政治・経済・テクノロジー・サイエンス・教育など様々なテーマから未来を考えていくブログです。埼玉県宮代町から発信しています。
前回は下関戦争を例に、長州藩における行き過ぎた地域顕彰と、その歴史認識の問題点を考察していった。今回は幕末史のもう一つの有名な舞台である薩摩藩の歴史を考えていく。 生麦事件の歴史認識 薩英戦争の歴史認識 生麦事件の歴史認識 生麦事件は1862年9月14日に、武蔵国生麦村の東海道上で発生した英人殺傷事件である。事件を起こしたのは、江戸で朝旨伝達の使命を果たして帰京中であった島津久光一行であった。大名行列に参加していた下級藩士がリチャードソンを殺害し、他2名を負傷させた。 実は大名行列に遭遇したにも関わらず、下馬せずに横切ったリチャードソンらの非を強調するような認識が現在でも多く見られている。しか…
平成30年(2018年)は、明治元年(1868年)から満150年の年であった。まずは少し遡って、安倍晋三首相による平成30年1月1日の年頭所感から以下の言説を引用してみたい。 150年前、明治日本の新たな国創りは、植民地支配の波がアジアに押し寄せる、その大きな危機感と共に、スタートしました。国難とも呼ぶべき危機を克服するため、近代化を一気に推し進める。その原動力となったのは、一人ひとりの日本人です。 一国の首相がこれから目指すべき日本のモデルであると設定するように、明治維新史は第二次世界大戦期の歴史とは対照的に現在までサクセスストーリー(成功物語)として描かれてきた。しかし、対外危機を強調し、…
日本のシャーマニズムについて述べていく。今回取り上げるイタコのようないわゆる民間巫者とよばれる人たちは、普通の宗教者が持つモノ、つまりは宗教の三大要素とされる教義・教団・戒律を持ち合わせていないところに大きな特徴がある。 しかし、民間巫者が宗教者でないというわけではない。なぜなら宗教者はいくつかの分類をすることができるからだ。まず私たちが真っ先にイメージするような、仏教僧侶・キリスト教神父・牧師のような人はプリーストと分類され、彼らは霊的存在に対して一方的に働きかけることをする。また、呪力(不思議な力)を有する道具や呪文を利用する人はマジシャン、そしてこれから主として取り上げる、自ら意図して霊…
私は今年の6月に、母校の中学校で3週間の教育実習を経験させて頂いた。その経験から特筆すべき点をまとめ、考察を行っていきたいと思う。これから教育実習を控えている学生だけでなく、公立中学校の教育現場に興味がある方の参考になればよいと思う。 新しい社会の授業に向けて 評価をどのように行うのか 部活動の負担は大きい 新しい社会の授業に向けて 若手の教員を中心に、新しい社会科の授業を模索する試みが続けられている。具体的には、アクティブ・ラーニングを積極的に取り入れた授業である。アクティブ・ラーニングは今のトレンドである。私が実習中に行う授業をつくるにあたり、挑戦的に工夫した所は、導入・問い・展開の三つで…
東京上野の国立科学博物館で開催されている「恐竜博2019」のみどころや楽しみ方を紹介します。恐竜の展示を学術的に見るためには、どのような視点に注目すればよいのでしょうか。参考文献もあわせて紹介します。
日本近現代史において、現在に至るまでの日露関係史は、日露戦争や冷戦,北方領土問題に見られるように、対立関係にあった時間が長い。とはいえ、日露友好を模索しなければならないという実情のなかで、これまで日本の歴史研究者はその理想像を、第一次日露協約から第四次日露協約の時代に求めることが多かった。しかしバールィシェフ、エドワルド氏は、その時代の日露友好は本当の意味での友好ではないと主張する。今回は氏の論文から日露友好の必須条件とは何かを考えていきたい。 地理的な非対称性と文明的な疎外性 日露友好の時代はなかった? 日露友好は実現不可能? 20世紀ロシア史と日露関係の展望―議論と研究の最前線 作者: 松…
金沢でのゼミ合宿の記録。最終回は、金沢の名前にも入っている「金」に注目する。金沢は金箔の町とも言われるほどで、全国の金箔生産量のほぼ100%が金沢産だ。(※掲載写真はいずれも私が撮影したものである。) 金箔の町「金沢」の歴史 おまけ ひがし茶屋街 いくら丼 夕方の兼六園 金箔の町「金沢」の歴史 加賀藩では、これまで多くの洗練された工芸品を作り続けてきた。有名なものだけでも、加賀友禅・九谷焼・加賀漆器・加賀繍(かがぬい)などがある。今回、私が「金箔貼り体験かなざわカタニ」さんで体験させて頂いたのが、有名な伝統工芸のひとつである、金沢箔だ。 ※写真はカタニさんでの金箔貼り体験でつくった作品。約1時…
金沢でのゼミ合宿の記録。今回は、金沢が文学と芸術の街となった原点を探る。北陸地方を中心とする日本海側の地域は、かつて「裏日本」と呼ばれ、マイナスなイメージが持たれていた。ただもう少し過去に溯れば、江戸時代には北前船の寄港地として栄え、新潟や石川が人口日本一となったこともあったのだ。(※掲載写真はいずれも私が撮影したものである。) 泉鏡花記念館 泉鏡花と卯辰山 金沢ふるさと偉人館 泉鏡花記念館 泉鏡花は、「金色夜叉」などの作品を遺した小説家尾崎紅葉の門下で作家デビューを果たしてから、生涯で300以上の作品を執筆している。当館は、日本近代ロマン主義(浪漫主義)を代表する小説家・泉鏡花を顕彰するため…
金沢でのゼミ合宿の記録。今回は、2日目に訪れた場所を紹介する。金沢で最も有名な観光地である兼六園と金沢城は、そのつくられた場所に注目すると面白い。兼六園下交差点から、紺屋坂をただ登るだけではなくて、ぜひ地形のダイナミズムを感じてみたい。今回はブラタモリ視点から金沢の名勝を堪能していく。(※掲載写真はいずれも私が撮影したものである。) 兼六園 金沢城 前回の記事はこちらから↓ tymyh1123.hatenablog.com 兼六園 兼六園は5代前田綱紀の時代に築庭が始まった廻遊式庭園であるが、最も有名なのは徽軫灯籠(ことじとうろう)だろう。ただ、それ以上に私が感動することは、その犀川と浅野川に…
9月11日(水)〜9月13日(金)に大学のゼミ合宿で金沢へ訪れた。日本近現代史のゼミに所属する私にとって、金沢は加賀百万石の城下町というよりは、文学の街というイメージが強い。 ブログの大テーマからは若干それてしまうが、自身の学びの記録として、金沢を紹介していくことができればと思う。 ※にし茶屋街にて。なお、今回掲載する写真は全て私が撮影したものである。 【1日目】 石川四高記念文化交流館⇒にし茶屋街⇒妙立寺(忍者寺) 【2日目】 兼六園⇒金沢城⇒近江町市場⇒金沢蓄音機館⇒泉鏡花記念館⇒ひがし茶屋街 【3日目】 金沢ふるさと偉人館⇒金箔貼り体験かなざわカタニ⇒兼六園(2回目) 3日間の日程は以上…
大学入学共通テストに導入される英語民間検定試験を巡り、全国高等学校長協会(全高長)が、2020年4月からの実施を延期するよう文部科学省に要請する方針を固めたことが10日、関係者への取材で分かった。日程や試験会場など不明点が多いほか、経済格差や地域格差への配慮も不十分とし、このまま実施すると受験生への不利益が大きいと判断した。〔参考1より〕 コメント欄を比較する 共通テストの民間試験導入は延期すべき コメント欄を比較する まず、NewsPicksとYahoo!のコメント欄を比較してみたい。NewsPicksでは、基本的に実名登録者してコメントが発信されているが、企業目線の立場が多く散見される(あ…
私たち日本人が砂漠についてよく知らないのは当然である。日本の国土のほとんどは温帯湿潤気候に覆われてており、日本から一番近いゴビ砂漠でさえ、(東京都には日本で唯一「砂漠」と表記される場所があるが)中国の内陸部まで行かなければならない。 ただし、それが私たちが砂漠を理解しなくてもよい理由にはならない。私たちは南極大陸が世界最大の砂漠であることすら知らないのだ。本書を読むことで、砂漠のイメージは180度変わるだろう。 砂漠の多様性 何も無い空間から生まれるもの 砂漠は地球の失敗作ではない 砂漠の多様性 本書を読み進めていくと、砂漠では私たちの想像を超えるほどの多くの動植物が、その過酷な環境に適応して…
私が初めてこの本を手に取った時、批判的に読んでいかなければならないと思った。なぜなら外来生物を排除することは当たり前だと思っていたからである。 ただ、本を読み進めていくうちに、自然保護についての違和感がだんだん解消されていく気がした。自然保護・生態系維持のための外来生物排除は人間のワガママでしかないのだろうか? 私たちにとって美しい自然とは何か 私たちが守るべきものは何か 私たちにとって美しい自然とは何か 高畑勲監督作品、「平成たぬき合戦ぽんぽこ」は本当の自然を描こうとしている、アンチ宮崎駿作品であるという見方がある。 平成狸合戦ぽんぽこ [DVD] 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・…
現在、東京国立科学博物館では特別展として、「恐竜博2019」(7.13〜10.14まで開催)が開催されている。私はこれから行くつもりだが、この展示の目玉はなんといっても、日本古生物学史上最大の発見である、むかわ竜(愛称)の全身復元骨格だろう。むかわ竜はいわゆるハドロサウルス科の恐竜である。今回は、恐竜博に行く前に是非読んでみたい本を紹介する。それは、土屋健 著,小林快次 他2名監修『ザ・パーフェクト―日本初の恐竜全身骨格発掘記』(誠文堂新光社、2016)である。 ※本書口絵より引用。死んだ遺骸(口絵上部)は海に流された。むかわ竜が発見できたのは、その土地が隆起しているからだ。口絵はイメージ図で…
東部スカイツリーラインを北千住から北に上がっていくと、住宅街の光景が続く。約40分後、初めて田んぼの光景が広がる。その町が私の住む町、埼玉県宮代町である。 ※田んぼが広がる。奥に見えるのは、東武動物公園の木製ジェットコースターである。今回は、宮代町の特徴的な風景のほんの一部を写真で紹介する。なお今回掲載する写真は全て私が撮影したものである。 掘り上げ田(ほっつけ)が残る風景 新しい村は農のまちの拠点 掘り上げ田(ほっつけ)が残る風景 現在、掘り上げ田が見られるのは、全国で二ヶ所しかない。その1ヶ所が私の母校である笠原小学校の裏手にある。ほっつけと言われるこの田んぼは普通の田んぼとは少し異なる。…
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