母が来た?!
部屋のふとんの上でしばし休んでいると、玄関のドアのひらく音がして、歌声がきこえてきた。 「は~るばる来たぜ[E:#x266A]」 すかさずぼくは、大きな声で、 「は~こだて~[E:#x266A]」 はて、だれの歌だったか。北島三郎だ、と思い出した。 そうして部屋にいるぼくを、泉ピン子に似た顔がのぞく。 「元気でよろしい」 母(七十代)がようすを見に来たのだ。 ぼくは長町南のアパートで介護サービスを利用しながら暮らしている。体が思うように動かせないのは、脳性まひという障害のためだ。 ヘルパーさんの出入りが二、三時間おきにある。母がたまに来るのは、ぼくがひとりでいる時間帯だ。車だと三十分ほどの幸町…
2017/11/20 17:53