舞台への情熱と創造の拠点(中)~新劇の復興と俳優座劇場~
列強諸国の圧力に抗して「富国強兵」を掲げ突き進んだ日本は辛うじて独立を守った。その明治時代が終わると、一時期、有産階級に属する文学者・芸術家たちの活動によって「大正デモクラシー」という自由な時代思潮が生まれるが、元号が昭和に変わると「十五年戦争(1931~1945年満州事変/日中戦争/太平洋戦争)」に突入、戦時体制下で「自由」は封殺される。戦意高揚に非協力的な文学・芸術は検閲によって排除され、劇団は解散させられる状況となる。演劇人も戦地に駆り出され、内地では思想犯として投獄される者が出てくる。その多くは築地小劇場に結集していた演出家や俳優たちだった。戦争末期、「新劇の団十郎」と呼ばれた丸山定夫は、移動演劇さくら隊を結成して各地を巡演したが、広島の原爆投下により命を落とした。他の俳優たちも犠牲になっている。...舞台への情熱と創造の拠点(中)~新劇の復興と俳優座劇場~
2025/04/28 15:26