あけましておめでとうございます。ymtetcです。 前回の記事にあたたかいコメントをいただきました皆様、ありがとうございました。 今年は少しずつでも、ブログを更新していきます。 さて、今日のテーマは、『ヤマト3199』第二章の後味です。正直、ハッピーエンドとは言い難いもので、後味悪く感じた人も、いらっしゃったかもしれません。 ただ、ハッピーエンドではないにせよ、私はどこか”後味がいい”と感じました。 今日は、その理由を考えていきます。
あの炎上事件は何だったのか:UVERworld ×『宇宙戦艦ヤマト』
こんにちは。ymtetcです。 ymtetc.hatenablog.com 前回の記事では、UVERworldと『宇宙戦艦ヤマト』のコラボレーションが炎上した原因を「ファン」「楽曲」「映像」の3つにわけて考えてみました。 今日は、この炎上事件がどのような意味を持つのか、について考えていきます。 〇人気アーティストの”新曲”をヤマトファンが叩いてしまう 〇作品に誠実とは言えないタイアップ 〇炎上事件は当然の結果 〇人気アーティストの”新曲”をヤマトファンが叩いてしまう まずは、結果としての「炎上」に注目しましょう。 当時の『ヤマト』ファンの一部がこの楽曲を批判してしまった理由は前回の記事で考えま…
炎上事件はなぜ起こったのか:UVERworld×『宇宙戦艦ヤマト』
こんにちは。ymtetcです。 テレビ版『宇宙戦艦ヤマト2199』後期オープニング主題歌「Fight for liberty」は、放映当時、少なからず批判にさらされました。 renote.net 今日は、UVERworldの『2199』主題歌「Fight for liberty」がなぜ当時炎上したのかを考えていきます。 〇なぜ炎上したのか <1:ヤマトファン側の要因> <2:楽曲側の原因> <3:映像面の要因>
なぜ『2199』よりも『2202』『2205』の方が難しいのか?
こんにちは。ymtetcです。 『ヤマト2199』と『2202』『2205』を比較すると、どちらかと言えばライトに観られるのが『2199』なのに対して、『2202』『2205』はあまりライトに観ることはできあに作品だと言えると思います。「初心者向け」の観点からも、(単純にシナリオだけで比較しても)『2199』は割に薦めやすいのですが、『2202』『2205』は初心者にはハードルが高く見えてしまう感覚はないでしょうか。 では、その違いはどこから生まれたのでしょうか。 もちろん、脚本家・プロデュース面での明確な方針の違いが背景にあり、シナリオ的には『2199』といわゆる「福井ヤマト」は全くの別作品…
こんにちは。ymtetcです。 『2199』以来のリメイクシリーズだけでなく、平成ヤマトの起点となった『復活篇』においても、近年の『宇宙戦艦ヤマト』には「若い世代向け」の発想が大なり小なり盛り込まれています。今後も「若い世代向け『宇宙戦艦ヤマト』」の企画・構想は形を変えて登場してくるものと思います。 そこで今日は、「若い世代向け」ヤマトを構想するにあたって、最低限もつべき視点は何か、を考えていきます。 〇「若い世代」という広い言葉 〇近年の『ヤマト』における「若い世代」 〇定義づけが肝要
こんにちは。ymtetcです。 本日は体調不良のため、おやすみです。 ちょうどよくWBC休暇にでもしたいところですが、お仕事には行ってきます(笑)。 かつて「旧作至上主義者」と呼ばれたような、リメイク批判&旧作賞賛を行う人たちが、最近はやや批判される傾向にある気がします。 彼らが批判される要因は今日はおいておきます。 ただ、旧作に再び光を当てる存在としては、「旧作至上主義者」と批判されるような立場の人々には大きな功績があると思います。 現在のリメイクのファン層には、旧作とリメイク双方のファンが少なくないと思いますが、実はそうしたファンが、旧作を再評価することは稀なのです。それに対して、旧作のみ…
こんにちは。ymtetcです。 聞こえてきた『3199』最新情報によると、アルフォンは「愛を知りたい」キャラクターのようです。また「愛」か、とゲンナリされる人もいるかもしれません。ただ、ここから『3199』の物語の一つの軸を予想できると考えます。 では、アルフォンを通じて『3199』では「愛」がどのように描かれるのか。 『3199』の最新情報について詳しくはない私ですが、今日は『3199』の登場人物・アルフォンの人物像について考えていきます。
こんにちは。ymtetcです。 本日はおやすみです。 送迎会シーズンです(笑) さて、今日短く考えていきたいのは、「初心者向けヤマト」についてです。『水星の魔女』が「初心者向けガンダム」だと言われている様子を見て、では『ヤマト』ではどうなのだろう、と思ったのです。 ところが、これが大変難しい。 なぜかというと、ヤマトは基本的に、イスカンダル編から完結編・復活篇まで、同じ宇宙の時系列で展開されているからです。 とすると、事実上「初心者向けヤマト」はイスカンダル編の第一作、すなわち1974年版と2199だけ、ということになります。 ところが、イスカンダル編はテレビシリーズにして第26話、それでも足…
こんにちは。ymtetcです。 本日、新宿ピカデリーにて開催されました「2202」BD-BOX発売イベントの冒頭にて、登壇者とご来場のお客様全員で、先月亡くなられた松本零士さんへ黙祷を捧げました。あらためまして、松本零士さんのご冥福をお祈り申し上げます。宇宙戦艦ヤマト2205製作委員会一同— 宇宙戦艦ヤマト2205製作委員会 (@new_yamato_2199) 2023年3月14日 『ヤマト2205』公式が松本零士さんに対する追悼コメントを出しました。どのような意図で発されたものかは分かりませんが、私はどこか感慨深いものを覚えました。 今日は、『2205』公式による追悼コメントが、なぜ感慨深…
アクエリアス・アルゴリズムが単行本で各段に読みやすくなった理由
こんにちは。ymtetcです。 最近、スターウォーズのスピンオフドラマ『マンダロリアン』を観ています。これを観ながら「面白いスピンオフって何だろう?」と考えています。 そこで思い出したのは、『アクエリアス・アルゴリズム』が『ヤマトマガジン』における連載時よりも単行本の方が格段に読みやすくなったことです。それはもちろん、細かな文章の調整や印刷の工夫が背景にあります。 ただ、特に大きな効果を発揮したのが、冒頭に『ヤマト完結編』のシーンを移動させたことではないでしょうか。連載時は途中で出てきた回想シーンを冒頭にした。この工夫が、なぜ『アクエリアス・アルゴリズム』を読みやすくすることに繋がったのか、今…
【ヤマト2199】2010年の制作中断がファンの世代交代を遠ざけた
こんにちは。ymtetcです。 『宇宙戦艦ヤマト2199』は、間違いなくファンの世代交代に貢献した作品です。 しかし、『2199』の目指したファンの世代交代は、必ずしも順調には進まなかったと考えます。世代交代はヤマトファンの子ども、SF好き、ミリタリー好きといった「潜在的ヤマトファン」にとどまり、より広範なムーブメントにはなりませんでした。 そこで今回は、『2199』の目指したファンの世代交代がなぜ順調にいかなかったのかを考えます。さらに今日は、視点として”2010年の『2199』制作中断”に注目します。 〇若いアニメファンを意識してスタートしたが…… 〇『2199』ファン=ヤマト世代に向けた…
こんにちは。ymtetcです。 前回の記事では、「ファンがそれぞれ『第一作の新しいリメイク』を妄想する」ことによって、イデオロギー論争を(一時的にでも)緩和できるのではないかと述べました。リメイクシリーズをめぐって分断が見られる現状はありますが、どこかで「繋がれるもの」があると、少し安心して交流ができるのかな、と今は思います。 さて、そこで今日は、過去作を参照しつつ、私なりに「第一作の新しいリメイク」を妄想していきます。以前コメントで「ymtetcの観たいヤマトを記事にしてほしい」旨の言葉をいただいたこともありましたので、ここでひとつ考えてみたいと思います。 では、ymtetcの観てみたい「第…
こんにちは。ymtetcです。 「ファンの分断」が最近話題になっていますね。私自身が取り上げているので私にそう見えているだけなのかもしれませんが、ともかく、ちらほらとこの話題が流れてきます。 この話題をながめていて感じるのは、ファンの分断は必ず公式作品を介して起こる、ということです。実は、ファン同士の個人的なやりとりのなかでは決定的な分断が生まれておらず(世代的に大人が多いからですかね)、分断は「旧作」『2199』『2202』『2205』といった、公式作品の存在を介して、宗教対立的に起こっています。 今日は、この視点から、ヤマトファンの分断を緩和するためには何ができるのか、提案をしてみたいと思…
こんにちは。ymtetcです。 旧作、『2199』、『2202』をめぐる様々な意見が飛び交うようになって数日が経ちました。SNS普及前の『2199』、普及後の『2202』という時代背景はあるにせよ、またスタッフをめぐるトラブルを差し引いても、私はどうにも『2202』は批判されやすい作品だな、と感じています。 今日はその理由の一つを、シンプルに提示したいと思います。
こんにちは。ymtetcです。 私自身、『ヤマト2202』はとても好きな作品でした。賛否両論あったことにも大いに納得しています。 とはいえ、『2202』をめぐっては、絶対に許容しない方がいいこと、もっといえば「すべきではない」、さらにいえば「してはいけない」ことがあると考えています。
こんにちは。ymtetcです。 先日、久々に実家へ帰ったので結城信輝さんの『星巡る方舟 修正原画集』をとってきました。『2202』進行中(2017年)の出渕さんと結城さんの対談が収録されている貴重な本です。 今日はこれをもとに、『ヤマト2199』と『2202』の違いを考えてみたいと思います。
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あけましておめでとうございます。ymtetcです。 前回の記事にあたたかいコメントをいただきました皆様、ありがとうございました。 今年は少しずつでも、ブログを更新していきます。 さて、今日のテーマは、『ヤマト3199』第二章の後味です。正直、ハッピーエンドとは言い難いもので、後味悪く感じた人も、いらっしゃったかもしれません。 ただ、ハッピーエンドではないにせよ、私はどこか”後味がいい”と感じました。 今日は、その理由を考えていきます。
お久しぶりです。ymtetcです。 長らく行方不明となっており、申し訳ありません。 2024年のymtetcに起きた変化を列挙すれば、それだけでエッセイブログが書けてしまいそうですが、それは皆さま、興味がないと思いますので……。 ともあれ、『3199』第一章は劇場公開期間の終わりごろに滑り込むのがやっと、第二章にいたっては、劇場での鑑賞はかなわず、公開期間終了後の今になって、デジタルセルで鑑賞。それだけの変化が起きた、とだけ、書いておきます。「『宇宙戦艦ヤマト』はライフワーク」と考えていた大学生の頃が、何もかも皆懐かしい。 さて、本日はymtetcが、『ヤマト3199』第二章までを観てどう感じ…
こんにちは。ymtetcです。 この数日、『宇宙戦艦ヤマト』シリーズの主題歌に向き合ってきましたが、ふと、たくさんの主題歌に共通して出現するモチーフがあることに気づきました。 今日は、『ヤマト』主題歌に共通して出現するモチーフから、『ヤマト』シリーズが志向してきた「平和」について探っていきます。 〇みんなで微笑むときが 復活のとき 〇「豊かな自然」「人々の微笑み」と「優しい歌」 〇『ヤマト』ソングが語る「平和」
こんにちは。ymtetcです。 前回、THE ALFEE「この愛を捧げて」の歌詞を旧『ヤマト』作品に引き寄せて分析しましたが、今回はポスト・西﨑義展時代のヤマトソングの代表格、畑亜貴さんの作詞による「星が永遠を照らしてる」「美しい地球を知る者よ」を取り上げていきます。 この二曲は、それぞれ『宇宙戦艦ヤマト2199』第一章・第二章のエンディング主題歌として歌われました。畑亜貴さんは『宇宙戦艦ヤマト』ファンおよび「ささきいさお」ファンであることを公言されており、その作品への理解度は、後の『2199』『2202』『2205』主題歌を見ても群を抜いていると思います。 今日は「星が永遠を照らしてる」「美…
こんにちは。ymtetcです。 『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』主題歌であったTHE ALFEE「この愛を捧げて」は、作詞の高見沢俊彦さんが『さらば宇宙戦艦ヤマト』ファンであったこともあり、『さらば宇宙戦艦ヤマト』、および主題歌「ヤマトより愛を込めて」へのオマージュに満ちています。 もちろん、高見沢さんが意識的にオマージュしているのは『さらば宇宙戦艦ヤマト』と「ヤマトより愛をこめて」のみでしょう。しかし、それに加えて、「この愛を捧げて」は、『さらば』の魂を継承したがゆえに(また、西﨑義展さんのチェックを通過したがゆえに)、すべての旧『ヤマト』の精神を継承した歌詞になったと私は考えます。 今日は私なり…
こんにちは。ymtetcです。 『宇宙戦艦ヤマト』は、面白いほどに「完結」できません。 その背景には、強固な既存ファンという商業的な理由もありますが、思想的な面でも「完結」できない理由があると考えます。 今日は、旧『ヤマト』のイメージソングである「ヤマト10年の賦」の歌詞に注目して、『宇宙戦艦ヤマト』が「完結」できない理由を探ります。 〇「ヤマト10年の賦」が語る『ヤマト』の最終目的地 〇実現不可能に近い「ヤマト10年の賦」 〇福井晴敏の語る「『ヤマト』の完結」 〇『さらば』という「永遠の航海」エンド 〇現実味を帯びる「永遠の航海」エンド
こんにちは。ymtetcです。 近頃「X(旧Twitter)」を見ていると、『ヤマト2202』のメカデザインに関して、一種の論争のようなものが繰り広げられている様子を時々目にします。 完結から5年が経ち、『2202』の反省に立つ続編『2205』の公開さえも久しい現在、なぜ何度も何度も『2202』メカデザイン論争は再燃してしまうのか。 今日は、その背景の一端を考えたいと思います。 ①旧作の世界観に沿わない『ヤマト2202』メカ ②一部のファンが傷ついた『ヤマト2202』体験 ③世間に溢れる「世界観に沿ったメカデザイン」 ④”粘着”と感じる『2202』ファンの心理 ⑤エコーチェンバー現象
こんにちは。ymtetcです。 『ヤマト2199』には、ネットスラングで「お風呂回」「水着回」と言われるようなシーンがあります。私個人の経験から、『ヤマト2199』は、あのシーンがあることによって「家族の前で観られない(観づらい)」作品になったと考えます。 しかし当時は、これを擁護する意見もありました。
こんにちは。ymtetcです。 『ヤマト3199』を控えている2024年。上映館数はリメイクシリーズの「非劇場版」作品としては最多であり、ファン層拡大への期待も膨らむ…… と言いたいところですが、私はそうは思えないのが現状です。
こんにちは。ymtetcです。 『スターブレイザーズΛ』が先鞭をつけた『宇宙戦艦ヤマトNEXT』シリーズ。その後の音沙汰はありませんが、突然、何かがあるかもしれないのが『ヤマト』界隈です。 今日は、この『NEXT』シリーズの未来について考えたいと思います。 『スターブレイザーズΛ』は、先駆者としての意義は絶大ではありますが、これからのヤマトを考える上では、反省するべき点もある作品だと私は考えています。 というのも、振り返った時に、「これが『ヤマト』である必要はあるのか」との問いが、どうしても拭えない形になってしまったからです。『Λ』の縁あって読んだ『鉄腕アダム』がとても面白かっただけに、終盤は…
こんにちは。ymtetcです。 前回の記事では、『2202』ラストの「国民投票」は、『さらば』のラストで描かれた「古代進の死」が、その後の世界(現実世界を生きる観客)にどのような影響を与えたか?を問いかける「粋」なアイデアであった一方、『さらば』のラストの解釈を”福井晴敏”色に規定してしまう点で「無粋」なアイデアでもあったと述べました。 今日は、そんな『2202』が持っていた『さらば』へのリスペクトと、作品全体に流れていた『さらば』否定のお話です。
こんにちは。ymtetcです。 過日、『さらば宇宙戦艦ヤマト』を再見して気づいたのは、『2202』最終話の解釈です。 『さらば』ラストシーンに答えるという「粋」 『さらば』ラストシーンには、こんなテレサのセリフがあります。 あなたのおかげで人々は目覚め、より美しい地球と、宇宙のために働くことでしょう。 古代進の行動が、生き残った人々に「勇気と愛」を与え、人々は目覚める。テレサはそう語りかけ、古代を導きます。 ここで疑問として浮かぶのは、では実際に、古代と雪の死によって救われた地球人類は「目覚め」たのか?ということ。 さらにいえば、『さらば』という映画に感動した子どもたちは、あれから40年経って…
こんにちは。ymtetcです。 10年以上にわたって続いてきたリメイク・ヤマトには、多種多様な思い出があります。初めて『ヤマト』を地上波放送で観た『2199』テレビ版、受験期に繰り返し観た『方舟』、大学生活と共にあった『2202』、社会人として初のヤマトだった『時代』と『2205』。 しかし特別なのは、2012年4月に観た『宇宙戦艦ヤマト2199』第一話です。 あれは高校の入学式の日、ファミリー劇場でした。 『宇宙戦艦ヤマト』なのに「今っぽい」 「私のための『ヤマト』」
こんにちは。ymtetcです。 前回、『ヤマト2202』が「原作から改変している」との印象を与えたのは、『さらば』をテレビシリーズに拡張する段階で必要となる「エピソードの付け足し」において、『さらば』でも『2』でもないストーリーを追加したからだ、と述べました。 リメイクシリーズの『2199』『2202』では、いずれも原作にはない新しいストーリーが追加されています。ただ、両作の「付け足し」方法論には違いがあります。 歴史的権威のない『2202』と権威のある『2199』 『2202』と同じ状態に陥った『2199』第七章 『2199』批判の一因 新作エピソードにはリスクが伴う
こんにちは。ymtetcです。 『さらば』を原作とする『ヤマト2202』。 ですが、この作品を観て真っ先に「この作品は『さらば』をそのままリメイクしたものだね」と評する人は少ないのではないでしょうか。さらに言えば、多くの人が「この作品は『さらば』を大きく改変している」との印象を抱くのではないでしょうか。 この点は福井さんも気にしているようで、2020年には「『2202』のときは、序盤はともかく後半へ進むにつれ、どこに『さらば』や『ヤマト2』(の要素)があるんだ? っていう展開になっていきました」と述べています。福井さん自身、2016年時点では「基本は『さらば宇宙戦艦ヤマト』を原作として……(略…
こんにちは。ymtetcです。 前回の記事では、『さらば』クライマックスにおける古代進の言葉は、第一作『ヤマト』の第13話、そして第24話から連なるものだと述べました。『さらば』クライマックスの古代の胸にあるのは、「命の大事さ」を理解しようとしない「理不尽な暴力」に対する怒りと、「喪失」の悲しみです。 この怒りと悲しみを克服する手段として、古代は死を選び、自らの理想を全うしたのが、『さらば』のラストだったと言えそうです。 さて、『さらば』のリメイクとして構想された『ヤマト2202』も、概ね同じ手法で読み解くことができます。『ヤマト2202』の古代は、なぜ自ら死を選び、高次元空間から帰ってこよう…
こんにちは。ymtetcです。 前回の記事では、『宇宙戦艦ヤマト』第24話「死闘!神よ、ガミラスのために泣け!!」における古代進の語りは、「人間は互いに『命の大事さ』を知っているのだから、『愛し合うこと』をしなければならない」という趣旨であったと述べました。 この「命の大事さを知ること」=「愛を知ること」といった構図は、『宇宙戦艦ヤマト』から『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』に受け継がれ、『さらば』を原作とする『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』にも繋がっていきます。 その点においては、『さらば宇宙戦艦ヤマト』、そして『ヤマト2202』は、初代『宇宙戦艦ヤマト』のテーマ性を、(一部分に…
こんにちは。ymtetcです。 前回の記事では、『宇宙戦艦ヤマト』第13話「急げヤマト!! 地球は病んでいる!!」における、古代進の行動について考えました。 「理不尽な暴力」によって両親を奪われた古代進は、同じ「人間」でありながら、そのような行為に及んでいたガミラス人(の捕虜)に対して憤りをぶつけ、殺害しようとします。しかし、ガミラス人捕虜が一転して自決を図ると、古代は彼の「命の大事さを知らない」行動に憤り、「貴様も人間なら、命の大事さを知れ」と叱りつけます。 この一連のシーンは、後の第24話「死闘!神よ、ガミラスのために泣け!!」に繋がります。 「命の大事さ」を知っていても
こんにちは。ymtetcです。 『ヤマト』劇場版を観て、最初に観たくなったのが、『ヤマト』テレビシリーズ第13話「急げヤマト!! 地球は病んでいる!!」でした。漫画『はだしのゲン』をほうふつとさせる、戦時中の日本をモデルとした「古代進の幼少期」の描写が印象的な回ですね。 第13話は、かつて、10代や大学生だった頃の私には、少し理解の難しいシーンがありました。それが、一度は殺そうとしたガミラス人捕虜の自決を、古代進が阻止して、𠮟りつけた場面です。 「貴様も人間なら、命の大事さを知れーっ!」。 殺そうとした相手の自決を、古代進は、なぜ阻止したのか? 回想シーンで描かれたもの 「ガミラス人も同じ人間…
こんにちは。ymtetcです。 『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』以降の「福井ヤマト」は、二つの移行期を持つと考えます。 『2199 星巡る方舟』 ⇒『2202 愛の戦士たち』 『2202 愛の戦士たち』⇒『ヤマトという時代』 「1」は出渕ヤマトから福井ヤマトへの時期、「2」は福井ヤマトから羽原さん・小林さんの『復活篇』スタッフが抜け、より福井さんの役割が大きくなった時期です。 参考資料 表で整理してみる わかること
こんにちは。ymtetcです。 この数日、『宇宙戦艦ヤマト』シリーズの主題歌に向き合ってきましたが、ふと、たくさんの主題歌に共通して出現するモチーフがあることに気づきました。 今日は、『ヤマト』主題歌に共通して出現するモチーフから、『ヤマト』シリーズが志向してきた「平和」について探っていきます。 〇みんなで微笑むときが 復活のとき 〇「豊かな自然」「人々の微笑み」と「優しい歌」 〇『ヤマト』ソングが語る「平和」
こんにちは。ymtetcです。 前回、THE ALFEE「この愛を捧げて」の歌詞を旧『ヤマト』作品に引き寄せて分析しましたが、今回はポスト・西﨑義展時代のヤマトソングの代表格、畑亜貴さんの作詞による「星が永遠を照らしてる」「美しい地球を知る者よ」を取り上げていきます。 この二曲は、それぞれ『宇宙戦艦ヤマト2199』第一章・第二章のエンディング主題歌として歌われました。畑亜貴さんは『宇宙戦艦ヤマト』ファンおよび「ささきいさお」ファンであることを公言されており、その作品への理解度は、後の『2199』『2202』『2205』主題歌を見ても群を抜いていると思います。 今日は「星が永遠を照らしてる」「美…
こんにちは。ymtetcです。 『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』主題歌であったTHE ALFEE「この愛を捧げて」は、作詞の高見沢俊彦さんが『さらば宇宙戦艦ヤマト』ファンであったこともあり、『さらば宇宙戦艦ヤマト』、および主題歌「ヤマトより愛を込めて」へのオマージュに満ちています。 もちろん、高見沢さんが意識的にオマージュしているのは『さらば宇宙戦艦ヤマト』と「ヤマトより愛をこめて」のみでしょう。しかし、それに加えて、「この愛を捧げて」は、『さらば』の魂を継承したがゆえに(また、西﨑義展さんのチェックを通過したがゆえに)、すべての旧『ヤマト』の精神を継承した歌詞になったと私は考えます。 今日は私なり…
こんにちは。ymtetcです。 『宇宙戦艦ヤマト』は、面白いほどに「完結」できません。 その背景には、強固な既存ファンという商業的な理由もありますが、思想的な面でも「完結」できない理由があると考えます。 今日は、旧『ヤマト』のイメージソングである「ヤマト10年の賦」の歌詞に注目して、『宇宙戦艦ヤマト』が「完結」できない理由を探ります。 〇「ヤマト10年の賦」が語る『ヤマト』の最終目的地 〇実現不可能に近い「ヤマト10年の賦」 〇福井晴敏の語る「『ヤマト』の完結」 〇『さらば』という「永遠の航海」エンド 〇現実味を帯びる「永遠の航海」エンド
こんにちは。ymtetcです。 近頃「X(旧Twitter)」を見ていると、『ヤマト2202』のメカデザインに関して、一種の論争のようなものが繰り広げられている様子を時々目にします。 完結から5年が経ち、『2202』の反省に立つ続編『2205』の公開さえも久しい現在、なぜ何度も何度も『2202』メカデザイン論争は再燃してしまうのか。 今日は、その背景の一端を考えたいと思います。 ①旧作の世界観に沿わない『ヤマト2202』メカ ②一部のファンが傷ついた『ヤマト2202』体験 ③世間に溢れる「世界観に沿ったメカデザイン」 ④”粘着”と感じる『2202』ファンの心理 ⑤エコーチェンバー現象
こんにちは。ymtetcです。 『ヤマト2199』には、ネットスラングで「お風呂回」「水着回」と言われるようなシーンがあります。私個人の経験から、『ヤマト2199』は、あのシーンがあることによって「家族の前で観られない(観づらい)」作品になったと考えます。 しかし当時は、これを擁護する意見もありました。
こんにちは。ymtetcです。 『ヤマト3199』を控えている2024年。上映館数はリメイクシリーズの「非劇場版」作品としては最多であり、ファン層拡大への期待も膨らむ…… と言いたいところですが、私はそうは思えないのが現状です。
こんにちは。ymtetcです。 『スターブレイザーズΛ』が先鞭をつけた『宇宙戦艦ヤマトNEXT』シリーズ。その後の音沙汰はありませんが、突然、何かがあるかもしれないのが『ヤマト』界隈です。 今日は、この『NEXT』シリーズの未来について考えたいと思います。 『スターブレイザーズΛ』は、先駆者としての意義は絶大ではありますが、これからのヤマトを考える上では、反省するべき点もある作品だと私は考えています。 というのも、振り返った時に、「これが『ヤマト』である必要はあるのか」との問いが、どうしても拭えない形になってしまったからです。『Λ』の縁あって読んだ『鉄腕アダム』がとても面白かっただけに、終盤は…
こんにちは。ymtetcです。 前回の記事では、『2202』ラストの「国民投票」は、『さらば』のラストで描かれた「古代進の死」が、その後の世界(現実世界を生きる観客)にどのような影響を与えたか?を問いかける「粋」なアイデアであった一方、『さらば』のラストの解釈を”福井晴敏”色に規定してしまう点で「無粋」なアイデアでもあったと述べました。 今日は、そんな『2202』が持っていた『さらば』へのリスペクトと、作品全体に流れていた『さらば』否定のお話です。
こんにちは。ymtetcです。 過日、『さらば宇宙戦艦ヤマト』を再見して気づいたのは、『2202』最終話の解釈です。 『さらば』ラストシーンに答えるという「粋」 『さらば』ラストシーンには、こんなテレサのセリフがあります。 あなたのおかげで人々は目覚め、より美しい地球と、宇宙のために働くことでしょう。 古代進の行動が、生き残った人々に「勇気と愛」を与え、人々は目覚める。テレサはそう語りかけ、古代を導きます。 ここで疑問として浮かぶのは、では実際に、古代と雪の死によって救われた地球人類は「目覚め」たのか?ということ。 さらにいえば、『さらば』という映画に感動した子どもたちは、あれから40年経って…
こんにちは。ymtetcです。 10年以上にわたって続いてきたリメイク・ヤマトには、多種多様な思い出があります。初めて『ヤマト』を地上波放送で観た『2199』テレビ版、受験期に繰り返し観た『方舟』、大学生活と共にあった『2202』、社会人として初のヤマトだった『時代』と『2205』。 しかし特別なのは、2012年4月に観た『宇宙戦艦ヤマト2199』第一話です。 あれは高校の入学式の日、ファミリー劇場でした。 『宇宙戦艦ヤマト』なのに「今っぽい」 「私のための『ヤマト』」
こんにちは。ymtetcです。 前回、『ヤマト2202』が「原作から改変している」との印象を与えたのは、『さらば』をテレビシリーズに拡張する段階で必要となる「エピソードの付け足し」において、『さらば』でも『2』でもないストーリーを追加したからだ、と述べました。 リメイクシリーズの『2199』『2202』では、いずれも原作にはない新しいストーリーが追加されています。ただ、両作の「付け足し」方法論には違いがあります。 歴史的権威のない『2202』と権威のある『2199』 『2202』と同じ状態に陥った『2199』第七章 『2199』批判の一因 新作エピソードにはリスクが伴う
こんにちは。ymtetcです。 『さらば』を原作とする『ヤマト2202』。 ですが、この作品を観て真っ先に「この作品は『さらば』をそのままリメイクしたものだね」と評する人は少ないのではないでしょうか。さらに言えば、多くの人が「この作品は『さらば』を大きく改変している」との印象を抱くのではないでしょうか。 この点は福井さんも気にしているようで、2020年には「『2202』のときは、序盤はともかく後半へ進むにつれ、どこに『さらば』や『ヤマト2』(の要素)があるんだ? っていう展開になっていきました」と述べています。福井さん自身、2016年時点では「基本は『さらば宇宙戦艦ヤマト』を原作として……(略…
こんにちは。ymtetcです。 前回の記事では、『さらば』クライマックスにおける古代進の言葉は、第一作『ヤマト』の第13話、そして第24話から連なるものだと述べました。『さらば』クライマックスの古代の胸にあるのは、「命の大事さ」を理解しようとしない「理不尽な暴力」に対する怒りと、「喪失」の悲しみです。 この怒りと悲しみを克服する手段として、古代は死を選び、自らの理想を全うしたのが、『さらば』のラストだったと言えそうです。 さて、『さらば』のリメイクとして構想された『ヤマト2202』も、概ね同じ手法で読み解くことができます。『ヤマト2202』の古代は、なぜ自ら死を選び、高次元空間から帰ってこよう…
こんにちは。ymtetcです。 前回の記事では、『宇宙戦艦ヤマト』第24話「死闘!神よ、ガミラスのために泣け!!」における古代進の語りは、「人間は互いに『命の大事さ』を知っているのだから、『愛し合うこと』をしなければならない」という趣旨であったと述べました。 この「命の大事さを知ること」=「愛を知ること」といった構図は、『宇宙戦艦ヤマト』から『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』に受け継がれ、『さらば』を原作とする『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』にも繋がっていきます。 その点においては、『さらば宇宙戦艦ヤマト』、そして『ヤマト2202』は、初代『宇宙戦艦ヤマト』のテーマ性を、(一部分に…
こんにちは。ymtetcです。 前回の記事では、『宇宙戦艦ヤマト』第13話「急げヤマト!! 地球は病んでいる!!」における、古代進の行動について考えました。 「理不尽な暴力」によって両親を奪われた古代進は、同じ「人間」でありながら、そのような行為に及んでいたガミラス人(の捕虜)に対して憤りをぶつけ、殺害しようとします。しかし、ガミラス人捕虜が一転して自決を図ると、古代は彼の「命の大事さを知らない」行動に憤り、「貴様も人間なら、命の大事さを知れ」と叱りつけます。 この一連のシーンは、後の第24話「死闘!神よ、ガミラスのために泣け!!」に繋がります。 「命の大事さ」を知っていても
こんにちは。ymtetcです。 『ヤマト』劇場版を観て、最初に観たくなったのが、『ヤマト』テレビシリーズ第13話「急げヤマト!! 地球は病んでいる!!」でした。漫画『はだしのゲン』をほうふつとさせる、戦時中の日本をモデルとした「古代進の幼少期」の描写が印象的な回ですね。 第13話は、かつて、10代や大学生だった頃の私には、少し理解の難しいシーンがありました。それが、一度は殺そうとしたガミラス人捕虜の自決を、古代進が阻止して、𠮟りつけた場面です。 「貴様も人間なら、命の大事さを知れーっ!」。 殺そうとした相手の自決を、古代進は、なぜ阻止したのか? 回想シーンで描かれたもの 「ガミラス人も同じ人間…
こんにちは。ymtetcです。 『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』以降の「福井ヤマト」は、二つの移行期を持つと考えます。 『2199 星巡る方舟』 ⇒『2202 愛の戦士たち』 『2202 愛の戦士たち』⇒『ヤマトという時代』 「1」は出渕ヤマトから福井ヤマトへの時期、「2」は福井ヤマトから羽原さん・小林さんの『復活篇』スタッフが抜け、より福井さんの役割が大きくなった時期です。 参考資料 表で整理してみる わかること
こんにちは。ymtetcです。 starblazers-yamato.net 『ヤマトよ永遠に REBEL3199』のポスターには、総監督・福井晴敏さんの、こんな言葉が掲載されています。 ヤマトは抵抗の物語です。一方的に境界を侵し、服従を強いる他者への抵抗。人を、社会を無惨に蝕む、理不尽な天災への抵抗。それらと向き合い、戦ううちに、いつしか自由も人間性も犠牲にし、なにを守ろうとしていたのかもわからなくなってしまう。やさしさと表裏一体の、人の愚かさに対する抵抗――。最初の船出から半世紀を経て、その抵抗の物語は、我々の明日を左右する現実になりつつあります。そんな時代に語られる、五十年目の宇宙戦艦ヤ…
こんにちは。ymtetcです。 『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』4Kリマスターの上映が始まりました。そして上映「前」の予告編として、『ヤマトよ永遠に REBEL3199』の特報が流れています。シアター内で新旧『ヤマト』が共演しているわけですね。 今日は、このメリットを起点に、『3199』が『ヤマトよ永遠に』を掲げている意味を考えてみたいと思います。 旧作ファンにリメイクを告知する好機 『3199』が『ヤマトよ永遠に』である意味