うの華4 17
「そうだよ、時計の針を見てご覧。」『こんな小さい子に本当に時計の針が読めるもんか。』内心きっと目尻を上げて、彼女は猜疑心を含む目付きで自分の子と同い年の訪問者を見下ろした。それから、彼女はさっと玄関正面に掛けられた時計の下迄進むと、自分の正面、今しも眼下になった小さな訪問者の顔に悠然と笑って言った。「お八つの時間だろう。」さて、彼女と玄関の子供の母親は、普段から同い年の子を持つ母親同士、よく自分の子供の成長具合についてお喋りしていた物だ。家の子はあれが出来る、またはこれが出来る様になった。家もよ、または、え、まぁもう、等言い合えば、別の日には、そんな事がね、家はサッパリ。困ったものね、家の子には、等言ったりする。ある時はいいわねぇと相手を持て囃し、自分の表面を取り繕いながら、その実内心では密かに嫉んだりしていた...うの華417
2021/12/17 11:17