122回目「ガラスの街」(ポール・オースター:新潮文庫)
少し遅いが、今年の4月に亡くなったポール・オースターの追悼ということで読んでみた。いわゆるニューヨーク3部作の第1作目。後の2作は『幽霊たち』と『鍵のかかった部屋』。といっても、この3作は連作というわけではなく、それぞれ独立している。 自分は過去に『幽霊たち』のみ読んだことがあった。内容は殆ど覚えていないけど、「変わった小説だなぁ」という読後感は覚えている。探偵小説の体をした、前衛小説だったような。そもそも、何をもってして「前衛」なのかは、分かりませんが、でも、「前衛」という評が妙にしっくりくる。「前衛」を標榜する作品にありがちな、妙にすまして上滑った感がなく、地に足ついた前衛と言おうか。見た…
2024/09/21 20:45