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  • イザベルの天使4

    4「何だろう、良いにおいがする.........」少女はにおいにつられふと目を醒ます。すると自分が今までの冷たい路地ではなく、暖かいベッドで寝ていることに気がつき、身体を起こそうとする。がしかし、連日の疲れか空腹か。身体は言うことを聞かず、ほとんど動けない。「ここはどこなの.........」少女が不安げにつぶやくと、ちょうどクローデルがパンと温かいミルクを持って部屋に入ってきた。「お嬢さん、ここは私の住んでいる家だよ」そう言ってクローデルは少女に微笑みかけ、机の上にパンとミルクを丁寧に置く。その様子を見ていた少女は、クローデルの瞳をまっすぐに見つめながら口を開く。「あなたは私をどうするの?こわい人なの?」少女の眼差しをしっかりと捉え、柔和だが真剣な様子でクローデルは語りかける。「怖がらせてすまない。君がそこの...イザベルの天使4

  • イザベルの天使3

    3 とある日の昼下がり。ベーンはいつも通り、自分以外誰も住人が居ないアパートの掃除をしていた。見た目はみすぼらしいアパートだが、いつ入居者がきて良いように手入れは怠らない。もしくは彼女の、昔は立派で小綺麗な屋敷に住んでいたという過去の栄光が、彼女をそうさせているのかもしれないが。 掃除がひと段落ついてベーンが休憩をしている時に、突然玄関の戸を叩く音が鳴る。来客など滅多に無いこの家に、普段聞き慣れない音が響き渡り、驚きと多少の不安を心に抱きながらベーンは戸を開ける。扉の前にいたのは、旅行でもしてきたかのような身なりと荷物を持つクローデルであった。「あんた、確か.........」 「お久しぶりです、ベーンさん。昔お世話になったクローデルです」「あ、姉さんの......子どもの.........確かに面影はあるね。...イザベルの天使3

  • イザベルの天使2

    2イザベルを助けた男、クローデルはアパートに戻るとすぐ、彼女を開き部屋のベッドに寝かせて何か食べ物が無いかキッチンを探していた。「何か彼女の栄養になるものはないかな...」だが昼時もちょうどすぎた時間からか目ぼしいものは無かった。そうこう探しているうちにアパートの大家、ベーンが帰ってきた。「クローデル、なんだいあのみすぼらしい子は。あんたが連れてきたんだろう」年齢は五十過ぎ程だが、見た目はもっと老けて見えるベーン。彼女はそう言いながら買ってきたフランスパンを机に置き、腰をかばいながら椅子に座る。「まったく、自分は病にやられながら子どもを拾って来るとは.........酔狂な人間がいたもんだね」ふぅ、と息を吐きながらベーンはクローデルを見据える。だがクローデルの目線はパンに釘付けだった。「ベーンさん、あの子のこと...イザベルの天使2

  • イザベルの天使1

    イザベルの天使1馬車が通りを行き交い、レンガ造りの建物が古い時代の栄華をささやかに伝える街。人々は優雅さを誇りに持ちつつもどこか憂げに日々を生きている時代。そんな国の路地裏で、少女は今にも力尽きそうな眼で空を見上げていた。「空に、行きたいな。あの、暖かくて、いつも私を見守ってる天使がいる、あの空に」少女は今にも消え入りそうな声で、そう呟く。「私の覚えている一番前の記憶。誰かが暖かい空の話をしてくれた、あそこに行きたい。もういやだから.........」そう言って少女は俯く。力尽きてしまったのか、自分でも気づかないうちに眠ってしまったのだった。そんな少女の様子を、部屋の窓から見ていた男が一人。慌てて建物の階段を下り玄関を飛び出し、少女の元へ息を切らしながら駆け寄る。「き、み。大丈夫かい?いっ意識はあるかい?」男は...イザベルの天使1

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