして来た。最後に夫に不治の悪疾が臨むに至って、遂に信仰を棄つるに至ったのである。されば...[Ⅺ338]ヨブ記巡禮 (7)/ヨブの妻は愚かなのか
2025/03/29 13:07