ワインを独りで吞まないために
コネという言葉には多少抵抗を感じる。 私がこちらに渡った当初は、コネなし、手に職無し、運なしの三拍子であった。東京では通訳・翻訳の仕事をしていたが、非英語圏であるこの国では、残念ながら英日通訳という職を介しては定収入は確保出来なかった。 コネ、あるいは手に職を持っていた人々の中には、この国に根を下ろした翌日に定職にありつけていた人もいた。 私がこの国に持って来たものは、若さとひとかけらのプライドのみであった。 しかし、コネというものはそれなりに作れるものである。 この国で大学の卒論を書いていた時のことである。スーパーバイザーを探す際に非常に難儀をし
2021/09/30 04:04