前々回はネパールの、そして前回は古代の丸木舟について見たので、今回は現代の丸木舟を見てみよう。とはいっても、まわりには現役の丸木舟が見られないため、展示に限ったものなのですが。 ● アイヌの丸木舟と川漁 / 北海道博物館 2015年撮影(2015年に改称された) この年(2015)から博物館の名称も旧北海道開拓記念館より北海道博物館と改称され。アイヌに関する展示が一新し、アイヌへの教育普及の上でもより親しみやす...
古びたモノが好きです。日常の捕って付けたようなモノ・コトの紹介です。
どこか昭和を感じさせる生活道具や民具が好きです。”雑閑”では日々の雑記・展覧会・読書・映画・フリマ・骨董市などでの感想を、”モノがたり”では部屋のガラクタを、”一枚の写真”では昔の旅写真などを載せています。つたないモノコトの紹介ですがお愉しみください!
さきに日本の“カルイ”という背負籠を紹介しましたが。こちらはかってのラオスと中国・雲南省の旅で見かけたカルイとよく似た編みの背負籠。側面のジグザグに見える六ッ目くずしの編みのパターンはそれなりに似てはいるけれど、いずれの背負籠の底面も地べたにしっかり置けるように四辺形をしており、カルイのように一文字の底面ではない点が大きくちがっている。またそれぞれの民族による背負かたの好みなのだろうか。肩紐でもって...
前回は日向地方独特の扁平な背負籠“カルイ”の拡大部分を紹介しましたが。カルイのつくり方が載っていましたので今回はその紹介まで。 白黒写真の廣島一夫による製作工程の図版はかたりべ文庫 職人の手仕事『竹細工 廣島一夫』2009年 より。 廣島一夫は宮崎県日之影町の名人といわれた竹細工職人。これまで近江八幡、白山の展示で2度にわたり、廣島一夫が手がけた端正な竹細工の数々を見る機会を得ました。こちらはそのときのもよう...
● 背負籠(カルイ) 512×326×高さ413ミリ 真竹、稲藁 宮崎県西臼杵郡日之影町 一度目にしたらわすれられないとても扁平で綾なすジグザグな編み目が美しい、カルイとよばれる背負籠。九州のこの地域にみられる、日本でも独特のかたちをしたカゴである。「独特のくびれがユニークな背負い籠。側面と底部は大きめの竹で内と外から補強されている。農家が収穫物を入れて運んだほか、農作業時の弁当入れ、買物籠とし...
『民具のデザイン図鑑』展出品の水嚢(すいのう)は本書には一切記載がない資料で、再度見学した際に、その部分に注視してみた。先にも一度紹介してみたけれど、 ↓http://utinogarakuta.blog.fc2.com/blog-entry-1170.htmlあらためて部分を拡大してみたらこんなかんじです。 ● スクイ 長野県上水内郡戸隠村 木、竹 480×200×50ミリ1本の木の枝をU字型に折り合わせた柄をもつ水嚢。竹ヒゴは皮竹面を外側に編む。網面...
● トリノス(背負籠) 木、稲藁、蔓 W632×D510×H695ミリ 広島県山県郡戸河内村 (現・安芸太田町)『民具のデザイン図鑑』展に出品されていた、このU字型の木の枝を枠に組んで仕上げた一風変わった背負籠にはこんな解説がつく。「中国山地中部では、稲藁やつるを木の枝に巻き付けた背負い籠が使われている。当資料は『トリノス』(鳥の巣)の名の通り、すき間をあけた編み目が魅力で、藁の背中当てとの組み合わせは竹籠にない...
「民具のデザイン図鑑」展 本日で前半展示期間終了 昨日観に行ってみたらこんなチラシを発見すでに定員オーバーで参加できずで残念無念とほほ・・・・・・・ ● ワークショップのちらし ● ちらしのデザインは、 この熊手に触発されたのだろうなぁ ● 酉の市もそろそろ終い ● 最後の〆で開運にっこにこ!...
図書館の新着本にあった食品本。ただのチーズ本と思いきや、ええっ、よく見たらなんと“ダニ”チーズである。ダニのイメージは、アレルギー性のハウスダストなどを引き起こす要因となる不快なもので、さらにもぞもぞと蟲がわいて蠢くその様にうず痒さをおぼえるような嫌なものばかり・・・・・・・・。ところがダニを活用し、美味しくしあげるチーズが、ドイツとフランスにあるらしい。動物分類学・ダニ学・昆虫を含む節足動物学の広範囲な...
このところ写真に撮られた蓑・背中当をみています。今回は『宮本常一と写真』コロナ・ブックス 2014年より宮本常一による「東北各地へのオシラサマ調査旅行」昭和15年(1940)の戦中の貴重なスクラップブックよりピックアップしてみました。小さな一枚ですがよくみると、時代的にも現代のような新素材の着衣が浸透する以前のワラ細工の民具が労働着として活躍しています。 ● スクラップブック 宮本常一『宮本常一と写真』コロナ・ブ...
さきに写真家・濱谷浩が1956年に撮った新潟・十日町の雪蓑<ミノボシ>を紹介しましたが。 ↓http://utinogarakuta.blog.fc2.com/blog-entry-1174.htmlその後いろいろな本をみていくと、おなじ時期に岡本太郎が撮った秋田の写真のなかに、よく似たものがありました。芸術家としての堅固なイメージの太郎ですが、戦前はフランスで民族学(文化人類学)を学んでいます。そして1957年よりの、芸術新潮「芸術風土記」の連載では...
● 灯油ストーブ 径265×高さ520ミリ 「VALOR №207」小さなストーブに、本年も薬罐をのせてスタンバイ! ↓http://utinogarakuta.blog.fc2.com/blog-entry-595.html ● 灯油ストーブ「VALOR №207」 小さな1インチ芯は、 この季節ならではのすぐれもの。 青いブルーフレイムの炎です ● 灯油ストーブ「VALOR №207」 内部タンクは着脱式 ● 灯油ストーブ「VALOR №207」 このカラーリングと小ささが気に入ってます。...
酉の市の季節です。残すところは二酉:11月16日(水)三酉:11月28日(月)コロナ以来人混みを避けて、とんとご無沙汰だったけど。活気とご利益にあやかりにいさしぶりに出かけてみようかな! ● 『民具のデザイン図鑑』より 現実との交わり 福箕・熊手 解説 「日常生活で用いる道具の中には、ものをすくったり、集めたりするものがたくさんあります。そうした道具は現実の液体や穀物などを入れるだけではありません。目に見えない...
● 木地玩具・嬰児籠 『民具のデザイン図鑑』より日本語の“かわいい” が、世界のことばとなって歩みだした現在。今回の図鑑の解説にも、その造形のもつ“かわいさ”について若干触れている。そんな表現が記された項目が、木地玩具と嬰児籠である。木材をロクロ成形でもって仕上げた玩具“木地玩具(きじがんぐ)”には、独楽や車、単純なからくりでもって素朴に遊ぶもの、幼児などちいさな子どもの姿を写したものがおおい。そして図...
前回述べた新潟県十日町の雪蓑<ミノボシ、クラノカブリモノ>は、フードを被るという点では、笠と蓑を兼ね合わせた被りものといえる。被り物のなかには頭に被る以外にも、背中をすっぽりと覆うように被るものもみられる。ネパールや台湾のこれらの民具は、労働の際に背に着ける雨除けも兼ねた日よけ蓑の類ながら、カゴのようにかちりと編んでいるから、むしろ“背笠”とよべるものだろうか。柔軟な草編みの蓑よりは、このように笠状...
● おなじかたちの雪蓑が!久しぶりに昭和の子供を撮った写真集をみていたら ↓★162 『写真家が捉えた 昭和のこども』先日観た『民具のデザイン図鑑』展にあった、№002 新潟・十日町の蓑蓑帽子<クラノカブリモノ=蔵の被り物>とまるでおなじかたちの雪蓑が写っていた。濱谷浩 撮影 新潟県・十日町猿蔵 昭和31年(1956) 「小正月の旧暦1月14日の夜、新しいミノボシと雪沓で、いそいそとホンヤラ洞(かまくら)に向かう」図鑑で...
白樺の並木が身近にあった子どもの頃。祖父の家の五右衛門風呂の焚き付けには白樺の皮が混じってみられ、紙のように薄く皮を剥いでは遊んでいた。 ● 『カバノキの文化誌』より薄く剥がした樹皮を、古くより紙代わりに使用した。『カバノキの文化誌』 アンナ・ルウィントン著 原書房 2022年 を読んでいて薄く剥いだカバノキの樹皮を、古来より紙がわりに用いたことが知れた。 ● 『カバノキの文化誌』よりアイスマン「エッツ...
『民具のデザイン図鑑』と、その展示をみていて、やはり蓑などの着衣の民具は、実際に使われている写真が一枚添えられてさえいれば身に着けた様子もすんなりわかるのに・・・と思ってしまった。ということでいつもの合わせ癖今回展示されていた4点の蓑・背中当て(図版)とそれに該当する使用例の写真(モノクロ)を、『忘れえぬ戦後の日本』薗部澄写真 神崎宣武解説 ぎょうせい 1988年より探してみました。ひさしぶりに開いた写真集昭...
● 箕6種 本日11月3日は、語呂合わせの響きよく「いい箕の日」。5年前には東京文化財研究所にて、「箕サミット」なるシンポジウムが開催され、箕研究会が発足した。毎月3日は“箕の日”にしようというYさんの提唱のもと、これまで簡易ながらもいくどか箕にふれてきた。『民具のデザイン図鑑』を開くと、こんな6種類の箕が紹介されていた。皮箕、藤箕、竹箕、ほかにも木質のイタヤカエデ、マタタビを主素材とする箕がならんでいる...
先日観た美大の『民具のデザイン図鑑』展の2会場の導入口にはこんな水嚢(すいのう)が並んでいた。「水嚢とは:柄のついた笊(ザル)。手付き笊、水切り笊、麺揚げ笊、揚げ水嚢などと呼ばれ、竹や木を曲げた枠と柄に、竹籠や金網装着して製作します。」の一文はあるものの図録もキャプションも、資料データーや写真の記載が一切ないので、これはどこのものかとしかたなく民俗資料のデーターベースにあたってみた。水嚢は、笊に柄が...
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前々回はネパールの、そして前回は古代の丸木舟について見たので、今回は現代の丸木舟を見てみよう。とはいっても、まわりには現役の丸木舟が見られないため、展示に限ったものなのですが。 ● アイヌの丸木舟と川漁 / 北海道博物館 2015年撮影(2015年に改称された) この年(2015)から博物館の名称も旧北海道開拓記念館より北海道博物館と改称され。アイヌに関する展示が一新し、アイヌへの教育普及の上でもより親しみやす...
これまで幾つかの縄文講座を聴講後、土器などに見るいかにも縄文然とした造形とはまた別に、一見地味に写る木製品の遺物についても、それがどのように加工され使われてきたのであろうかと想像を巡らせ、次第に興味を持つようになってきた。 となりまち東村山ふるさと歴史館のロビーには、下宅部遺跡出土の縄文時代の未製品の丸木舟がむき出しのままどーんと置かれており、当初はその大きさに圧倒されたものの、次第に慣れっこに...
● 丸木舟 ネパール、ナラヤンガート 1989年8月 撮影 丸木舟と裸ん坊の子どもたちが戯れた、そんな一枚があったなと探してみる。残念ながら見つけたのは、試しプリントの焼き縞が残った欠片のみ。逆光で子どもの表情が潰れており、川のスケール感もまるでとれていないけれど。それでも川面に舟を運び出す、あの時の子どもたちがはしゃぐ姿が活き活きと甦る。 ● 丸木舟の渡し ネパール、ラニガート 1989年8月 撮影 これま...
“読むを読む”と二重動詞のタイトルがつくこの本っていったいなんだろう?ということで元本である『土偶を読む』のいささかセンセーショナルな副題「130年間解かれなかった縄文神話の謎」をも踏まえ、『土偶を読むを読む』とを互読してみた。 まるで知らなかったけれど、『土偶を読む』は人類学者の竹倉史人が箸した、名のある学芸賞も受賞し、各界の知識人にも認められた一大ベストセラー本であった。これまで考古学者が土偶を考...
● 新宿区立「林芙美子記念館」 / 東京都新宿区中井 この建物は『放浪記』『浮雲』などの代表作で知られる作家・林芙美子が昭和16年(1941)8月から昭和26年(1951)6月28日にその生涯を閉じるまでに住んでいた家である。大正11年(1922)に上京して以来、多くの苦労をしてきた芙美子は、昭和5年(1930)に落合のこの地に移り住み、昭和14年(1939)12月にはこの地を購入して、新居の建設を始めた。 新居建設当時、建坪制限があったため、...
「世界の言葉でこんにちは!」博物館の懐かしもの展示に、日本万国博EXPO`70のチケットなどが並んでいた。なかでも企業パビリオンのリーフレットに、「明日の生活環境への試み」として、当時流行っていたSF映画にみるようなスペースデザインを取り込んだ、暮らしのシステムユニットが目を惹いた。日本の技術の粋を賭けた夢ある未来、全自動洗濯機よろしく、健康と美容に効果をあげる未来の浴槽「ウルトラ・ソニック・バス」なんていう製...
先日観た、プラハ在住の絵本作家『出久根育展』<武蔵野市立吉祥寺美術館> では、副題の「チェコからの風 静寂のあと、光のあさ」 とあるとおり、画面を通じて未踏の地チェコの物語や風物に触れ、はじめてながらもどこか優しく懐かしく、とてもあたたかい気持ちとなった。 エントランス・ロビー部分は写真撮影可能で、以前読んだ作家のエッセイ『 チェコの十二ヵ月 -おとぎの国に暮らす- 』の原画が展示されていた。原画の細部...
● 『葛と日本人』 有岡利幸 八坂書房、2022年 下:「大和国葛の粉製図」 本書より 酒井抱一の「夏秋草図屏風」の表紙が目を惹いたこの本には、よくみると秋草のなかに紫色の花をつけたクズが美しく描かれている。 本書では、クズの植物誌、古典文学や詩に詠まれた葛、葛の民俗、葛布、はたまた異常な速度で繁茂して現代の生活を脅かすクズ害についてなどと、あらゆる側面から葛と日本人の関わりについて紹介し考察している...
● 『そば猪口の文様 絵解き辞典』より 図書館の新着本にあったのが『そば猪口の文様 絵解き辞典』。そういえばうちにもあるなと、食器棚より出してみる。 ● うちの「そば猪口」 家のそば猪口は、簡素な模様のシンプルなタイプばかりで。そのうち無地のものを2点含み、実はこれが一等気に入っている。無地ゆえにコップのような器形の美しさが際だち、清酒を入れて光にかざすと微妙に磁肌に透けて見える光景がたのもしい。本書...
先日観た清瀬市郷土博物館の民具展示では、布裂(ぬのきれ)がおもしろかった。いまのくらしではほとんど死語となり、どこかしら汚ならしくすら思えてしまう“ボロ(襤褸)”ながら。こうしてガラスケースに展示され、視点を変えてしげしげと一枚一枚を観察すると、一片の裂のなかに、さまざまな要素が凝縮されて見えてきてとても興味深かった。ボロの展示では、かって浅草にあった「アミューズ ミュージアム」の展示が一風変わっていて印...
数値にレバーを合わせ、ハンドルを回すと「ガラガラガラチン!」と鳴る機械式計算器は、地域の博物館の「むかしの道具」コーナーなどで、ときどきお目にかかる道具である。いまではそのアナログ的で一風変わったかたちが、子どもたちの目を惹く人気のアイテムとなっている。 機械式計算器での計算は、ソロバンでの珠算のように特別な習熟は必要とせず、誰しもが直感的な感覚でもって基本操作さえ行えば、難なく正確に答えを導くこと...
● テンバコ 675×405×高さ80ミリ 何故か家にあるのが、「地質學教室」の焼き印が押されたこんな古風なテンバコ。 90年代後期に東大・本郷キャンパスにて開催された「ヴンダーカンマー・驚異の部屋」展では、東大の所蔵する膨大な学術資料・標本を高名な海外デザイナーが参入し、「古きに新しさを見る」とでもいうのだろうか、古風な物品が現代風にお洒落にアレンジされた展示構成で、当時はその演出がとても斬新で魅力的...
となり町の図書館への道すがら、葬儀店のウィンドウにずらりと並んだ骨壺見本が気になっている。いつかしっかり見比べてみたいと思いつつ今回も見送ってしまった。普段は気にもとめない“葬い”もの、図書館にこんな本があり読んでみる。 ● 『葬いとカメラ』 金セッピョル、地主麻衣子 編 左右社 2021年 文化人類学・宗教学・社会学の研究者、映像アーチスト・彫刻家などが集い、“葬い”にちなんだ映像作品を視聴しての対談集...
家で使っているのが、こんな箒(幅180×230ミリ)と塵取(幅225×350ミリ)です。とあれ本来はそれぞれ別ものとして作られた道具です。小さな手箒はゴヨウマツの葉を束ねたヴェトナムのもの。韓国の道具にも、ゴヨウマツの葉を円錐形に束ねた刷毛のようなものを見たことがありますが。こちらはヴェトナムの木版画「ドンホー版画」の刷りに用いられる撫で刷毛で、いわばバレンのように使うもの。2分れ3カ所を結び竹箆で押さえ平らにさせた末...
台湾の歴史的建造物にみられる和製マジョリカタイルを考察した、台湾人著者によるこんな一冊をみつけた。副題には「台灣老花磚的建築記憶」とある。 ● 『台湾 和製マジョリカタイルの記憶』 康鍩錫 TWO VIRGINS 2023当初は英国のヴィクトリアン・タイルの模倣品として製造された日本のビクトリアン風彩色タイルは、通称和製マジョリカタイルともよばれ。後に海外への輸出品へと販路を拡大し、それぞれの地域への市場に向けてさま...
● バングラデシュのリキシャ 『うるおうアジア』展<中村研一記念 小金井市立 はけの森美術館>にて 日本発祥の人力車とリヤカーの長所を、自転車にうまく纏めた“自転車型力車”は、東南アジアや南アジアなどの地で、いまでも庶民の足として大活躍している。先月観た福岡アジア美術館収蔵作品の巡回展『うるおうアジア』展<中村研一記念 小金井市立 はけの森美術館>でも、数ある作品のなかで一番目を魅かれたのが、このバング...
この新春はひさしぶりに昭島の拝島大師の“だるま市”へ行ってみました。コロナ禍も幾分落ち着き、初詣の凄い人混みにすっかり押され、今回は系統立てた「だるま分析」はいまひとつ振るいませんでした。近年ではアマビエをアレンジしただるまも登場したとのことですが、そちらは確認できず終い、それでもいくらか新種の変わりだるまがありました。こちらは前回のときの“だるま考察”の記録です。 ↓http://utinogarakuta.blog.fc2...
● 『鍵盤ハーモニカの本』 南川朱生(ピアノニマス) 春秋社 2023年 自分もこの写真の時代は小学生だったはず。 ** 鍵盤ハーモニカのかわりにトンボ・ハーモニカを添えて** モラトリアムな時代のあの日、不思議ちゃん女子がくれたカセットには“曲:ピアニカ前田”と書かれていた。小学生の音楽の時間、黒い唄口や蛇腹のホースをくわえ、演奏の度に内部で結露した唾液を吐きだすピアニカが、どこか不潔で嫌だった。「トホホ、...
前回は鷹匠の道具について触れてみたけれど、鷹狩りはどのように行われるのかについては、まったくもって知識ゼロの状態。そんな理由で図書館にあった書籍や動画にあたってみた。日本の鷹狩りの伝統は徳川幕府の下、各大名が庇護し研磋琢磨を重ね粋を究めたものの。幕府解体後それらのシステムが一旦崩壊し、明治を迎えあらたに宮内省が鷹狩りを管理するようになる。 そんな天皇の鷹匠をされていた諏訪流の鷹師の方の伝記本や、...
上京した頃の最寄り駅は、江戸幕府の鷹場(たかば)の名残りをとどめる「鷹の台」という場所だった。東京の西域多摩地区にはかって幕府の広大な鷹場が拡がっており、近在の博物館の近世の歴史展示にも鷹場に関するコーナーが設けられている。とはいえ鷹狩りに関わる鷹匠(たかじょう)が用いる道具についてはこれまで一度も見たことがなかった。この度 瑞穂町郷土資料館にて『オオタカ -鷹とその文化- 』展があり、江戸時代には尾...
● アイロン 120×55×55ミリ先日 友人の引越の手伝いで冷蔵庫を塗り替えた。部屋の中でどこか浮いていた白もの家電が、ぐっと渋くマットなブルーグレイに甦った。プラスチックの素材感 カラーリングなど、いまの家電は機能は優れていても、触手をくすぐられるものが余りない。それに反して製品の質は劣るも、ひところの昭和家電のデザインに好きなものがおおい。 ↓http://utinogarakuta.blog.fc2.com/blog-entry-503.htmlこ...
巷に溢れる便利グッズって、実のところどれほど便利なのだろう・・・・ ● 木柄にボルトとナットで仕上げたミャンマーの栓抜き 25×175×30ミリミャンマー土産で頂いた栓抜きは、モアイのような木彫りの把手になんとボルトとナットで仕上げている。なんともふざけた風情で自分ではまず選ばないような栓抜きながら、このかたちが意外と便利と知る。梃子の力点と作用点の兼ね合いから、王冠を抜いてもまったく疵がつかないのである。...
● 『戯れる江戸の文字絵』 ヤン ショオジェ著 マール社 2022年「へのへのもへじ」のように、画面のなかにその人物をしめす仮名文字がたくみに組み込まれた図絵に見入っている。原本は十返舎一九『文字の知画(もんじのちえ)』登場人物は、江戸の町で働く商人や町人を中心に、花街の人々や旅人、武士、また町中をあてもなく彷徨う者など、老若男女総勢41人に犬1匹・・・・・・・当時の庶民にとっては当たり前に読めた、ただの平仮名の...
● 『アジア「窓」紀行』 田熊隆樹 著・写真 草思社 2022年図書館の新着本にあった一冊は窓の写真のオンパレード、その名も『アジア「窓」紀行』副題の -上海からエルサレムまで- とあるとおり若き建築学徒が撮ったアジア各地の建物の魅力的な窓の写真で溢れている。かって自分が歩いたアジアの地域と重なる場所は少ないのだけどそれでもイランのエスファハンの金曜モスク内を撮った一枚は自分も同じようなアングルの写真(...
● 刀杼 595×60×厚み32ミリ仲間と離れぽつりと古物に流れていた機具(はたぐ)が目を惹いた。古いかたちの杼の刀杼(とうひ)である。一枚の布をしっかり織りあげるには、いったい幾度こんな杼を往復させるのであろうか。ぴんと糸を張り長らく打ち込みつづけたものか杼にはその証しのように糸目の痕跡がしっかりと刻まれている。タイのカレン族の村でみた地機織りの様子を参考に添えて・・・・・ ● 地機 タイ、メイホンソン州 1989年...
● 小皿 ヴェトナム 155×高さ33ミリ桜が散ると一気に新緑が萌えはじめ淡い緑が眩しいヴェトナムのバッチャン焼のうつわは友人からの土産品ちょっと前の屋台でも使われていたものだろうか焼が甘く貫入もほどよくはいり使い古された地肌の風合いは好みだけれど器面には日本のやきものではちょっと見かけないような大胆な筆致と彩色でもって花が描かれている咲き始めた山吹を添えて・・・・・・...
● 栓抜 85×40ミリ散りゆく花のもとコップに泡をそそぐ相棒のヱビスの瓶じゃないけれど福の神にあやかりこんなかたちの栓抜で!...
● 計数枡 220×120×45ミリ 覗き窓四角い枡を押しつぶしたような歪な菱形のこんな枡がある。なにかの余材を転用したようなアルミっぽい鋳込みの合金製。1層100個、5層で500個を数える覗き窓が側面につく。まるい玉を計るにはざくっと掬い、鋭角の隅よりきれいに放てるこの形状が理に適っていたのだろう。この枡も日本の娯楽文化ならではで独自に生まれたかたちかもしれない。1発打ちのあの時代、この1枡でいったいなにに替...
● 角皿 173×132×高さ25ミリ近所の農家へ野菜を買いに行ったはずが、こんな角皿があったのでチャリンと100円入れて連れ帰る。郷里の祖母の家にあったようななんとも昭和チックなうつわです。今日から4月の新シーズン、とはいえ昨日とまるで変わりばえしないスタート。せっかくだから新シリーズとして、モノが生み出す“模様”に特化していきたい。描かれた舟のように、帆に風をおおきくはらみ新たな海原へ歩みだそう・・・...
● 『賢明』 ピーテル・ブリューゲル 224×298㎜、ペンとインク、1559年 ブリュッセル王立美術館蔵ブリューゲルの目玉作品『バベルの塔』を東京都美術館で観たのはもう6年も前のこと。蟻粒大の人々が建設現場で蠢くその筆致の緻密さに目を奪われた。とはいえそれは3DCC映像(拡大複製画)によるもの、視力の落ちた肉眼ではいくら実物を前にしても到底無理であった。それに反して同時に出展されていたペン画や版画の数々は...
お酒を持って一人お花見へ、めざすはとなり町の都立東大和南公園。満開の桜に囲まれて、花壇や周囲に巨大な碍子(がいし)がオブジェ風に配置されたシンボル的な建物がある。旧日立航空機株式会社変電所の建築で、戦中に戦闘機からの機銃掃射を受けた悲しいほどにあばた顔の外観である。それは東大和市指定文化財(戦災遺産)とされたこんな建物である。 ↓http://utinogarakuta.blog.fc2.com/blog-entry-357.html絶縁器具の陶磁器...
● へら 18×長さ175ミリ朝のラジオで片付けコーディネーターが「検索すれば済むことでしょう・・・捨てましょう!」とさかんに“検索”を連発。たしかにネットは便利で一理あるけれど。やはり紙もの資料はとっておきたいし、モノとの出会いや取捨選択は効率だけではつまらないと思っているから、“何でも捨てましょオバサン”のその発言が気になった。しょぼけた道具ながらも、前回は“○”のかたちだったので、今回は“-”ものの紹介です。...
● 芯切り 径70×9ミリお酒を持ってひとり花見の予定が今日の雨で流れてしまった。ストーブもそろそろしまうつもりだったけど今日は寒いからひさしぶりにたいてみよう。むかしの灯油ストーブはシンプルなつくりながらメンテナンスにはこんな綿芯切りが必要だった。 ↓http://utinogarakuta.blog.fc2.com/blog-entry-1178.htmlわずか1インチ芯用のこんな小物をネットが普及していなかったころさがしだすのに随分苦労した。ブ...
先日のタイル展では導入口にあった世界のタイルの変遷でイスラームタイルの一群が目を惹いた。 ● イランの旅でみたタイルの数々 1997年撮影かって駆け足で見学したイランの旅では、モスクなどに多用されている装飾タイルの華麗さに目を瞠った。まるで万華鏡を覗くように、精緻な幾何学文に草花文、コーランの聖句が記された流麗なアラビア文字が複雑に絡み合い一体となり生まれる装飾タイルによる絵曼陀羅。プルシャンブルー、...
いよいよ花見の季節の到来です。今年はいち早く開花のもよう、ぽかぽかの陽気に誘われて久しぶりに江戸時代からの桜の名所、小金井公園の江戸東京たてもの園へ行ってみました。目指すは大好きな建築のオーナメントともなるタイル『 日本のタイル100年 -美と用のあゆみ- 』展です!(2023年3月14日) ● 『日本のタイル100年 -美と用のあゆみ-』展 江戸東京たてもの園 / 東京都小金井市 会期 2023/3/11-8/30本展は、...
子どもの頃実家の玄関には父が蒐めた古銭の額が飾られていた。楕円形の天保通寶以外は、いずれもドラマで銭形平次が飛ばす投げ銭のようなどこか冴えない一文銭の類である。父亡きあとは物置に放されており、いつだか帰省の折に持ち帰ってみた。ながらく部屋に放っぽったままだったけれど、図書館に寛永通寶の本があり、この度よい機会と借りて軽い気持ちで分類してみるも、素人にはあまりに複雑でハードルが高すぎてお手上げだ。 ...
● ケロシンストーブ ネパール 220×276×高さ139ミリ前回は、珈琲とスェーデン製のクラッシックなケロシンストーブの紹介でしたが。 ↓http://utinogarakuta.blog.fc2.com/blog-entry-1224.htmlこちらはおなじ加圧式でも、どこかチャイが似合う、ネパールのもう少し雑多な造りのもの。カトマンドゥでは王宮前のバサントプルを定宿とし、毎朝広場の路上で飲む一杯のチャイを無上の喜びとした。そんな熱々の本式のチャイ...
● リュックサック チェコお気に入りのチェコ映画にイジー・メンツル監督『英国王給仕人に乾杯』 2007年 がある。ホテルのレストランで給仕される料理の数々、食器やカトラリーのいずれもが素晴らしく。食の映画としても充分楽しめるおもしろい作品だ。 この度、原作であるボフミル・フラバルの『わたしは英国王に給仕した』 を読んでみた。「これからする話しを聞いてほしいんだ」に始まり「満足してくれたかい? ・・・おしまい...
今日はたのしいひな祭り~♪実家にあった五段飾りのお雛様を飾っていたのは、姉が小学生の頃までだったか。晴れ着姿の着物にぱちくりと化粧されて得意げのポーズできめた姉の写真がむかしのアルバムに納まっていたはずだ。あのお雛様はすでに家には無いはずだけどいったい何処へやったのだろう・・・・・・いつだかの市で、古いお雛様が出されていたことがあった。江戸時代のものだろうか時を経てここまで辿り着くまでにいったいどういう...
● 小平市ふれあい下水道館 東京都小平市わが町の博物館は一風変わったテーマの地下潜行型で『ふれあい下水道館』という。その名のごとき地下5階は府中街道真下にある下水道に直結しもわっと饐えた臭いの下水道(直径4.5m)を間近に体感できる。 博物館の特別展では、やはりそんな下の関連でかため「トイレグッズコレクション」 展が開催されていた。あの有名な中国のおまる“馬桶(マートン)”をはじめ世界各国のおまるがずらりと並...