精神的児戯としての俳句
* 林間を逃げるけものや霜来たり 遠吠えの声もむなしく焚火跡 日もつまる寒空ばかり万華鏡 暮易し町の遠景窓は描く 枯野抱くおもいで遠い師走哉 冬人参かじる音する男去り 寄る辺なく少年ひとり夜咄 ラグビーや土塊みたくひと沈む 藁を編む夜なべが長い寒椿 ニット帽かむる隠者のごとくあり 経験の足跡あらず鰭の酒 潔癖な女でゐろと夜神楽 毛布舞うことばなくして窓に立つ 着ぶくれの猪撃てり牡丹鍋 牡蠣を剝くひとりひとりを攫うごと 冬日照る区画整理や樹木立ち なやみごとなど話したる河眠る 木菟の渾名を探す夜行去る 闇汁のごとき政府に顔見られ 嚔するたびにむかしの恋おもう 口語にて日記を記す狐罠 葱青む行方不…
2024/08/29 14:53