怪談……というか、不思議なお話を99話集めようと思います。ここに書かれているお話は私と、私の直接の知人が体験した話です。
第三十八話のAが、25年以上前に体験した話である。 その夜Aは、アパートの自室で、壁に背中を預け本を読んでいた。向かいにテレビがあったが、消してある。 と、視界の端に動くものが入ってきた。白い、マルチーズのような小型犬だった。 玄関も閉めたはずだし、窓も開けていない。「なぜ犬が?」と思っているところに、右手に別の気配を感じた。 そちら側には押し入れがある。襖は閉めてあるが、その奥を覗うように、中年の男が立っていた。両手をポケットに入れ、上体を倒し、押し入れの下段辺りを、じっと見つめている。 Aはぎょっとした。犬だって入ってくるはずない部屋に、なぜ見知らぬ男が、気配も感じさせずに入って来られたの…
ある霊能者がテレビで「動物の幽霊はいない」と言っていた。この世に思いを残しているから幽霊になるのであって、人間以外の動物にはそこまでの思いはないのだという。 でも、それは本当だろうか? 第十九話「猫の死神」に書いたが、ドブ川に落ちたところを助けてやった猫は、私にとてもなついた。また第九話の「身代りの犬」では、まるで祖母の身代りになるかのように死んだ犬のことを書いた。 こうしたことからも、動物にも「思い」があることはわかるのだけれど。 つい先日の話である。 AはTSUTAYAの書籍コーナーを歩いていた。すると、棚の影に小型犬がいるのを見かけた。 Aは犬が嫌いなわけではないけれど、お店の中に、ケー…
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