小説・「アキラの呪い」(10)
前話はこちら。 kuromimi.hatenablog.com 第三章「家族」 ある晴れた月曜の朝だった。 秋晴れを見上げつつ洗濯物を干していると、母がこんなことを言い出した。 「あ、そうだ。晶だけどね、今週末帰ってくるって連絡あったわ」 「え」 振り向くと、ソファーの向こう側で体を仰け反らせた母と目が合う。間抜けな返答と共に、今しがた皺を伸ばしたばかりのタオルが手をすり抜けて足元を湿らせた。だが、その不快感すらも今はどうでもいい。 「…そっか。てか、事前に連絡あるとか姉さんらしくないな。いつもいきなりなのに」 姉はいつも突然やってきて突然帰っていく。だから、姉が知らない間に帰省して知らない間…
2023/10/28 18:54