うの華4 38
家の奥、台所に来ると父の姿は見え無かった。変だなぁ。子は思った。この子にすると父はてっきり台所にいるものだと思っていたのだ。しかし、台所にいると思っていた子の母でさえ玄関の方から姿を見せたのだ。『父も玄関にいるのもしれない。』子は思った。そこで、今迄自分がいた居間迄戻ろうかと子は考えたが、それでもと思い直すと、子は台所をもう一度隅から隅まで見回して自分の父の不在を確認してみた。『やっぱりいないや。』と子は思った。それでも、子は今一度と念を押して、台所に向かいお父さんと声を掛けた。「いないの?、お父さん」こう声を掛け掛け、子は台所の奥へと進んで行く。何処からも全く返事は無い。『やはり玄関だ。』父も母と同じく玄関に回ったのだ。子は思った。『母も最初はここにいたのだ。』子は納得し、母が玄関から姿を現した理由をこうこじ...うの華438
2022/03/31 15:15