書評:高橋 敏著、『江戸の訴訟 御宿村一件顚末』 (岩波新書 新赤版)2010/01/20
積読本の消化に当たり、民俗学の次は歴史かなと思い、本書を手に取りました。江戸時代の訴訟が実際にどう行われ、当事者たちにとって具体的にどういう意味があったのか、建前はともかく、実際にはどのようなことが行われたのか、そのようなことを「御宿村一件」を例にとって紐解くのが本書です。嘉永2年(1849)に御宿村で不法滞在していた無宿者が、同じく無宿者の集団二十二三人に襲われて殺されたことがことの発端で、この者を自宅に匿っていた農相兼業の村人源右衛門が本来なら検死の届出を出さなければいけないところ、無宿者を違法に泊めていたことを咎められたらまずいと思って、無住の寺の敷地に勝手に埋めてしまいます。しかし、隠しきれずに村全体で問題にされるものの、5人組の連帯責任や村長の管理責任に問われることを嫌って、内々に処理し、源右衛...書評:高橋敏著、『江戸の訴訟御宿村一件顚末』(岩波新書新赤版)2010/01/20
2023/09/28 00:29