うの華4 29
蝶よ花よとされて裕福に育った2人は世間知らず。これが彼女達の共通点だった。この点共に彼女達の心中に相通じる物が有った。勿論実家が裕福とはいっても、当然両家の間には雲泥の差が有った。その差がある事で、返って清の母の胸の内には智の母に対する敵対心が湧かずにいた。寧ろそこは彼女を素朴で微笑ましいと見る感情に包まれていた。智の母の方にしても、清の母が口にした親戚が裕福なのだ、それを真似ているのだの言葉に、内心では半信半疑に思いながらも、彼女自身が実際にそうなのだから、相手の羨望する気持ちが思い遣られて同病愛憐れむ事と感じ入っていた。彼女にするとじんわりと嬉しい共感の思いが湧き、話のピッタリ合う友人が出来たと離れ難く思っていた。2人は幸い子も同い年、親戚という話題以外にも話す事柄に共通点が多かった。また、智の母は清の母の...うの華429
2022/02/22 16:44