ミクロネシアの記憶
海の上を走るボートの舳先に立って詠む。独りよがりな愛を詠む。ミクロネシアの広がりが美しい。 海上の路をゆきながら/一握の愛を受けとる 世界の誰からなのか皆目見当がつかない/そんな半端な背中をボートが轢いて/走り去って グッドバイ ふり向いて、操縦席を横切り、一番後ろでノートにまた詩を書きつける。書き殴ったそれを持ってふたたび舳先まで歩く。西脇順三郎を意識しながら詠み直す。 大気の青のただなか/ 空中戦の機体の銀にゆがみ映る/敵であるあなたのエンジン/まざまざと/行為を受ける機体の銀 ところで、私は詩人の西脇順三郎に以前会った記憶を持っていた。ミクロネシアの島でちょうど
2023/07/30 18:44